●たるいしまこさんの絵が、物語をより生き生きとさせてくれています。
───本の中の随所に、イラストが載っていますが、たるいしまこさんの描くマッディやヘンリー、ロバートのイラストが親しみやすく、手に取りやすい装幀だと思いました。
原書には、物語のイラストはありません。表紙もあまり子どもが手に取りやすい感じではないので、今回のように親しみやすい表紙や物語のイラストを描き下ろしていただけるのはとても嬉しいことです。
───所々、カラーでイラストが載っているところも、見ごたえがありますね。
カラーページ、すごく良いでしょう。翻訳読み物のイラストでカラーが使われることはめったに無いんです。このページを拝見したとき、とても感動しました。
───どのページをカラーで描くかは、若林さんからお願いしたのですか?
いいえ。きっと、たるいしさんと編集さんが作品を読んだときに、目に浮かんだ印象的な場面を描いてくださったのではないかと思います。劇中劇のようなヘンリーの「じぶんだけのほんとう」である、帆船の船乗りのイラストは迫力があって、私にとって嬉しいサプライズでした。日の出の光が差し込む森の中でエリーがほかの動物たちと一緒にいる場面はとても美しいですよね。
───エリーは元々、動物は好きだけれど、リスは追いかけてしまう犬でした。でも、マッディと一緒に暮らすことで、リスが近くにいても追いかけなくなり、森の中では、動物たちに囲まれても静かにしている。とても成長したと思います。
そうですね。ロバートもエリーも、そしてジュディスも。物語の中で少しずつ成長しているように感じられるので、読んでいる方もそれぞれの登場人物を応援してくださるのではないでしょうか。