「子どもに伝えるには、
もう間に合わなかったけれど
せめて孫には伝えていきたい」
「でも、自分の言葉ではうまく話せない」
2011年から大人向けに
「古事記塾」を全国30か所以上で
主宰してこられた今野華都子氏は、
塾生たちの中から、
何度もそんな声を耳にしてこられたといいます。
その切なる想いに応え、出版されるのが本書です。
文章、挿絵はすべて今野氏による描き下ろし。
全頁フルカラーで、お子様に
読み聞かせもしやすい判型。
紡がれる美しい日本語のリズム、
神秘的で温かな挿絵たちに、
大人も子どもも思わず胸を打たれる内容です。
お子様、お孫様へのプレゼントはもちろんのこと、
神話の本を読むのは初めてという大人の方にも
ぜひおすすめしたい絵本です。
刊行に込める想い
この絵本は、「古事記を正確に教えたい」から
生まれたものではありません。
知識を身につけてもらうためでもありません。
ただ、一緒に見て、感じて、
同じ時間を過ごせるものがあったらいいな、
その想いから生まれました。
私は長年、大人向けに古事記を学ぶ場を
続けてきました。
その中で、何度も耳にした言葉があります。
「子どもに伝えるには、
もう間に合わなかったけれど
せめて孫には伝えていきたい」
「でも、自分の言葉ではうまく話せない」
そんな声でした。
古事記は、何かを教え込むための物語ではありません。
失敗する神もいれば、遠回りをする神もいて、
うまくいかないことも、やり直しも、
そのまま描かれています。
だからこそ、読む人の心にそっと残り、
「生きるって、これでいいんだ」と思わせてくれる。
この絵本は、小学生の子どもたちに
そしてそのそばにいるお母さんやお父さんに
さらに一緒にページをめくる
おじいちゃん、おばあちゃんに向けて描きました。
説明しなくてもいい。答えを出さなくてもいい。
ただ同じ絵を見て、同じ物語を感じる。
その時間そのものが、もう十分に
「伝える」ことなのだと思うのです。
私自身、視力の不調を経験し、
「書けるうちに、残しておきたい」
という想いが強くなりました。
これは使命というより、
今、できることを静かに形にしたという感覚です。
この絵本が、誰かの本棚の奥で眠るのではなく、
ふと手に取られ、何度も開かれ、
世代を超えてページがめくられていく。
そんな存在になってくれたら、
これ以上の喜びはありません。
今野華都子
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