●チェコとヴェチェルニーチェクとアマールカ
───アマールカは「ヴェチェルニーチェク」として制作されたアニメと伺いましたが、チェコのこと、「ヴェチェルニーチェク」のことを教えてもらっても良いですか。
眞部:ヴェチェルニーチェクは1965年に放送が開始され、今でも続いている人気番組です。ご存知の方もいるかもしれませんが、チェコは長く社会主義国家でした。アマールカも社会主義時代に国営のスタジオが制作し、国営放送局で放送されたアニメなんです。
───ヴェチェルニーチェクの特徴を教えてください。
眞部:ヴェチェルニーチェクは「子ども達に良いものを届けたい」という国策により制作されたアニメなので、おはなしの中に破壊や暴力の場面は一切出てきません。心優しいキャラクターが困っている友達を助け、知恵を出して困難に立ち向かいます。ヴェチェルニーチェクから受けた共存、非暴力の考えは、チェコ人の国民性にも大きく影響を及ぼしていると考えられていて、1989年に起こった民主化革命で、世界で唯一、話し合いで解決した背景には、ヴェチェルニーチェクの影響があったのではないかと僕は思います。
───アマールカはチェコではどのくらい人気の高いキャラクターなのですか?
眞部:アマールカは1973年に放送された後も何度も再放送が流れるほど人気のキャラクターです。チェコ人でアマールカを知らない人はいないと思います。最近でも2010年に再放送されたと聞いています。

「アマールカブック〜おやすみ編〜」から
谷口:「Amalka book」を作ったとき、チェコ大使館の方にインタビューをしたんですが、当然のようにアマールカをご存知で、日本で紹介されることに大変喜んでくださいました。そのとき改めて、アマールカは国民的な人気キャラクターなんだと思いました。
───眞部さんが、アマールカを日本に紹介しようと思ったきっかけはなんですか?
眞部:アットアームズではチェコアニメのライセンスを取得し、日本に紹介する仕事をしています。アマールカは東京国際アニメフェアなどのイベントでモニター用のアニメを流していたとき、その前で女性が「可愛い!」と話しているところを見る機会が何度かありました。また別のときには、小さい女の子がテレビの前で迷子になっていて、そのとき、高い頻度でアマールカが流れていたのです。
───女の子はアマールカを見ていて、迷子になってしまったんですね。

眞部:そういった状況が多かったので 「アマールカには人を惹きつける魅力があるのかもしれない…」と感じていました。谷口さんからアマールカをDVD ブックにして日本に紹介したいといわれたのもちょうど同じくらいの時期でした。ただ、最初に話を聞いたときは、正直、かなり難しいだろうなと思いました。
───それはなぜですか?
眞部:音楽とナレーションを変えた形でリリースしたいと言われたからです。アニメは、映像と音楽が合わさってひとつのパッケージとして考えられています。音源を変えるとなると、アニメ制作の主要スタッフの許可を取らなければなりません。40年前のアニメなので亡くなられている方も多く、遺族と話を進めることになり、交渉はかなり難航しました。音源の交渉は「Amalka book」発売の1ヶ月前くらいまで長引きました。
───特に大変だったことは何でしたか?

眞部:チェコでは、日本ほど、キャラクタービジネスが盛んではありません。チェコでは、キャラクターグッズのほとんどが子ども向けで、そのグッズのカテゴリーは限られていますが、日本のように、いろいろなものをキャラクターグッズにすることに、最初は理解をしてもらうのが大変でした。ただ、日本の商品のクオリティーは、非常に高いので実際に現物を作って見せると、ほぼ受け入れてもらうことができました。
───眞部さんの交渉があってはじめて、私達はアマールカを知ることができたんですね。アマールカのどんなところを日本の子ども達に伝えていきたいですか?

ブームの火付け役、谷口さん(左)と眞部さん(右)
眞部:アマールカは森の妖精として、人間達を警戒しています。場合によっては怒ったり、こらしめることもありますが、決して敵視はしていないんです。アマールカの根底にあるのは、「母性」と「共存」なんです。アマールカのその優しさや他者への愛情を日本の子ども達にも感じてもらえたら嬉しいですね。
谷口:今、アマールカは大人の女性に愛されるキャラクターとして浸透しています。今後は世代を限定せず、子どもから大人まで幅広く愛されるキャラクターになってもらいたいと思います。8月27日からシブヤ・アマールカ・プロジェクトを渋谷・原宿・代官山界隈で開催しておりますので、是非、アマールカを体感しにきてください。
───絵本ナビでも今後、アマールカグッズをプッシュしていきたいと思います!ありがとうございました。

アマールカブックと絵本を両手にパチリ!
───そんな素敵なアマールカの世界を体験できるスペシャルイベント情報は次のページです!