この春、小学生になった息子が自分で学校の図書室に行って本を借りてくるようになりました。
今までは、私が主に選んだ本を読み聞かせていたので、どんな本を持って帰ってくるのか、
毎日、興味津々。
その3冊目がこの本で、表紙を見せてくれた時に、私とその場にいたママ友は思わず
びっくりして、目を見合わせてしまいました.... というのも、そこには、副題に「やっぱり
ぼくはぼくでいい」、生きかたを考える本って明記してあり、“え? いくらなんでも、
この本を読むには6歳では、まだ早いんじゃない?”と思ったからでした。
しかも、読み聞かせてみると、なんだか主人公のチキンマスクは息子に似ているんです。
勉強はまだやっていないからどうなのか分かりませんが、手先が不器用で図工が下手なところ、
運動神経が鈍いところ、弱っちいところ...
この子はこの本を読み進んで、今、どう思っているんだろうとこちらが心配になった程です。
でも、結局、話は、チキンマスクが憧れの他の子のマスクを全部かぶってみて、最初は何でも
出来て大喜びなのに、段々とその姿は自分でないことに気付き、自分自身の良さを見つける
展開に、親の私はホッと一安心する傍ら、一貫して黙って、でもじっくり聞きながら絵に
見入っていた息子にはきっと心に響く内容だったんだろうなと確信しました。
副題から大人は想像出来ますが、そうです! この本は、自己肯定感を高めることを
教えてくれる本でした!
形式は絵本ですが、漢字がたくさん使われています。その点で、早くても小学2・3年生から
を対象にした本かな?という気がしますが、でも、すべての漢字にルビがふってあるので、
1年生からでも十分に読めると思います。
本の最後のページに作者:宇都木美帆さんが教育学部を卒業されて、本を出版した
当時は現役の小学校の先生であること、そして、作者の一言として、誰一人同じ人はいなく、
どの人も主役であることを伝えたいとありました。このような先生がいることをとても嬉しく思います。
絵がなんだか漫画チックで、マスクをかぶっているところが絵だけを見ているとその印象を
さらに強めているように思いましたが、あえて、“人はマスクをかぶっているようなもの”、
そして、主人公がチキン=臆病者と隠喩していると捉えると、伝えてくれる内容も勿論のこと、
全てが計算されたハイセンスな作品だなと改めて感嘆します。
息子に、どうしてこの本を借りてきたの?と読み終わって聞いたところ、
「(大好きな担任の)先生が大好きでおすすめだって言った本だから」と、とても子供らしい
回答が戻ってきて、ちょっとだけ安心しました(笑)。でも、よい絵本を紹介してくれた
先生に本当に感謝です。
きっと息子は、これからもうちょっと先につまづくことがあるかもしれません。
その日にもう一度、この本のことを思い出して欲しいと思います。
とてもよい内容でした。特に自分に自信がちょっとなくなっちゃったお子さんにお奨めです。
もしかすると、本当は大人にもお奨めかも.... 是非、読んでみてください。
(汐見台3丁目さん 40代・ママ 男の子6歳)
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