連載

思考と表現センスを磨く『幼児向け知育WEB教材“ぱむ”』発売記念連載!

2016/08/25

【連載】第2回 WEB教材「ぱむ」 開発者インタビュー

【連載】第2回 WEB教材「ぱむ」 開発者インタビュー

まるで絵本のような動画で、子どもたちが夢中になる知育WEB教材“ぱむ”。絵本ナビでは、“ぱむ”の発売を記念して、その魅力をシリーズでお伝えします。2回目は、ぱむの開発担当者である、喜多さんと砂川さんにおはなしを伺いました。

●大学受験は筆記からプレゼン形式に? 今から子どもとやっておくことは?
―― お二人は、知育WEB教材「ぱむ」の開発を担当されていますが、どのような経緯で、このプロジェクトが発足したのですか?
喜多:もともと、私が20年余り「ワオ・コーポレーション」の能開センターに在籍していたことがきっかけです。能開センターでは、中学受験を目標とした小学1年生から3年生の授業を行っていました。その後、幼児を対象としている、能開プレスクールへ異動しました。ここでは、小学受験指導と教材制作のリーダーを担当していました。

砂川:私は普段、小中高生向けの教材映像やプロモーション映像を制作しています。プロジェクトに入ったきっかけは、喜多さんからお声掛け頂いたので。「ぱむ」では、技術面を担当しています。
―― 喜多さんは元々、授業を行ったり、受験用教材を制作する部署にいらしたんですね。
喜多:そうです。授業や教材制作をしていく中で感じたのが、文章理解の程度によって、子どもたちの自己表現のようすが変わってくるということでした。
例えば、小学校3年生のクラスを4クラスに分けたとき、学習経験が豊富なクラスは、質問に対する読解力と理解力が優れているため、自己表現の力もあり、活発な授業になります。でも、学習経験が少ないクラスは、質問の内容が分からない。なので、答えられなくなり自己表現も難しくなります。なぜ、それほどまでに差がついてしまうのか…、いろいろな生徒さんを見ていく中で、ある力が圧倒的に足りないことに気付きました。
―― その力はなんですか?
喜多:「語彙力」です。分からない語彙が出てきたら、思考が止まってしまうんです。 語彙が乏しいと、質問の意図をくみ取りにくいため、自分で答えを引き出すことも困難になってきます。その差は高学年になるにしたがって、どんどん広がっていきます。なので、小学校に入るもっと前の段階から、語彙力をつけ、それを使う経験をしておいた方がいいと思いました。
開発を担当した喜多輝美さん。
―― 「ぱむ」は、小学校受験を見据えている子どもたちを対象にしているのですか?
喜多:もちろん、お子さまの目標が小学受験であればその対策として使っていただけます。しかし、それだけではなく、改革されようとしている大学受験の対策にも使えるのではないかと考えています。
―― 大学受験が改革されるのですか?
喜多:2016年度から一部導入がはじまりましたが、今までの知識を詰め込むような筆記試験だけではなく、例えば「中学一年生から高校三年生までで、あなたが行ったことを書きなさい」というようなプレゼン形式の試験が、今後大学入試で行われると言われています。実際に京都大学などでは、一次試験でレポート提出が求められることもあったようです。このような取り組みは、大学側の期待がとても大きいと伺っています。自分を主体的に表現するためには、先ほどお話したとおり、幼児期からの学びが重要です。そのために「ぱむ」のWEB教材を使っていただきたいと思っています。
―― 自分を主体的に表現するためのノウハウが「ぱむ」のWeb教材には詰まっているのですね。具体的にどのようなことを考えて、開発は進んでいったのですか?
喜多:弊社には40年以上培ってきた教育のノウハウがありますので、まずは、それらを分析しました。その中で、「教科別」という内容に疑問を抱くようになりました。
―― 教科というと、「国語」「算数」「理科」「社会」といったものですよね。
喜多:そうです。「社会」という授業をしていると、子どもは自然と「今は社会の授業」と考え、その中で分からないことが出てくると「社会=苦手」になってしまいます。でも、「社会」には数学的にグラフを読み解く力も必要です。「社会」の中に「算数」の授業も入っているのです。
―― たしかにそうですね。
喜多:勉強では「国語」「算数」「理科」「社会」と分けてしまうのではなくて、それぞれで学んだ知識や情報をつなげることが大切になってきます。それならば、まだ学校で教科を教わっていない幼児期に、その基本的な考え方を身につけてもらえればと思いました。
―― それで「ぱむ」のテーマは「役立つ数」や「ストーリータイム」という独自の分類になっているのですね。

喜多:そうです。現在は、「役立つ数」「空間把握」「要約」「量の感覚」「記憶&メッセージ」「ストーリータイム」の6つのテーマになっています。これらは、それぞれのテーマを横断するような形で制作しています。国語的にお話を進める中で、算数的に数を数えたり、分けたりというような構成になっています。ただ、幼児期において、「教科別」ということが頭の中にあるのは、お子さまではなく、親御さんの方ではないかなと思います。幼児期は、家庭内にいる事が多いので、お子さまをとりまく、大人たちの意識を少し変えていただく必要もあるのかなと思っています。
―― 早い段階から大人の意識を変えていって・・・・・・
喜多:そうですね。小さい頃は、大人から「これ好きでしょう」とか言われたりしますよね。会話していても、「きょうのおやつはこれね」と決められてしまったり。圧倒的に自分で決めることが少ない。ちょっとしたことですけれど、お買い物に一緒に行ったときに、きょうのおやつを自分で選ぶだけでも私はいいと思っています。そんな何気ないことを自分でちゃんと選択できる。たとえばパッケージのイラストが好きだから選べるとか、あると思うのです。お子さんなりの理由づけが。そういうのがあるご家庭は、ステキだなと思います。
「ぱむ」を使っていただけると、「何かを決めて自分の考えを表現する」というシーンがたくさん用意されています。「ぱむ」は映像教材なので、まずは「聞く」ことからスタートします。次に、聞いたことに対して「問いかけ」がたくさん用意されています。お子さんの、自分から聞こうとする姿勢と、問いかけに対して自分の考えを表現する・発話する姿勢を育みます。
―― コミュニケーションの基本ですね。
喜多:幼児期にそのような力を身につけると、小学校というコミュニティに入ったときに、相手の話をきちんと聞くことができると思います。そういうお子さんは、人に恵まれると思うのです。愛される人になるというか。そうすると、お子さんひとりひとりの未来の開け方がまた違ってくるだろうなと感じます。
●WEB教材と教室の違いとは……。
―― 「ぱむ」はWEB教材ということですが、教室に通うこととの違い・魅力などを教えてください。
喜多:お父さんやお母さん、お忙しいですね。ですから、お父さんお母さんが一生懸命、お子さんに対して「問い」を用意したり、考えてお話するというのは、なかなか続くものではないだろうなと思います。そこを「ぱむ」でサポートできるのではないかと思っています。
あとは、地域差がないことです。幼児教室が近くになくても、「ぱむ」はWEB環境があれば、全国どこでも・いつでも、海外でもご利用頂けます。そうした特長を色々な先生方に見て頂いたのですが、嬉しかったのが、「親子をつなぐような、いわゆる接着剤的なものになるね」と小学校の先生に仰って頂けたことです。絵本もそうですよね。
―― そうですね。よくコミュニケーションツールと言われてますね。

喜多:どうして「ぱむ」を、絵本ナビさんに掲載していただきたかったかというと、絵本を読むときに生まれるような、親子の対話が育まれるからなのです。それも、かなり積極的に。「ぱむ」の映像からは、「あなたはどう思いますか?おうちの方とお話をしてみましょう」という風な問いかけが発せられます。親子の対話を促す仕組みを、たくさんちりばめているのです。
―― 喜多さんが、「ぱむ」でやりたかったことは、対話やコミュニケーションということなのでしょうか?
喜多:そうですね。普段、日常生活に追われていると、お子さまが「成長した」瞬間を見逃しがちなのではと思います。逆の瞬間は、いっぱいあるかもしれませんが。「えっ?できなかったの」とか「まだ片付ない!」とか(笑)。なので、「ぱむ」をしている間は、お子さまの成長を実感してもらいたいなと思っています。「この子はこんなにお話できるんだ」とか「へえ、こんなことが好きなのね」とか。
些細な会話を通して、お子さまの成長を見守ってあげてほしいのです。「わー、これできたね!」「すごいね!」って、言ってもらえるだけでも、お子さまは大喜びだと思います。好きな人に「すごいね!」って言ってもらったら嬉しいですよね。
―― うんうん。
喜多:そういう対話が、家庭内で自然に出てほしいなあ、というのが「ぱむ」を開発するときの軸になっています。そのイメージというのが、HPで流しているCMです。
―― それがこの動画ですね。とっても楽しそう!
喜多:実はこのCMを撮影するとき、キャストの方には台本なしで臨んでもらいました。子役さんは、シナリオを渡すとその通りに読まれてしまうので、渡さずに。そのまま「ぱむ」の映像教材を見て、自然体で、思ったことをそのまま言ってもらうようにしました。
―― 子役さんたちも本当に楽しんでいる表情なのですね。すごくいい笑顔です。
喜多:お母さん役をしてくださっているアナウンサーの方は、3歳のお子さんがいらっしゃったので、子役のみなさんへの言葉かけが、すごく自然でした。
―― 対話が続くような言葉かけを上手にされていたのですか?
喜多:そうですね。基本的に「ぱむ」の映像教材は、親子で一緒に見ていただきたいなと思っているので、このCMで「ぱむ」のイメージがご家庭に伝われば嬉しいです。テレビやゲームはお子さまが一人で黙々と見入っちゃうことが多いかと思うのですが、ぜひ「ぱむ」をきっかけにして、お話を続けてほしいのです。
―― 知り合いで、お子さんにiPadを使わせているという方が多いのですが、家事をしている間に「ひとりで見ていてね」と、iPadを手渡してしまう方も多いそうなんです。けれど、「ぱむ」のCM動画を見ると親子で一緒にやっている姿がいいなあと。
喜多:ありがとうございます。「ぱむ」の映像は1ステージが3つのステップに分かれていて、1ステップ当たり、止めながら対話をしたとしても、10分くらいです。それ位であれば、なんとか親御さんに割いていただける時間かな、と思っています。ただ、同じステップを何回か繰り返し見るときは、お子さま一人で見て頂いても構いません。それで親御さんが安心していただければ、良いと思っています。絶対にこういう風にこの教材を使ってほしい、というのはあまりなくて……。どちらかというと、この教材を通して、気持ち良く過ごしてほしい。親御さんのストレスができるだけフリーになってほしいという思いがあります。本当に、楽しみたいときに、ぱっとすぐできるのが、WEBの良いところだと思います。
テーマ“役立つ数”ステージ20「クマくんの誕生日」
ステップ1「誕生日ケーキ」
ステップ2「誕生日にご招待」
ステップ3「小鳥さんもどうぞ!」
―― 子どもって、すぐに次のことへと興味が移っていきますもんね。
喜多:そうですね。でも、したいときにすぐできると、ぐんと伸びると思うのです。それだけで、集中力も意識も全然ちがうので。記憶力もぐんと伸びますね。記憶を脳内にキープする力は、小学校低学年位までしか伸びないと言われていますが、「ぱむ」はそのお手伝いもできるかなと思っています。

砂川:「ぱむ」の映像が特殊だなと思うのは、何度も前のシーンで起こったことを尋ねるんです。「お皿には何がのっていましたか?」「いちごでしたね」と繰り返す。普通の映像ってそういうのが全くなくて。絵本とかもあまりないと思うんですけど、進んじゃったら進んだままですよね。でも「あ、そういえばさっき、いちご出てきたな」とか「何個あったかな、10個あったな」って考えることで、脳が活性化されると思うんです。
喜多:そうです。繰り返していると、後半のステップではお子さまも自信をもって発言できるので、より親御さんに褒めてもらう機会も増えますよね。問いかけも、ステップ1の最初のページは、わりと誰でも答えることができるようなものが多いです。「誰がでてきましたか」「ぞう!」みたいな。2歳でも言えますよね。

砂川:2歳の男の子にも実際に「ぱむ」の映像を見てもらたんです。電車が好きな子だったみたいなのですけど、新幹線が出てきた瞬間だけすごいテンションあがって「しんかんせん!」って叫んでいました。

喜多:あと、お父さんお母さんによく言われるのは「大人でも、なにげなく聞いてると、何を聞かれているか分からなくなる」と。

砂川:記憶を問うシーンもたくさん出てくるので、真剣に聞いていないと「なんだったっけ?」となりますよね。でも、楽しんでいるお子さんは、集中力がすごいので、しっかり聞いていて、どんどん発言していきますね。

喜多:大人は、「幼児教材だから、なにげなく聞いているだけで大丈夫」と思いがちですが、ぼーっとしていたら、全然わからなくなります。弊社の若手社員も、すごいことを言っていました。クマちゃんがおつかいに行って野菜を買うシーンで、「今からでてくる野菜の名前を言ってね」という問いかけがあるのですが・・・・・・。そこで、自分の名前、言っていました。
―― 自分の名前をですか(笑)?
喜多:「名前を言ってね」の部分しか聞いていなかったみたいです。年中の男の子といっしょにしてもらっていたのですが、
男の子は唖然としていました(笑)
―― 「このおじさんは急に何を言いだすんだろう?」とビックリしたのかもしれませんね。
喜多:大人と子ども、一緒にしていると、そういうことが起こるおもしろさがあります。

砂川:お父さんお母さんだけでなく、おじいちゃんおばあちゃんも、お孫さんとぜひやって頂きたいですね。
―― 若いご家庭だけでなく、3世代で。
喜多:お子さまには、色々な人と、色々な対話をしてもらいたいですね。同じ教材でも、一緒にする人によって話す内容が変わるのが、「ぱむ」の良いところだと思います。野菜が出てくるシーンでも、お母さんなら、これで晩ご飯何を作ろうかな、とか。おじいちゃんおばあちゃんだったら、育て方の話をしてくれるかも・・・。教材が対話のきっかけになってくれるとうれしいです。
―― 「ぱむ」の開発に関するお話を、いろいろ伺い、ますます多くの人たちに知っていただきたくなりました。今日は本当にありがとうございました。
●開発時の幼稚園体験会でのエピソード 

「ぱむ」の開発には、幼稚園や保育園のお子さんの声を聴くことが欠かせません。今回は、4歳・5歳児とその保護者の方々に試してもらった様子をレポートします。 
教材は、テーマ役立つ数から「ちょうのお花屋さん」です。この教材のめあては【情報を主体的にキャッチ】です。
ステップ1の最初に質問は、
“お花屋さんにやってきたのは、誰かしら?”
みんな元気に「ネズミ!」と答えます。
次にネズミが「ピンク色のチューリップ2本とオレンジ色のチューリップ1本で、花束を3つ作ってほしいでチュ」
すかさず、“ネズミさんはどんな花束がほしいのですか?”と映像からの問いかけがあります。
…すると
「3つ」
「ピンクが2本」
「ピンクとオレンジのチューリップ」
「ピンクとオレンジが3つ」
……など、みんなで伝え合います。
完全でなくてもいいのです。
自分の考えを伝えたいという姿勢が、とてもステキなことなのです!

また、ある画面では、
“あなたは何か気づきましたか?”という問いかけに、
「ほらあそこ!」
「ピンクがないね」

「オレンジは大丈夫」
「ちょうが忘れてる」
「ちょうが笑ってる」
「1本少ない」
……と、次々と回答が。
参加されている親御さんの中には、ついつい正しい答えをいいそうになる方もいましたが、すぐに、“何がいくつ足りませんか?”ちゃんとフォローの問いかけが。
すると、よーく聞いていたお子さまは
「ピンクが1本、足りない」と言って、にっこり。

「お母さん、お父さんは、いかがですか?」とスタッフが声をかけると、お母さん、お父さんは困ったようにみなさん、無言で苦笑。
でも、「みんなは、どう思う?」と子どもたちに問いかけると、元気に挙がる手、手、手。
「ほかのお花屋さんに買いに行く!」
「花壇からとってくる!」
「赤いチューリップにする!」
「黄色にする!」
「足りないけど、いい!」
次々と個性満点の意見が続きました。
それを見ていた親御さんたちは、驚き!から笑顔へ!
お子さまの頭をなでながら
「へーそうなの」
「すごーい!」
「おもしろいね!」
このように,、親子の声を聴き、それを取り入れながら、開発は進んでいきました。


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