───最近は「プータンがシリーズだなんて知りませんでした」という声も聞かれるとか。子どものころ出会った1、2冊しか知らない方も確かにいらっしゃるかもしれませんね。
では、全国の隠れプータン・ファンのみなさんのために、現在発売中の9作品を順番にご紹介しましょう!
電話の次につくったのが、時計のしかけ絵本『プータンいまなんじ?』です。時計って、一人でカチコチ動いたり、とつぜんりんりん鳴りだしたり、まるで生き物みたい。あの中には何が入っているんだろうと不思議でたまらないですよね。うちの息子も目覚まし時計を3つ解体しましたから(笑)。
「時計が読めるようになる」のは、幼い子にとってうれしいこと。なぜプータンは時計が気になるのかというと、ちゃんと理由があって、おばあちゃんが来る日だから。プータンは待ち遠しくてしょうがないのね。「3時にくるよ」と聞かされていても、「いまなんじ?」って時計を何度も見てしまう。そして時計を読めたことが誇らしくて、おばあちゃんにもそれを教えてあげたいと思うんですね。
時計の型は、電話のときと同じおもちゃやさんにお願いしました。針の太さはこれくらいにしてくれ、必ず本物の時計と同じように長短針が連動するようにしてくれ、ふつうの絵本の形におさめたいから7ミリ以内じゃなきゃいやだとか、いろいろ言いましてね(笑)。
『もしもし…プータンです』の電話はなんとか7ミリ以内におさまったのですけど、『プータンいまなんじ?』の時計は、厚みがぎりぎりだったので台紙に穴をあけてはめこんであるんです。そして裏から丈夫なシールを貼ってあるの。本邦初公開です(笑)。
───本当ですね!気づきませんでした! 裏表紙で厚みを吸収しているんですね。
『プータンなんになりたいの?』は、数遊び盤がついていますね。
数遊び盤は、おもちゃやさんから「次はこんなのどう?」と提案があったのね。
黄色が1個、青が2個、緑が3個、赤が4個。ぜんぶで10になるように小さな玉が入っています。
数遊び盤をおなかにくっつけて「ぐるーりぐるり」とじゅもんをとなえる変な形のロボタンがかわいいでしょう(笑)。ロボタンの質問にこたえて、4色の玉を数えることができたら、なりたいものになれちゃう! プータンは、コックさんやパイロット、野球選手や探検家になります。でもさいごは、「パパとママのこどものプータンになりたい」と言ってもとにもどります。おもちゃやさんとはしょっちゅう顔をつきあわせ、話し合って物作りをしましたねえ。
そして『プータンおばけだよ』は、めくりがついているしかけ絵本。これはシンプルだけど、幼い子にもかんたんにできて、楽しいですよね。遊園地でプータンがパパといっしょにおばけやしきに入るんだけど、めくるたびにおばけがいるの。パパと一緒ならこわくないはずなのに、途中でクモにおどろいたパパがいなくなっちゃった! でもさいごにはパパに会えます。
───『プータンなにかいてるの?』は、かいて・けして・またかける絵本。プータンが塀にながーい電車を描いていると、お友だちがやってきます。絵本の中に絵を描いて遊ぶ絵本ですね。付属のペンが描けなくなったらペンだけの注文もできるんですか?
250円切手を同封してご注文くだされば、新しいペンをお送りしますよ。布やティッシュペーパーでもかんたんにふけますからね。おうちに1冊くらい「落書きしていいよ」と言える絵本があったら、楽しいでしょうね。市販のホワイトボード用マーカー、水性マーカーも使えます。
同じくペン付属のらくがき絵本『ぴんきいしろっぷちゃんのらくがきえほん あそぼ!』という本も出版しています。これは特別支援学校の教科書としても十数年使われているんですよ。(*このタイプの絵本は、書いたあとしばらくそのままにしておくと、こびりついてとれなくなる場合があります。そのときはベンジンでふいてくださいね。)
『ぴんきいしろっぷちゃんのらくがきえほん あそぼ!』
『プータンどこいくの?』は、車のタイヤを動かすときのカチカチカチっていう音がお気に入り。バネと歯車で、本物そっくりにタイヤが回るしかけになっています。いろんな車が出てくるので車好きの子におすすめ。この絵本を描くために奈良坂さんはチョロQをたくさん買い集めたんですよ(笑)。
裏表紙には、おじいちゃんのうちまで行ってしまったプータンを、あわててパパとママが迎えに行く絵が描かれています。毎回、裏表紙には何を描こうかって、奈良坂さんと楽しんでいるんです。
『プータンかくれんぼ』もめくりの絵本。「もういいかい」「まあだだよ」とオニになったプータン、ねずみのチョロをさがします。家じゅうの扉を「ここかな」とあけるのが楽しいですね。大きな冷蔵庫をあけるシーンもお楽しみ。
『プータンおばけだよ』はめくる紙を上から貼っているんですが、これは紙をはぎあわせたなかにも絵が描いてあるのがおもしろいところです。子どもは一度読んでお話がわかっていても、何度でもめくりたいもの。気がすむまでめくらせてあげてくださいね。
『プータンのすいぞくかん』は、貼ったりはがしたりできるプータンのシールがついています。「プータン、いっしょにおよごうよ」イルカくんの呼ぶ声に、プータンシールをぺたりと貼るとあっという間に海の中・・・。プータンが魚たちと泳ぐ絵本のできあがり!
奈良坂さんとあちこちの水族館を見にいっていたとき、八景島シーパラダイスの一番上の階の、水槽の前で小さな女の子が泳いでるのを見たの。お魚になりきってぐるぐる水槽の前をいったりきたりしてるのね。ああ、この子は魚と一緒に泳いでいるんだな、と心を動かされました。その出来事がもとになっています。
- プータンとしんごうのパックン
- 絵:ならさか ともこ
文:おおむら ゆうこ - 出版社:JULA出版局
交通公園からやってきた信号のパックン。
「とまれ、とまれ! しんごうは あかだぞ!」
プータンたちを通せんぼしてしまいます。
でも、みんなが「おかしいよ!」って怒ると、しょんぼり。
「だって おれさま、みんなと あそびたかったんだもん」
プータンたちは、パックンと森のひろばで遊ぶことにしました…
「あおはすすめ、きいろはちゅうい、あかはとまれ」
自分で青・黄・赤のランプを押しながら
お話を読み進める《信号の絵本》。
プータンやパックンと友達になって、
交通ルールを楽しく覚えましょう。
ボタンを押すと色が変わります!
『プータンとしんごうのパックン』では、パックンをどんなキャラクターにしようか、奈良坂さんと話し合いながら考えました。みんなと遊びたいからと、赤信号で通せんぼをしてしまうパックン。でも仲直りして森のひろばで遊びます。お話を読みながら、子どもがあお・きいろ・あかの信号のボタンを自分で押して、交通ルールを学べる絵本です。
『しんごうのパックン』構想中のスケッチ。