のりもの好きな子大集合!
2022年7月発刊の絵本『おいらはちびのとうちゃんだい!』は、読んだら誰もが笑顔になるユーモア絵本。ラストの「おいら」と「ちび」の関係性がとっても素敵なんです。渾身のオチと鮮やかな絵がとても魅力的な絵本について、作者のタカタカヲリさんにお話を伺ってみました。
この人にインタビューしました
大阪生まれ。武蔵野美術短期大学生活デザイン学科卒業。デザイナーを経て、イラストレーターに。2004年ピンポイント絵本コンペ優秀賞、2018年絵本塾創作絵本コンクール優秀賞受賞。作品に『ケンちゃんちにきたサケ』(教育画劇)、『レイナーこどもべやの秘密のともだちー』(ポプラ社)、『ふしぎ村のパールちゃん』シリーズ(童心社)、『リトル・パパ』など。日本児童出版美術家連盟会員。
——物語がうまれた背景を教えてください!
今回のお話は、タコの「おいら」とイカの「ちび」が主人公です。私、タコとかイカとかエビとか魚介類が大好きなんですけど…タコとイカって、よく似てるよね、とふと思いついたのがきっかけです。タコとイカが兄弟だったら?親子だったら?などと妄想しているうちに出来上がったお話です。
——実はこの絵本にはイカとかタコとかいった名前がでてきません。ウニは「トゲトゲのおばちゃん」です!この背景に想いがあるのでしょうか?
人間以外の生き物って、自分が「何者であるか」って全くどうでも良いことで、その日を暮らすことだけに一生懸命です。ですから、このお話の中でも、「タコ」「イカ」「ウニ」などの種類の名前は出てきません。自分がいて、仲良しの友達がいる。ただそれだけの事が、嬉しくて幸せ、っていうお話が書きたい、と思いました。
——ちびの旅路について教えてください!カニやさかなに襲われていたり、命がけの旅路だった?
ちびは相当小さいので、少し移動するだけでも、世界を一周するくらいの大変さです。そして初めて見るものもいっぱいあったでしょう。それが怖いのかどうかも知りません。海の中は「おいら」にとっては呑気な感じだけど、「ちび」には危険がいっぱい。命懸けの旅路だったことでしょう。
ひとりぼっちになってしまったちびが懸命に旅を続け、そしてとうちゃんを見つけます! by 編集部
——この絵本は絵がとても鮮やかでどのページも目が惹かれます。どんな画材で制作したのでしょうか?
「おいら」はダンボール紙にババーっと赤色を塗って、それをカラーコピーして貼り絵にしています。背景は主にデジタル画ですが、プリントアウトしてから、アクリル絵の具や消しゴムはんこで色を加えたりしました。カラフルな海の中を表現したかったので、色々工夫をしてみました。
鮮やかな海のせかいに心惹かれます。by 編集部
——ちなみにお気に入りのページはありますか?
「おいら」が「ちび」と一緒に生きていこうと決心するページです。「おいら」と「ちび」が寄り添って泳ぐシーンは、本画を描いてる間も幸せでしたし、出来上がった絵を見ても暖かい気持ちになります。
——けっきょくちびは○○○○○○だったのですが、このオチは最初から決まっていましたか?
オチはけっこう最初から決まってました。そこに向かってストーリーを組み立てた感じです。このオチを思いついた時はテンションが上がりました。
——読者のかたに一言お願いします!
親子なんかはそうですけど、自分が育てているつもりでも、実は相手に育ててもらっていた、という事がありますよね。そして、守ってあげてるつもりが、いつの間にか支えられてたり…「おいら」と「ちび」はまさしくそんな関係。そうやって、影響しあって大きくなっていく。人って、人との関わりの中でこそ成長できるんですね。
親子、友達 夫婦…世の中にはいろんな関係性がありますけど、世界中全ての「おいら」と「ちび」に幸あれ!と願っています。
タカタカヲリさん、ありがとうございました!ラストにわあっと笑えるユーモア絵本は、とても温かな気持ちになれる親子の絵本でもあります。ところで気になるちびの正体は? 是非絵本で確かめてみてくださいね。by 編集部