日本人である私は、占領下の上海で快適な暮らしを楽しんできた。
そのことに矛盾を感じてこなかっただろうか。
戦争そのものに対する私の態度は、これまでずっと曖昧だった。
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戦局の悪化にともない、窮乏していく上海での生活。
それでも、一人の日本人女性が家族を守り、
異国の人々と友情をはぐくみながら、
力強く生きる姿を活写した日記小説。
本書は、イギリス在中の歴史家でもある著者が、母親の4年余りの上海での生活をもとに作り上げた小説である。史実ではすくい取れない、知られざる歴史がつづられている。
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