この本は、「1年詩集の序」という詩から始まって、4つの小作品からなる絵本です。最初の詩は、聞き慣れない言葉で唄われ、最初は、読みにくかったものの、何度も読んでいるうちに、子供の耳にも慣れてきました。この手の、現代の生活で聞き慣れない言葉を使った詩や俳句などは言葉の意味を理解出来る 4、5歳の子供よりは、むしろ幼い子供に読み聞かせる方が効果的に思えます。
4歳の娘が特に気に入ったのは、「でんでんむしのかなしみ」と「でんでんむし」でした。 「でんでんむしのかなしみ」では、ある日、自分が背負っているからの中は、かなしみでいっぱいだ、という事に気がついたでんでん虫のお話です。このお話のあと、娘は、「私にも、かなしみがあるよ」と、亡くなったおじいちゃんや、ペットの話をはじめました。
「でんでんむし」は、心温まる、ユーモアなお話です。こどものでんでんむしの「おかあさん、お空になにがあるの」という疑問に、あっさり「さあ、おかあさんにもしりません」と答えるところなど、思わず「ぷっ」ときてしまいます。
新美南吉の、美しく上品なお話にぴったりな、かみやしんの淡い水彩画も、この本の格を一層引き上げてくれているように思えます。 我が家では、この本は、ファーストクラス扱いです。