イスラム教発祥の地、そして世界有数の石油大国の顔をもつ国。 現代的でありながらも、宗教に深く根付いたくらしが印象的です。
2009年刊行。サウジアラビアの大人と小学生の日常生活を取材した写真絵本。歴史、宗教、食文化、学校生活、人気のスポーツなどを通して、現地の雰囲気を伝える。巻末には国のあらましをまとめた年表や歴史などの補足情報あり。
よく取材できたと思う。男性記者なのに、女子の学校も取材させてもらったのは幸運だ。イスラームの教えに沿って人々が生活しているので、小学校から男女が別。服装は「アラブ人」といえば連想できる伝統的な長衣。しかし、現代的な機器も当然導入されており、砂漠には車やバギーで行くし、学校ではコンピュータの授業もある。想像と違うところもたくさんあって、驚きが多い。
「年に1度か2度、大雨がふると枯れ谷が水であふれ、時には大洪水を起こすことがある」と説明された写真は、まったく1本も草が生えていない砂漠。こんなところに雨が降るのか?と不思議な気持ちになった。
厳しい環境でも、人が住んでいる。しかも歴史が古く、いろんな出来事があった。複雑な中東の歴史をわかりやすくまとめた巻末資料は必見。
イスラームの生活で欠かせないお祈りの仕方が、丁寧に紹介されている。朝5時くらいに最初のお祈りをした後、2度寝。6時半ごろから本格的に起きだす…お祈りタイムは全員参加で、これによって生活のリズムを作っている。
こんなに日本と違う生活をしているのだから、イスラム圏の人が日本で暮らすのは大変だと思う。気軽に旅行できる場所ではないので、なかなかお会いする機会のない人々だ。本の中でちょっとだけ交流できた気がして面白かった。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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