ひつじシステム
- 作:
- 大串 ゆうじ
- 出版社:
- 小学館
絵本紹介
2025.07.08
明日は朝が早いのに、なかなか眠れないぼく。ママは羊を数えれば眠れると言うけれど……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ひつじシステム』。奇想天外不思議シュールな世界を描き出す人気絵本作家大串ゆうじさんの最新絵本、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
ページをめくってもめくっても、登場するのは羊たち。可愛いような、眠くなるような、いや目がさえていくような、あるいは悪夢を見ているような、めくるめく羊の世界。
奇想天外不思議でシュールな世界を写実的に描き出す人気絵本作家大串ゆうじさん。作品の魅力はこれだけでは終わりません。秩序があるような、ないような、けれど目で追っていくうちに夢中にさせてしまう「魅惑のシステム」にすっかり釘付け。ほら、いつのまにか……。
これは現実? それとも夢の中? 羊を数えたことのある人にも、半信半疑で数えたことのある人にも、数えたことのない人にも。おやすみ前にぜひ読んでもらいたい愉快な一冊です。
羊の数が多ければ多いほど
子どもにとって「眠りたいのに眠れない」というのは、一大事。特に明日は楽しみにしている遠足だというのだから、切実です。だからこそ、眠れると言われれば一生懸命数えちゃいますよね。その結果「ぼく」の頭の中に広がる景色を、のぞくことができちゃうのがこの絵本。羊の数が多ければ多いほど、その数を処理しようとして登場する奇天烈なシステムを見れば見るほど、「ぼく」の誠実さが伝わってきて愛おしくなってしまうのです。最後まで頭に浮かんでいるのは「羊」と「ねる」の文字。どうか明日は気持ちの良い朝を迎えていますように!
この書籍を作った人
1976年生まれ。茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。卒業後は個展などで作品を発表をしながら雑誌、テレビ、広告、などのイラストレーションで活動。本書がはじめての絵本。おもな受賞に、グラフィックアートひとつぼ展入選(1999年、2002年、2005年)、ターナーアクリルアワード入選(2001年〜2005年)、第29回ザ・チョイス年度賞入賞(2012年)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。