●ともだちがいてよかったな
───私自身が、大人のこの年齢になって「ともだちがいてよかったな」と思うのはどんなときだろうと考えたとき、自分の頭に浮かんだくだらないことや、とるに足らない話を、ともだちが聞いてくれるときだな、と思ったのですが……すごく独りよがりですよね(笑)。
いやいや、すごく大事なことじゃない!? くだらないことを聞いてもらえるっていうのはともだちの基本条件の一つですよ。
───谷川さんはどんなときにともだちがいてよかったなと思いますか? 今は。
───谷川さんのお話をうかがっていると、「ともだちがいない」と言いながら、たくさんの方々とのおつきあいがありますね(笑)。谷川さんにとっては、お母様でも、妻でも、たとえば義理の息子さんであっても、みんなすべてともだちになる可能性があるみたい。「ともだち」の意味が逆に広いのではないかと思ったりするのですが。
───おじいちゃんと孫くらいの子で、「としがちがってても ともだちはともだち」。夫婦でも「おかあさんとおとうさんも ときどき ともだちみたい」。そう考えると「ともだち」の範囲が広がりますね。
ええ、広げて考えたほうがいいでしょうね。
───たとえば部活やクラブチームでよく会う子は、「仲間」か「ともだち」か。相手にとって自分は「ともだち」かな?とモヤモヤしてしまったり……。親としてはつい、子どものともだちが気になってしまうこともあります。でも広く見れば、同世代のともだちだけが、ともだちじゃないですよね。
───「ともだちってなんだろう」と思っていたモヤモヤがすっきりしてきました!
「ともだち」を広げて考えたら、毎日の見え方が変わっちゃいそう(笑)。ぜひ親子や学校で『ともだち』を読んで、語り合ってみてほしいです! きょうはありがとうございました。
Q:中学時代から仲が良い異性のともだちがいます。このまま関係がつづけばいいなと思っていますが、周囲には「つきあっちゃえば」とすぐ言われます。

Q:小さい頃、転校が多く、思い出を共有できるともだちがいません。
Q:留学して帰ってきたあと、同学年のクラスメイトのなかに入りづらいです。どうやったら関係を深めていけるでしょうか。
ともだちっていうのは、自然にともだちになったらそれは理想だけど、なかなかそうもいかないじゃない。じゃあどうするかというと、やっぱり「つくる」もんだと思うんですよね。飲みにいこうよとか、もっと話そうよとか、授業の後にやってみたらいいんじゃないでしょうか。もしともだちが欲しいならね。

Q:大人になってから、ともだちとのつきあい方はかわりましたか?
今のほうがはるかにともだちをちゃんと大事にしていると思います。やっぱり大人になってから、人とのケンカや別れを経験したあとで、自分にとって「ともだち」って大事なんだとわかってきたから、ともだちを大事にするようになりました。
Q:子どものときを振り返って、もっとともだちをたくさんつくっておけばよかったなあと後悔したことはありますか。
全然ないです。僕は「一対一」が基本だと思ってるんですよ、人間のつきあいは。だからたくさんともだちがいたら、混乱すると思うね。僕、血液型がO型でわりと気をつかうほうだから(笑)。

記念にパチリ。玉川大学「教育学術情報図書館」にて。
35年以上前に書かれた『ともだち』が今なお輝いて見えるのも、人間への姿勢が一貫して、筋のとおったものだからなのだとあらためて感じました。ともだちは、自分がともだちと思えばともだち。自分と違っていても、家族でも、ともだちは、ともだち。そして「どんなきもちかな」と相手のことを考える大事さを、本から教えてもらった気がします!

●インタビューの模様の動画が紹介されています!
インタビューの模様を、玉川大学出版部のHPで紹介されています。