風が吹き、落ち葉を巻き上げました。落ち葉はくるりくるりと舞いながら、遠くへと飛んでいきます。それを見ていたぞうのフニフは、友だちのワニのワムくんに尋ねました。「ねえ、風はどこからくるんだろ?」「ぼくたち、風のかくれ家をさがしてみるひつようがあるね」ふたりは、大きな風船20個と二人乗りのかごを用意し、オレンジ10個とドーナツ10個を持って出かけていきます。
素直でちょっぴりおちゃめなぞうのフニフと、おおらかでしっかり者のわにのワムくんの、かけがえのない日常を描いたおはなし。「風はどこへ?」のおはなしの他、ふたりで絵を描く「ぼくの顔」、ワムくんがたまごだった頃の「雨の日のおはなし」、野原で寝転がったフニフが小さな虫たちの山や岩や野原の橋となる「野原のフニフ」という、4つのおはなしが入っています。
絵本『のはらでまたね』(文溪堂)や、童話『きみ、なにがすき?』(あかね書房)など、やさしさ溢れる作品を描くはせがわさとみさん。こちらの作品は、文章も絵もはせがわさんが担当した幼年童話です。色使いのきれいなイラストと、声に出してみたくなるリズムカルな文章で、読み手の心を穏やかにしてくれます。何気ない日常の中にある、大好きな友だちとの幸せなひとときを、ぜひ味わってくださいね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
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