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2016/06/03

「ぼくは何でできている?」いろいろと考えさせられる絵本

「ぼくは何でできている?」いろいろと考えさせられる絵本

気になる新着レビューをご紹介します。
今回ご紹介する作品は…?

■ ぼくは何でできている? 『ぼくは』

★★★★★

てつじんこさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子3歳
コップの牛乳を僕が飲めば、牛乳はなくなったように見えるけど、そうじゃなくて僕の体の中にいて、僕の体を作ってくれる。
本だって読んだら僕の頭の中に入って僕の心を作ってくれる。
言葉だって、言ってしまえばすぐに消えちゃうけど、うれしかった言葉、ショックだった言葉とか頭にしっかり残っていますよね。こういう言葉もその人自身を作っていく一つのものなんだろうなと思います。
私達の体や心はそうやっていろんなものからできているんだな〜ということを改めて考えさせられました。
そう思うといいものを選びたいし、私達の体や心として頑張ってくれるものなのだから無駄にしちゃいけない、大切にしなきゃいけないですね。誰かに何かを与えるときもそういうことを常に考えなきゃいけないなと思います。
いろいろと考えさせられる絵本でした。今度子どもと読みたいです。

ぼくは、きみがコップにそそいだきゅうにゅう。
あっ、のまないで!ぼくがいなくなっちゃう。
…あれ?ほくはいる。きみのなかにいる。

大好きな牛乳を飲みほしたら、コップの牛乳はいなくなる?
いや、ぼくの中にはちゃんといる・・・みたい。
じゃあ、今朝食べたパンも?タマがびりびりにしてしまった絵本も?

芥川賞作家藤野可織さんが、初めて手がけた絵本で伝えてくれるのはどんなことだろう。
「ぼくが大好きなもの、例えなくなったとしても、それはぼくのなかにいる。」
言葉で並べてみると簡単そうなこと。でもちゃんと想像してみて!
どういうことなのかな。

高畠純さんが描いたコップにそそいだ牛乳や、バターをぬったパンは、とってもチャーミングでユーモラス。
絵本を読んでいる子どもたちは、一目で好きになってしまうはず。

だからこそ読んでいるうちに、子どもたちにとっては世界がひっくり返ったような気持ちになってしまうのでは。
「消えちゃったのに、なんでいるの?」「ぼくは何でできているの?」「みんなも同じなの?」
もしかしたら、頭の中がグルグルってなっちゃう子もいるかもしれません。

親しみやすい言葉と絵、でも子どもたちの心のどこかに必ずひっかかってくるような絵本です。
自分って不思議だよね。世界っておもしろいよね!

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)


絵本ナビ編集部

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