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ピーマン、シシトウ、タカノツメ、パプリカ、トマトピーマン、いろいろあるけれど、じつは、どれもみんな兄弟なんだ。 熱帯アフリカをふるさとに、辛い仲間が世界に広がって、やがて、辛くない仲間が野菜として食べられるようになってきたんだ。おなじひとつの作物が、香辛料と野菜に分かれて、世界の料理に欠かせない食材になってきたんだよ。
ピーマンの栽培方法を中心に、植物としての特徴、仲間、料理、利用法などを紹介した実用書。
2003年刊行。宮崎県でピーマンの促成栽培委に関わった専門家が、当時の懐かしい思い出も披露。昭和39年に栽培が始まり、昭和53年には日本一の促成栽培ピーマン産地になったという。
独特の香りや苦みなどから、子どもには嫌われていたが、当時は大人も苦手な人が多かったそうだ。市場で売れたり、熟れなかったり、いろいろと不安定な時代を経て、現在はどこでも年中売っている野菜になった。
なんとなく日常の風景の一部でしかなかったピーマンだったが、自動で袋詰めできることで農業従事者たちがずいぶん楽になったうえ、流通させやすくなったという。
私は手作業で野菜の袋詰めをしていた経験があるので、
このことの素晴らしさがわかる。
機械がどんどんやってくれるお陰で、「若者は夜になると安心して酒を飲みに出かけられ、ご婦人はテレビの前に座ることができたのです」。リアルな体験談が印象的だ。
ユニークな形で楽しいイメージだったピーマンの、意外な一面が見られて、ますますピーマンが好きになった。
日常、なんとなく見られるものにも、いろんなドラマがあるのだなあ。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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