美味しい食べ物絵本が大好きな皆さん、お待たせいたしました! 美味しく美しく食べ物を描く、夫婦ユニット「はらぺこめがね」さんから、シズル感満載の絵本が届きました。その名も『かける』(佼成出版社)。
登場するのは、カレーライスにオムライス、ホットケーキにスパゲッティと上から何かをかけることで美味しさが倍増する料理たちです。絵本制作にあたって、実際に登場する料理を作ることはもちろん、今回は「器」にもこだわられたとか。「はらぺこめがね」の原田しんやさん、関かおりさんにお話を伺いました。
●器オーディションってなあに?
───まずはコチラの写真にご注目。色々な大きさ、形のお皿がずらーっと。これは一体なんなのでしょう?
原田:これは『かける』に登場する食べ物を載せた器たちです。
───この器が全部、絵本に登場しているんですか?
原田:はい。真ん中の青いお皿、これはカレーライスのお皿です。
そして、右側の女性の絵が描かれている絵皿、これはスパゲッティのお皿です。
───本当だ! 絵本に登場するお皿と同じですね。いつも、食べ物を載せるお皿を選んで描いているのですか?
関:絵本を描くとき、「オーディション」と銘打って、色々選ぶことは多いです。例えば『にくのくに』(教育画劇)を作ったときは、「肉オーディション」をしました。
───肉オーディション?
関:決まったページ数の中でどの肉料理を登場させるか、オーディションを行ったんです。鶏肉や豚肉など種類のバランスもあるし、調理方法もあまり偏ってはいけないし……。本当は焼き鳥やステーキ、あとハンバーグも登場させたかったけれど、他の肉料理とのバランスを考えて、泣く泣く落選にしました。
原田:ステーキが落選になったのは、ぼくがローストビーフの断面をどうしても描きたかったからでもあるんですよね。ローストビーフが出てくるんだったら、ステーキはなしだね……となって。
───どの肉料理がオーディションに通ったのか考えながら読むと、また違った面白さがありますね。今回「器オーディション」で選ばれた器たちは、元々お家にあった器なのでしょうか?
原田:普段から使っている器もありますし、『かける』用に買い求めたものもあります。「この料理にはこの器が合う!」と思って買ったけれど、いざ料理を載せてみるとあまりしっくりこなくて、使わなかった器もありますね。
───たこ焼きの器とラーメン丼ぶりは、ザ・定番という印象を受けました。これは新たに購入されたのですか?
原田:ラーメン丼ぶりは、陶器でなくメラミン素材のつるんとした感じが欲しかったので、購入しました。たこ焼きの器は家にあったものです。実はぼく、以前たこ焼き屋さんでアルバイトしていたことがあって、たこ焼きを焼くのが得意なんです。たこ焼き機ももちろん持っています。
───では、絵本に出てくるたこ焼きは買ったのではなく、原田さんお手製なんですか?
関:そうです。私、大阪出身なのでたこ焼きには一家言あるんですが、彼の作るたこ焼きはまん丸で中はトロッとして、美味しいんです。
原田:たこ焼きを焼くとき、いつも「食べたい!」って思いながら焼いているから、他の人が作るたこ焼きよりも気持ちがこもっていて、美味しくなるんだと思います(笑)。
───原田さんの作るたこ焼きが、食べたくなってきました(笑)。器を選ぶときに、特に悩んだ料理はありましたか?
関:意外と冷ややっこが難しかったですね。普段、家で冷ややっこを食べるとき、器をあまり意識していなかったので、どの器が冷ややっこにピッタリくるのか、色々試してもなかなかピンとこなくて……。最終的に庶民的な感じの器に落ち着きました。