もう一度演じたい、子どもたちの喜ぶ顔が見たい。その思いが声を取り戻すための努力をつづけさせた。夢の尊さを教えてくれる感動物語。
昭和初期から30年代頃まで、多くの子どもたちを魅了した街頭紙しばい。時代の流れによって、街頭紙しばいも紙しばい屋さんも姿を消してしまった。しかし、そんな中で、紙しばいの良さを伝えていこうと、今でも紙しばい屋さんとして活動している森下正雄さん。子どもたちの笑顔と、紙しばいの面白さに惹かれ、紙しばいにすべてを捧げた森下さんに、ある日思いもよらない悲劇が襲いかかった。
声のかすれを感じ、病院へ行った森下さんに告げられた病名は「喉頭がん」。手術を行い声帯を摘出することになった。しかし、再び紙しばいを演じたいという気持ちを失わなかった森下さんは、手術後、声を取り戻す練習を必死につづけた。ところが、紙しばいができるような声は戻らない。そんなある日、森下さんに一通の封書が届いた。
紙しばい屋さんの命ともいえる「声」を失いながらも、あきらめない気持ちと、人々の優しさと励ましによって、夢を叶えた感動の物語。
続きを読む