●コンセプトを浮き彫りにするためのシリーズ化
─── シリーズにすることで伝わるコンセプト…とは、どういうことですか?
例えば『かくかくかっくん』(学研)という絵本。これ1冊だと四角の絵本ですが、続編に丸と三角が出る予定なんです。シリーズが3冊そろうと、「新井洋行は形を使って何かやりたかったんだな」って読者の方に分かってもらえる。同じように、昨年発売された『ひ ぼうぼう』と『みず ちゃぽん』(童心社)には続編、『かぜ びゅんびゅん』と『つち どすん』※があります。それぞれは個別に「火」「水」「風」「土」の絵本ですが、4冊そろうと自然界の四大元素をテーマにしていることが分かるんです。
※『つち どすん』(童心社)は2012年10月発売予定です。
─── 本当に! シリーズを通して、新井さんのやりたいことが分かりますね。こういった形の企画は絵本を出し始めたころから考えられていたんですか?
「あけて・あけて」シリーズくらいからですかね。これも最初に4作品のシリーズで予定していて、それから『といれ』『はこ』『かばん』と続編につながっていきました。
▲新井さんの作品は、こうしてシリーズで並べてみるとまた魅力が増してきますよね。
─── 前回のインタビューのときに、『ひ ぼうぼう』と『みず ちゃぽん』をご紹介させていただきましたが、この『つち どすん』もすごくインパクトがありますね。茶色だけなのが特に!
この絵本は茶色と黒の2色しか使っていないんですよ。そういう意味でも面白い絵本だと思います。それと、土って触っているだけですっごく癒されるんですよね。絵本を作るとき実際に何度も体験してみたのですが、手で触れていると嫌なものを土が吸い込んでくれるような感じがしました。温度や包まれる感じ…。そんな感覚を読んだときに感じてもらえたら嬉しいです。
あと、前回お話した作品では、『ころころぽーん』(ほるぷ出版)の続編、『ぐるぐるどぼーん』と『するするすとーん』もシリーズがあります。これは3冊完結です。毎回クマくんは結構大変な目にあっているんですが(笑)、遊園地のアトラクションのようなスピード感を感じてもらえたらというコンセプトで作っています。