▼国家による自然のシステム化を辿る
1872年に誕生したアメリカの「国立公園」は、「保護」と「利用」の狭間でその「価値」を目まぐるしく変化させつつ、しかし一つの〈システム〉として駆動してきた。
自然との向き合い方からアメリカの近代化を描いた画期的研究。
アメリカの国立公園は、「国民の身体的・精神的健康を育む」ことを主要な目的として制度化され、戦時のナショナリズムと結びつきながら開発されてきた。
本書では、ラトゥールの近代論とマイヤーの新制度派組織論を手がかりに、官僚的組織としての国立公園局が、社会の変化を背景にいかにして自然を管理してきたのかを描出する。
そこから見えてくるのは、「保護」と「利用」というジレンマを抱えながらも、「自然の管理者」として正統性を獲得し、多様な価値を飲み込んでいく〈システム〉だった。
近代以後に生きる人間と自然とのつながりを再考する力作。
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