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両親、兄、妹たち、そして何百万人ものユダヤ人が虐殺されていく中、必死に生き抜いた少女時代の記憶。娘へと残された刺しゅう画が、今を生きる全ての人たちの心を揺さぶる。
親子読書地域文庫全国連絡会の『読み聞かせ絵本260』の中で紹介されていた本です。
実話ということで今調べている伝記絵本にも関連しそうな内容ということで読んでみました。
この絵本は母が経験したホロコーストを刺繍画で再現し、娘と共に文章をつけたものです。
刺繍とは本来生活の中にあるもので、こんな風に痛ましい戦争を描き出すものではないはずのもの、それゆえにその切なさと哀しさが胸に迫ってきます。
戦争とは、何十年経とうとも心と体に刻まれた記憶と傷は風化したり、消えたりしないものなのだということが伝わってきました。
今まで普通の暮らしを営んでいた家族に突然襲う暴力と死。生きのびるための張りつめた時間。
人が幸せに暮らしている時間の流れはあっという間に感じ、虐げられている時間というのはとても長く感じるのではないかとふと思いました。
最後の場面にほっとする思いがしました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子11歳)
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