新しい過去 多様な民族とともに生きた人びとの気配に満ちている。 石と水がつなぐ、2つの宮都にはじまる土地の記憶と記録。
奈良県の中央部に広がる飛鳥・藤原地域は、6世紀末〜8世紀初めの約100年間、飛鳥京と藤原京という2つの宮都が存在し、国づくりの礎が築かれた地です。 写真家・石川直樹は、5年間にわたってこの地をたびたび訪れ、ときには山の奥深くへと分け入りながら、古代の人びとの息遣いに耳を澄まし、現代まで続く営みの深部に迫るべく、撮影を繰り返してきました。 宮都にまつわる大きな史跡を辿る一方で、石川の視点は、まちのあちこちに残る不思議な石たち、豊富な水源、地元の祭祀に注がれます。 古墳時代から天皇を中心とした中央集権国家への転換という大きな歴史の流れと、多様な民族と混じり合いながら生きた市井の人びとの物語。両者を行き来する石川が出会った「新しい過去」とは。 写真を手がかりに現地を歩きたくなる、マップと年表(別刷)付きです。
解説:青柳正規、山田隆文
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