『情報史研究』第10号は、佐古丞前理事長への追悼文「佐古丞会員についての追憶―『戦間期経済外交における外務省の情報取集』に始まる交遊を振り返って」―(三島武之介)を掲載した。筆者は、本研究会での故・佐古会員の発表の興味深い内容を紹介し、それに対する感想をあらためて綴る。 さらに、この発表を聞いたことを契機に始まった故人との交遊を振り返る。
また、小特集「戦前日本の外交と情報」を組んだ。伊丹明彦「平和論者・阪谷芳郎の第一次世界大戦中における国際情勢判断と外交構想―シベリア出兵以前の欧州出兵論―」は、「国際派」阪谷芳郎の第一次世界大戦期における活動を振り返り、その意義を解説する。進藤翔大郎書評「井上寿一著『機密費外交:なぜ日中戦争は避けられなかったのか』」は、日中戦争開始前における日本外務省の対中国政策を小山俊樹監修・編集『近代機密費史料集成』に依拠して新たに分析した井上著の内容を紹介した上で、ゾルゲ事件研究を専門分野の一つとする評者ならではの観点から論評し、展望を示す。
自由論題では、まず三島恒平「内閣安全保障機構の機能と課題―国家安全保障会議、国家安全保障局、内閣情報調査室、事態対処・危機管理組織について―」が現代日本の内閣安全保障機構について分析し課題を論じる。瀧川雄一「第4次中東戦争でイスラエルの動員が遅れた原因に関する一考察―OODAループの情勢判断モデルを用いた分析―」は、新たな議論を展開する試みである。
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