下からのにぶい反射の正体がドアノブだったら屈んで拾う
強現実の片鱗。
超現実でも仮想現実でもない、強現実とでも呼びたい景がこの世にはある。たとえば家屋取り壊し後になお残る生活の跡、たとえば手のひらの火傷に感じる焦土。ドアの向こうに広がる、かつての、そしてこれからの強現実の数々。それらの片鱗を伝える歌集がここにある。――佐藤弓生
【収録歌より】
トンビトンビそこから落ちると痛いってその良く見える目でわからないのか
袈裟懸けに鬼を斬るたびステージの上で子どもは親を探した
坂道の角度にあわせ足首を前に倒してからだを運ぶ
迂回路の隔てる先に谷底の旗を見下ろす切り岸がある
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