阪神淡路大震災の復興支援コンサート前後が舞台のお話です。
お話の中に出てくる愛犬グレイを失った主人公「ぼく」は
いせさんご本人ですね。
グレイを亡くした喪失感から抜け出せなかった時期に
この大震災は起こったようです。
震災後間もなく いせさんは 神戸の町を訪れています。
グレイを失った悲しみと
震災で多くの方が亡くなったという現実。
心を残して逝ったであろう多くの魂を思い
また…遺された人たちの気持ちを思うと
とても他人事とは思えなかったのかもしれませんね。
その後 いせさんは このコンサートにも参加されたのです。
そんなバックグラウンドを感じながら
この絵本を読みました。
1000人のチェロ弾きが それぞれの思いを胸に
心を合わせて奏でたコンサート。
それは 震災で亡くなった方々への鎮魂歌であったのとともに
生き残った人たちの心をも慰めるコンサートでもあったのでしょう。
お話の中で「ぼく」の心は
次第に慰められ 癒されていきます。
1000人それぞれの思いが風になり
ひとつにまとまった時
みんなの背中を大きく…優しく押してくれる
爽やかな風になったように感じました。