●お菓子と動物の関係性は……?
───「ポップコーン」のおはなしでは、ブタくんがヤギさんにポップコーンの作り方を教えてもらうというおはなし。食いしん坊のブタくんのうっかりが「たいへんなこと」を起こしてしまうというストーリー。動物と食べ物の組み合わせがとてもピッタリで、おはなしの中にグッと入っていけるように感じました。
ありがとうございます。登場する動物があまり重複しないように気をつけました。それと、「こんぺいとう」のおはなしのようにカンガルーだから成立するようなおはなしも意識して作るようにしました。
「こんぺいとう」
───カンガルーの子がお母さんのポケットの中でこんぺいとうを食べていて、ポケットからこんぺいとうがバラバラと飛び出す様子が、面白いおはなしですね。「さくらもち」のケムシや、「わたがし」のカメも、その動物とお菓子の組み合わせから生まれたおはなしなのでしょうか?
そうですね。それと、新聞に連載されたのは11月なのですが、「やきいもと だいがくいもと スイートポテト」のように季節にあったおはなしばかりでなく、「かきごおり」や「さくらもち」などほかの季節のお菓子もバランスよく登場させるよう気を付けました。
───さいとうさんご自身の、一番お気に入りの作品はありますか?
そうですね。できたときに「私って天才かな!?」って思ったのは「おせんべい」です(笑)。
「おせんべい」
───タヌキのおせんべい屋さんのちょっと切ないおはなしですね。
自分の中では高評価なのですが、あまり周りの反応がよくなくて……(苦笑)。その残念な気持ちも含めて、よく覚えています。
───おはなしが出来上がると、やはり読者の反応が気になりますか?
そうですね。連載は毎日新聞の朝刊に1か月間掲載されていましたから、息子を幼稚園に連れていくと、お友達が「今日のお菓子は「かりんとう」だったんだよ、ハリネズミがかりんとうを食べていてね……」とおはなしを教えてくれるんです。そういう身近な子どもたちの反応が見られるのもとても嬉しかったですね。
───お子さんたちの中で、特に人気が高かった作品は覚えていますか?
「くじつきガム」のように、最後に質問を投げかけるようなおはなしは、反応が良かったように思います。
───トラの子が「くじつきガム」で当たりを当てたけれど、そのガムを落としてしまうというお話ですね。
おそらく、自分たちも同じような場面に遭遇したことがあるんでしょうね。「フ―ってして、汚れを落としてから食べる!」という子がいたかと思うと、「でもさあ、どろどろになってたら、むりやし」と冷静に考えている子もいて、聞いていて「そうやって考えてくれているんだ」と面白かったですね。
「くじつきガム」
───子ども同士でいろいろ考えるきっかけになるなんて、ステキですね。
そうですね。あと「チョコレート その1」も子どもたちに人気でしたね。モグラの子がお母さんとチョコレートを作るおはなしなのですが、材料の中に「どろを おおさじ 2はい」のところで、必ず「ええー!」と子どもたちから声が上がるんですよ。
───その気持ち、わかります!(笑) おはなしの中には、チョコレートのように食べ物がそのまま登場しているものと、擬人化されているものがありますよね。擬人化されている食べ物の多くは、最後に食べられる運命なのですが、ちょっとブラックユーモアになりそうなところも、明るく描かれているように感じました。
「やきいもと だいがくいもと スイートポテト」や「クッキー」は、特に食べられることをポジティブに考えていますよね。よくよく考えると変なおはなしですが、タイトルが「おかしなおかしな」ですから(笑)。
「やきいもと だいがくいもと スイートポテト」
───たしかに、おかしなお菓子がたくさん登場しますものね。絵を描くときは、本物のお菓子を見ながら描いたのですか?
一冊のおはなしにまとまった後にも、ある小学校で物を擬人化させておはなしを作ってくれたところがあって、子どもたちの作った作品を送ってくれたりしました。おかしなお菓子のはなしをたくさん考えてくれて、とても嬉しかったですね。