絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  絵本ナビがおくる 夏の図鑑特集2014第2弾講談社「MOVE」シリーズ インタビュー

───同じく最新刊の「生きもののふしぎ」ですが、これは「WONDER MOVE」という、「MOVE」の中でも、「大自然のふしぎ」「人体のふしぎ」と同じシリーズですよね。「生きもののふしぎ」はどんなきっかけで出すことになったのでしょうか?

大上: 動物や昆虫、鳥などスタンダードな図鑑を作っているときに、かなり変わった生き物の写真や映像が見つかることがたくさんあったんですよ。定番の図鑑では異色すぎて入れづらいけれど、それだけを集めた図鑑があったらきっと面白いよね…という流れでスタートした企画です。

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───「大自然のふしぎ」「人体のふしぎ」で経験があるとはいえ、やはり通常の図鑑を作るのとは違う大変さはありましたか?

森定: その部分は、一緒にニホンオオカミを探しに行ったり…(笑)。今まで以上に情報交換をしたので、問題ありませんでした。

───イカやヘビの飛翔や、狩りの様子、クマムシやユウレイクラゲなど、極限地域に棲む生物など、どのページも今まで以上に迫力のある写真が盛りだくさんで、何度見ても発見があると思いました。なかでもお二人のオススメを伺えますか?


森定: 個人的に思い入れがあるのは絶滅動物のページですね。

大上: ニホンオオカミを探しに行くくらいですからね(笑)。

森定: 以前、NHKでニホンオオカミを探している人の番組が放送されていたんです。その話をしたら、大上さんからニホンカワウソの映像もありますよと教えていただいて、これは絶対紹介したいな…と。

大上: ニホンカワウソとフクロオオカミはDVDに映像を入れたのですが、どちらも非常に貴重な映像です。ニホンカワウソは、2012年に環境省から絶滅宣言がでています。 フクロオオカミはタスマニアのアーカイブス(The Tasmanian Archive and Heritage Office)に映像があることを探し当てて、そこから地道に交渉を重ねていき、今回、映像を紹介することができました。

森定: フクロオオカミも1936年に撮影された最後の1頭の映像なので、かなり希少価値は高いですよ。

───絶滅動物のページと、最新の深海のページが1つの図鑑の中で紹介されているのも新しいですよね。

森定: やはり、NHKの所有している豊富な番組映像がなせる業だと思います。ダイオウイカは図鑑で紹介することはかなり早くから決めていましたが、映像は難しいかな…と思っていたので、紹介できることになったのは、大上さんの交渉のおかげです。

大上: 森定さんとの話し合いで、やはりダイオウイカはマストアイテムだと感じていたので、絶対にはずせないという思いでいました。

森定: ダイオウイカの映像があったおかげで、イカの体の色が分かり、さらに今回迫力ある表紙のイラストができたと思っています。

───表紙のイラストは毎回、「MOVE」らしい動きがある場面が特徴ですが、今回もかなり印象的なイラストですよね。

森定: 表紙は「恐竜」「魚」と「は虫類・両生類」のときと同じ、スペイン人のラウール・マルティンさんにお願いしました。




大上: マッコウクジラとダイオウイカのバトルだけでもすごいのに、さらに「しんかい6500」とリュウグウノツカイまでいる、なかなかよくばりな表紙ですよ(笑)。

森定: NHKの映像でもここまでの様子は撮れていないのですが、実際に深海ではこれに近いことは起きているはずなので…。こういうイラストは子どもたちの記憶に鮮明に焼きつくと思うんです。ラウールさんは最初、ダイオウイカを赤い色で描いてきたんですが、ぼくはNHKスペシャルで映像を観ていたから「銀色にして」とお願いしたりやり取りはありました。

大上: DVDに収録されているダイオウイカの映像は、実際、光り輝いているんですよ。「MOVE」だけあって、動きのあるすごく良い表紙ですよね。

森定: 図鑑の表紙は写真が主流だったので、イラストでは受け入れられないというイメージがあったんです。でも、力のあるイラストなので使いたかったことと、「MOVE」はほかの図鑑のように歴史がなかったので、インパクトのあるデザインを重視したんです。結果的に、イラストの表紙でも手に取ってもらえて、11冊まで巻を重ねることができました。

女性視点からみた「MOVE」の魅力は…


成清さんは今回から「MOVE」の一員に。

───今回から新たに「MOVE」スタッフとなった成清久美子さん、どういった経緯で「MOVE」の編集に関わることになったのでしょうか?

成清: 「MOVE」に入る前は少女マンガの編集を担当していました。元々、科学系の本をやりたいと思っていたのですが、その頃はまだ「MOVE」がなくて…。「MOVE」が創刊されると聞いて、ずっと携わりたいと思っていました。

───「MOVE」シリーズは、森定さんと大上さん、お二人のタッグがすごいですが、この中に入っていくのは大変ではないですか?

成清: そうですね。最初の打ち合わせのときは全く話の中に入っていくことができませんでした…。でも、お二人の話す内容の面白さは感じていたので、勉強していきました。今は、なんとかお二人の話にも少しずつ入っていけてると思います(笑)。

───今回はどんな部分を担当されたのでしょうか?

成清: 最新刊では打ち合わせからデザイン作業までイチから関わりました。まだまだ図鑑編集者としては新人なので、読者目線を大切に、分かりにくいところがないかをチェックしています。あと、6月にオープンした、「Web MOVE」のサイトも担当しています。

───「MOVE」に携わって、衝撃だったことはありますか?

成清: マンガ部署もそうでしたが、担当している方がみんな本当に面白がって作っている部分ですね。純粋に面白いことを追及しているところがすごく素敵だと思います。

───女性視点から見た最新刊の特長、みどころを教えてもらえますか?

成清: やはり写真の迫力と希少性はダントツだと思います。ダイオウイカの写真は女性でも「おお!」ってなります。個人的に衝撃だったのは、「ミツツボアリ」の写真。NHK「ダーウィンが来た!」で映像は観たことがあったのですが、写真のアップでみると本当に奇妙な生き物だなと改めて感じました。そして、さらに興味がわきました。「MOVE」のコンセプトにぴったりの1枚だと思います。
「植物」で驚いたのは「アリタケ」の写真。「アリなの?キノコなの…?」と戸惑いました。ビジュアルとしても衝撃的な写真だと思うのですが、それを1ページにドーンと使ってしまうのが、「MOVE」らしさなんだ…と。洗礼を受けた写真ですね。


森定: 冬虫夏草は載せようと決めていて、その中でもインパクトのある写真を探していました。

大上: 「MOVE」は、他では見られない写真をあえて載せていることがありますよね。アナコンダがワニを飲み込んでいるシーンとかは、映像でもなかなか使わないものですから。

森定: そういう、見るのをためらってしまう写真も「MOVE」ではあえて載せています。実際、生き物というのは生まれて死ぬわけじゃないですか。誕生も入っているなら、死も入れて、最初から最後まで本当の姿を載せる方が良いと思いました。そういうところは目を背けてほしくないですし。…とは言っても、読者の方から苦情が来たら考えなければいけないのですが、今まで写真に関する苦情は来ていないので、皆さんに受け入れられたんだと思うと、嬉しいですね。

成清: 女性は昆虫など苦手な方も多いかも知れませんが、子ども達が目をキラキラさせて喜んで観てくれているので、お母さんも目をそらさずにいてほしいと思います。

───今後は、森定さんと大上さん、成清さんの3人で「MOVE」を作っていくと思いますが、今後のスケジュールや、作りたい内容などを教えていただけますか?

成清: 来年、「星と星座」と「のりもの」が出る予定です。どちらも今まで出ている物とは一線を画する、「MOVE」らしさあふれる内容になると思います。

森定: ぼくは「いつか古代文明をやりたい!」と言い続けています!そのための映像を、今からお願いしています(笑)。

大上: お二人の希望に添える映像を提供し、さらに上を行くような提案ができるよう、頑張ります!

───最後に、絵本ナビユーザーに向けてメッセージをお願いします。

大上: 図鑑を見て、気になった部分を映像で観てもらえる面白さが「MOVE」のみどころです。特に「植物」DVD映像は、動かないと思われるものが動いているのが魅力なので、是非観てほしいです。「生きもののふしぎ」はダイオウイカをはじめ、普段観ることのできないとっておきの映像を盛りだくさん詰め込んでいますので、一生の記憶に残る映像がきっとあるはずです。

森定: 「MOVE」は創刊から変わらず、インパクトを重視し、子どもたちに驚いてもらえる写真・映像をメインに選んでいます。驚いてもらうことで、興味がわき、さらに知りたい欲求にかられると思っているからです。普通、図鑑は本棚にしまってあることが多いですが、「MOVE」は子どものすぐ隣、いつでもめくれる場所にあるような、新しい図鑑の形を目指しています。

成清: 今回の新刊は、本当にオススメの2冊です。「植物」は、皆さんが想像している「植物図鑑」のイメージを一新させる力を持っています。「こんなに動くんだ、こんな機能を持っているんだ!」という植物の姿を体験してください。 「生きもののふしぎ」はすべての生き物が網羅されているので、この中に必ず、興味を引く内容があると思います。「MOVE」のどれから買うか迷ったら、是非「生きもののふしぎ」から手にとってもらえると嬉しいです。



───今日は本当にありがとうございました。
今度の「MOVE」もやっぱりすごい!動きと驚き、ドキドキワクワクに満ちていて、これは大人も必読必見です。この2冊を手にした子どもたちは、これからきっと生き物や植物の不思議な世界のとりこになってしまうはず。
これから登場する新刊もますます目が離せませんね。



大人気「MOVE」シリーズが書店で大々的に展開されていると聞き、「ドクター・モーリー」森定さんと一緒にリブロ池袋本店に伺いました!

ドドーン!と図鑑のコーナーができあがっていました! 中心にある「MOVE」、オレンジ色のロゴが目をひきます。


書店員さんに新刊のみどころを直接伝える ドクター・モーリー、熱が入ります!

突然のお客様にも「MOVE」を薦めるドクター・モーリー。やはり真剣です!


店頭には「MOVE」のスペシャルDVDも流れていました。

リブロ池袋本店 児童書担当 山井洋子さん

「MOVE」は創刊当初から、とても人気が高く、多くの方が購入されています。私たち書店員も、お客さまから「小学校1年生から楽しめる図鑑はありますか?」と質問を頂いた際には、「MOVE」をオススメすることが多いです。「MOVE」は入学前のお子さんでも十分楽しめる内容の易しさと、ハッと目をみはる面白い写真のバランスがちょうどよく、文字が読めないお子さんでも、何度もページをめくってしまう力があると思います。
今年の夏は「MOVE」をはじめ、学研の「LIVE」や小学館の「NEO」など、図鑑の新刊、創刊、新版が目白押し!今後の図鑑ブームの動向もとっても楽しみです。
図鑑は夏にとどまらず、クリスマスや入学シーズンなどプレゼントとしての需要があり、年間を通して人気があります。
リブロ池袋本店では、お子さんの年齢に合わせて、図鑑を選べるよう、私たちも図鑑コーナーを充実させていきますので、どうぞ書店に足をお運びください。お待ちしております。

インタビュー: 竹原雅子 (絵本ナビ編集部)
文・構成: 木村春子(絵本ナビライター)

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