狂女の救済!
精神病理学を応用した人の死なないミステリー。
佐藤春夫は性格描写と心理描写がほんとうにうまい。
池澤夏樹(作家)
天才作家・島田清次郎(シマセイ)をモデルに描く問題作!
文豪の傑作推理、70年ぶりの文庫化!
谷崎、芥川、佐藤とならべると、佐藤春夫が最も探偵小説に近い作品を書いている。探偵小説風の作としては、前記「中央公論」増刊にのった「指紋」が最初であるが、これなど純探偵小説といっていいものだし、本巻にのせた三篇なども、ほとんど純探偵小説なのである。ここに佐藤春夫の特徴がある。彼は探偵小説を他の作家のように軽蔑せず、それを意図して書く場合があるように思われる。戦後に発表した「女人焚死」なども、よく調べた犯罪推理の物語で、他の何よりも犯罪推理に力がはいっているのでも、それがわかるであろう。 江戸川乱歩(東都書房版『日本推理小説体系1 明治大正集』解説より)
あらすじ
医学生の大場は、ある晩、自殺を図ろうとしている女性を保護し、姉と共に暮らす自宅へと連れ帰った。だが彼女は頑なに事情を語らず、警察へ行くことはおろか、名前を明かすことも拒み続けた。大場に相談を受けた猪俣助教授は、彼女が心因性ヒステリーであることを見抜き、精神分析を用いて少しずつその病因を解き明かしていく――。大木志門「佐藤春夫と島田清次郎」、吉田精一解説も収録。
〇解説・日下三蔵
装画・横尾忠則 装丁・柳川貴代
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