「詩は孤独な精神の戯れである。/自分の中に変な人間がいて、弥次郎兵衛のようにふらふらしている。この変な存在に気づいてからもう久しい。(中略)/
今では、自分の中に彼がいるのか、彼の中に自分がいるのかわからない有様である」(「精神劇」後記)
──京都大学在学中に清水哲男、大串章らと同人誌「青炎」をおこして詩作を究め、多くの詩人から「彼こそ生まれながらの詩人」と認められていた──
「ただ、そのような才質に恵まれながら、佃学が世俗的な意味での詩人として不幸だったのは、彼の目がいつだって世界の暗部を見ることに執着していたからだろう。この目は、戦後社会の成長や発展の掛け声のなかでは、あまりにも孤独でありすぎた」(清水哲男)
幽愁のうちに五十五歳で夭逝した詩人の全貌を、没後から四半世紀を経たいま、あらためて世に問う!
佃学こそは生まれついての詩人だったと思う。──清水哲男
カオスから流出する荒ぶる魂の音楽に、わたくしは満たされた。──江森國友
佃君はなにかに憑かれている。もしかすると佃君の方が憑いているのかもしれぬ。──十国 修
詩が書けなくなったり書きたくとも言葉が手繰りよせられない日には、よく佃学の詩を猛スピードで読んだ。
佃の詩には不安や不幸が倒立しながら、眩しく輝いていた。──千々和久幸
続きを読む