
ドリーム仮面とは怖い夢をやっつけて、子どもに楽しい夢をみせてくれる謎のおじさん。ドリーム仮面は、うなされているたてるくんの頭にドリームマシンをセットし…。手塚賞初受賞者・なかもとしげるの初めての絵本。

この絵本の主人公・ドリーム仮面は、
やなせたかしさんの代表作「アンパンマン」とおなじころ、
今から40年前に誕生し、
当時すでに100万部雑誌だった「週刊少年ジャンプ」に、
《異色のメルヘンまんが》として週刊連載されていました。
作者はなかもとしげるさん。
《こどもの悪夢にとびこんでいって、頭の上のペン先で良い夢に描き変える
正義の味方・ドリーム仮面》に瓜二つのお顔をした、
理想に燃える若きまんが家でした。
まんがは連載期間8ヶ月に1度の休載もせず、33話の珠玉のエピソードが綴られました。
しかし、単行本ちょうど2冊分にあたる、この連載原稿は、
なぜか、ジャンプコミックスに仲間入りさせてもらえなかったので、
掲載誌がちり紙交換に出される頃には、
当時100万人もいた読者から忘れられてしまいました。
わたしは夢想します。
73年当時に単行本にさえなっていれば、
ドリーム仮面は忘れられることなく、
ひょっとしたら、今日のアンパンマンに匹敵する、
児童幼児むけの
優良人気キャラクターになっていたのでは? と。
しかし、わずかながら、ドリーム仮面のことを
大人になってから思い出した、かつての読者がいたのです。
読者たちの熱意が実り、ドリーム仮面は2000年に初単行本化されました。
描かれたときから25年が経過していましたが、内容はまったく風化していませんでした。
まったく瑞々しい奇跡のまんがです。
そして、その「奇跡の初単行本化」から更に12年もの時間をかけて、
ジャンプでは一回もカラーになったことのなかったドリーム仮面が、
《オールカラーの絵本式まんが》として蘇ったのが、
本書「ぼくだけの家」です。
今回は、個室を持たない大家族の一員である主人公の少年が、
ドリーム仮面の力を借りて、
夢の世界で素晴らしい自分だけの理想の家(まさにドリームハウス!)を、
一から作り上げてゆく、というすじ立てです。
一軒の家が出来上がって行く描写が、かつて観たことのないように丁寧、かつドラマチックに描かれていてワクワクします。
ドリーム仮面が頭の上のペン先で描き出した《夢の世界の建築職人》たち、、、
設計士、棟梁、鳶職、配管工、電気屋、左官職人などなどや、建設機械などは、
一目見ただけで虜になるような奇妙奇天烈なデザインで描かれており、
お子さんの心にときめきを与えることでしょう。
絵本とまんがの良いトコ取りスタイルで描かれていますので、
文字の読めない幼稚園児でも十分理解でき、夢中になれる、
やさしくて美しくて、なにより愉しい世界です。
多くのお子さんに読んでいただきたいとおもうのは、
生活の営みや、ものを作ること、はたらくことの尊さが、
説教臭くなく、おもしろい物語として見事にあらわれているからです。
働くことに興味津々なこどもにも、
働くことにちょっと疲れたおとなにも、
万人に薦められる、ユニークで良い絵本だと思います。 (カイボウマンさん 50代・その他の方 )
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