ティリーは、おもちゃの人形の家に住むメイドの人形。料理番にこき使われ、「ありがとうのひとことも ないんだもの」と、自分だけの家を探す旅に出ます。自由を求める決然たる態度が爽快です。「ぼうけんなくして うるものなし、よ」などと、ときどき格言調のせりふを吐くところが、ティリーの頑固なまでに一途な性格を感じさせます。そして、そのティリーを手伝ってくれるのが、やさしいけれどちょっととぼけたクマのぬいぐるみ。ティリーと絶妙なコンビです。ティリーは人形の家から出て、人間の家の中と庭を旅するわけですが、この本は人形の視点から見ているので、読むほうも小さくなったような気がして楽しめます。また、ティリーが身近な物を集めて家財道具を作る工夫がいいです。自分でもドールハウスを作ってみたくなりますよ。