ガマ千びき イワナ千びき
- 作:
- 最上 一平
- 出版社:
- 文溪堂
絵本紹介
2025.07.02
滝を登ろうとしては、途中で落ちてしまうイワナ。ガマは「いくらやってもむりだよ」と呆れるけれど……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ガマ千びき イワナ千びき』。第73回小学館児童出版文化賞受賞の最強タッグにより生まれたこの絵本、どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
滝つぼの中でイワナとガマが出会う場面。
一大決心をし、山に向かって歩きはじめるガマの姿。写実的でありながら、どこかユーモラスな絵によって、どの場面も強く心に残ります。
ともに第73回小学館児童出版文化賞を受賞された児童文学作家最上一平と二人組の絵本作家ザ・キャビンカンパニーの最強タッグにより生まれたこの絵本。
傷だらけになりながらもひたむきに頑張るイワナ、その姿に触発されて思いもよらぬ行動をとるガマ。どうしてそこまで夢中になれるのか、夢を叶えた先にあるものは何なのか。そのストーリーに読者の心はどうにも掴まれてしまい、その先に広がる光景に唖然としてしまうのです。
迫力のあるガマとイワナの表情、次々に姿を変えていく豊かな水の表現、まるでそれぞれが一枚の屏風絵の様に豪華で印象に残る自然の風景。それらの絵とともに、年齢や置かれた環境、タイミングによって変化していくであろう見え方や味わい方をじっくりと楽しんでもらいたい一冊です。
進んだ道の先で待っているのは
未知の世界を見るためには、ひたむきな努力を苦ともせず、周りからの言葉も意に介せず、ついには一歩先へと踏み出していくイワナ。そのイワナの存在から目が離せず、心を振り回されながらも憧れの対象となっていき、ついにはその後を追っていくガマ。どんな形だったとしても、進んだ道の先で待っているのはたくましく成長した「あたらしい自分」。物語にはまだまだ続きがあるのです。その喜びを知ることが出来たなら、人生はもっと豊かなものになっていくのかもしれません。
この書籍を作った人
1957年、山形県生まれ。児童文学作家。『銀のうさぎ』(高田三郎・絵、新日本出版社)で日本児童文学者協会新人賞、『ぬくい山のきつね』(宮本忠夫・絵、新日本出版社)で日本児童文学者協会賞・新美南吉児童文学賞、絵本『たぬきの花よめ道中』(町田尚子・絵、岩崎書店)で日本絵本賞受賞、同じく絵本『じぶんの木』(松成真理子・絵、岩崎書店)でひろすけ童話賞、『じゅげむの夏』(マメイケダ・絵、佼成出版社)で産経児童出版文化賞JR賞・小学館児童出版文化賞を受賞など、受賞多数。そのほかにも読み物、絵本ともに作品多数。
この書籍を作った人
阿部健太朗(1989-)と吉岡紗希(1988-)による二人組の絵本作家/美術家。ともに大分県生まれ。大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で発表している。主な著書に「ゆうやけにとけていく」(小学館)「がっこうにまにあわない」「しんごうきピコリ」(共にあかね書房)「だいおういかの いかたろう」(鈴木出版)など。主な受賞歴に「第28回日本絵本賞」「第20回日本絵本賞読者賞」など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。