●「常にチャレンジ精神を持って絵本を作ってきた」
───村上さんは作絵が自作の絵本もありますが、絵を担当された絵本もたくさん出されていますよね。その中でも、中川ひろたかさんの作品の絵を担当されることが多いと思うのですが、中川さんと作るときとオリジナル作品との違いはありますか?
はじめて中川さんの文章に出会ったのは、「はんたい、ホラネ!」という遊び歌で、「♪わにの はんたい、にわ。(中略) わにわにわにわにわ にわ、ほーらね はんたい」って、「え、何、これ?」って思ったの(笑)。でも、新しい自分がずるずるって引き出される感じがあって、気がついたら日本庭園にたたずむワニを描いていたの、それがきっかけ。
───村上さんの今までの絵本に対する感覚と全く異なる作品だったからこそ、インパクトが強かったんですね。
そうだね。中川さんと最初に作った絵本は『さつまのおいも』(童心社)。ゆるいタイトルでしょ?(笑)。でもそのおかしさを楽しんでる自分もいた。真剣にばかばかしい絵本も良いなって。『さつまのおいも』は、一番最初の中川さんのテキストは、あれもこれも入れたいことがいっぱいだったので、ズバズバ切ってメリハリをつけてみたんです。でも、それでいい呼吸ができたから、それ以降一切、中川さんのテキストには感服です。
───デビュー30年を迎えて、新たに思う絵本の魅力、今後描いてみたい作品のテーマなどはありますか?
今まで200冊くらい絵本を作ってきたけど、一冊一冊、絵本の魅力や可能性みたいな物を噛み締めているんです。同じのを描いたってしょうがないから、毎回、違ったわくわくドキドキを追いかけて作っているんだよね。
───最新作『どろんこ!どろんこ!』もどろんこの魅力たっぷりの絵本ですよね。
───ありがとうございました。ヤマメの話がとても面白くて、息子と一緒に川に行きたくなりました。
※アンドレ・ジャイアンツは中川ひろたかさん、村上康成さんをはじめ、とよたかずひこさんや長谷川義史さん、藤本ともひこさん、飯野和好さん、あべ弘士さんなど、絵本作家さんが多数参加している野球チームです。