じっちょりんシリーズ8年ぶりの新刊!
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絵本紹介
2023.03.09
『きみの行く道』(河出書房新社)は、米国の絵本作家ドクター・スースによる絵本。「おめでとう。今日という日は、きみのためにある」という文章から始まる、新しい門出にぴったりの一冊です。ひとりの少年がもがきながらも突き進んでいく冒険物語には、生きるうえでの大切なメッセージがユーモアたっぷりに詰まっています。ドクター・スースが80歳を超えてから手がけた本作は、長い人生を通してさまざまな経験をしたからこそ出来上がった絵本ともいえるでしょう。そんな経験豊かな人生の先輩からの言葉には、子どもだけでなく、大人にも響くものがあります。
これは、人生に悩んだ人が、自分で答えを見つけるための絵本です。原題にある“the Places You’ll Go”を直訳すれば、“今から行くところ。”そこではさまざまな苦難や喜びに出会うはずです。また、絵は淡いカラーがベースで、ピンクの周りに黄色があり、緑があり、青があり……、様々な色が組み合わされています。行け行け!ドンドンっていう感じではないでしょ。君は君なんだから、どんなことがあっても君の色で、ありのまま進んでいけばいいんだよという意味もあるような気がする。
(伊藤比呂美さんのインタビューより)
この書籍を作った人
1904年、アメリカ生まれ。ダートマス大学卒業後、イギリスのオックスフォード大学に学ぶ。多数の絵本を書き、その奇想天外な物語は、世界中の子どもたちに親しまれている。絵本の作品に『ぞうのホートンたまごをかえす』『おひとよしのオオシカ』(偕成社)、『きみの行く道』(河出書房新社)など多数。1991年没。
NHK「おかあさんといっしょ」8代目たいそうのおにいさんとして“セトちゃん”の愛称で親しまれた瀬戸口清文さん。『そしておめでとう』(ニジノ絵本屋)は、瀬戸口さんの死後、作品を次世代に伝えていきたいという思いから家族が制作を企画して出来上がった絵本です。瀬戸口さんが卒園を間近に控えた娘・あゆみさんのために書き下ろした曲をベースに、絵本作家のえがしらみちこさんが入園から卒園までの思い出や卒園式の様子を描いています。“絵本のおはなしお姉さん”となったあゆみさんが、歌ったり絵本を読み聞かせたりして多くの人に愛されるよう広めています。
卒園がテーマなら、定番は桜ですよね。この絵本の中でも、卒園式のシーンには桜が描かれているんですが、表紙を桜ではなくミモザにしたのは、ミモザが瀬戸口家のシンボルツリーだから。ミモザが好きな母のために父が庭に植えて、ずっと大切にしてきたんです。今も3月になると満開の花を咲かせます。ちょうど卒園の時期とも重なるので、この絵本のメインビジュアルとして取り入れました。
(瀬戸口あゆみさんのインタビューより)
みどころ
舞台は幼稚園。おかあさんのうしろに隠れて泣いていたあの子も、今は強い子、優しい子に。今日は卒園式、こんなに大きくなりました。
お絵描き、お砂場、お弁当。
お友だちと過ごす園での生活は、みんな楽しくて忘れない。
けんかもしたけど、すぐ仲直り。
色んなことして遊んだね。
さよならするのは、さみしいけれど。
悲しい時には、みんなで歌ったあの歌を思い出してね。
沢山の元気、勇気、笑顔、ありがとう。
「そして、おめでとう」
入園から卒園までの思い出をつづった詩「そして おめでとう」は、NHK「おかあさんといっしょ」8代目体操のお兄さん(74〜87年)をつとめたセトちゃんこと、瀬戸口清文さんが遺された卒園ソング。言葉の端々から感じるのは、小さな子どもたちの成長を見つめるその優しい眼差し。絵本作家・えがしらみちこさんの素敵な絵によって、愛らしくも華やかな絵本になりました。何よりも、色々な場面で、様々な表情を見せてくれる、子どもたちの姿が魅力的!
誰もが迎える卒園シーズンに。この歌と絵本を一緒に贈って、お祝いしてあげてくださいね。見返しには楽譜と歌詞も掲載されています。
これまで慣れ親しんだ保育園や幼稚園から小学校へ。新1年生の中には、ちょっぴり不安を抱えている子もいるかもしれません。小学校って、どんなところだろう? そんな疑問と不安を解きほぐしてくれるのが『1ねん1くみの1にち』(アリス館)です。朝の会、算数の時間、体育の時間、給食など、小学1年生の一日を撮影。頑張っている子もいれば、いたずらをする子、失敗して落ち込んでいる子など、子どもたちのリアルな姿が写し撮られています。自由な子どもたちの姿から、小学校の楽しい雰囲気が伝わってくるはずです。
ぼくが思うのは、学校というのは、子どもが一番リラックスできて、楽しく過ごせるならば、それで十分だと思うんです。幼稚園や保育園に行っていた子が、はじめて学校に来るんですよ。勉強は、基本的なベースを楽しくやっていただければ、それで十分ではないですか?
(川島敏生さんのインタビューより)
この書籍を作った人
写真家。1949年、高松市生まれ。雑誌や実用書などに写真で参加するほか、子ども向けの写真絵本を出版。著作に『写真の国のアリス』『月人石』『ごろんごろんいしっころ』『まほうのコップ』(いずれも福音館書店)がある。
『あなたの すてきな ところはね』(KADOKAWA)は、「迷っても、寄り道をしても、あなたの向いている方が前よ!」と背中を押してくれる一冊です。会社勤めをしながら絵本作家デビューをした玉置永吉さんが、投稿サイト「note」で絵本作家のえがしらみちこさんに出会い、温め続けていたお話が絵本になりました。春、夏、秋、冬を通して子どもの日常がやさしく描かれています。最後のページには「___のすてきなところ」と、名前とメッセージを書く欄も。子どもはもちろん、年齢を問わず新しい道へと進む大切な人に向けて、ありったけの応援の言葉をぜひ綴って贈ってください。
この作品では、子どもに「がんばれ」とか「〇〇を大切にしてね」って言うのではなくて、感謝の気持ちと、あなたをどれだけ好きかという気持ちを伝えたいと思って、いろいろと考えました。愛されているんだよっていうのをいつでも感じてほしいと思っています。
(玉置永吉さんのインタビューより)
みどころ
あなたのすてきなところはね……。
おひさまみたいな、ぽかぽかの笑顔。
「ねぇねぇ、きいて!」って話す、はずんだ声。
ぎゅっとつないでくれる小さな手。
足も、目も。こころも。
そして何より、いちばんすてきなところはね……。
小さな子のすてきなところを数えあげ、四季の中での成長を描いた絵本です。
玉置永吉さんの文、えがしらみちこさんが水彩画で彩る子どもの顔と体。
そのきらきらと躍動する姿に感動さえおぼえます。
「まよっちゃっても だいじょうぶ。あなたの みているほうが まえよ」と励ます言葉。
照れくさいけど「あなたは とっても すてきなひとよ」と伝える言葉。
ふだんなかなか言えない、とっておきのひと言ばかり。
最後のページには「○○のすてきなところ」と子どもの名前を入れて、日付を記入できます。
誕生日プレゼントや、入園・卒園のお祝いにぴったり!
あなたのすてきなところはね……。
大切な人の笑顔が輝く魔法の言葉を、探してみてくださいね。
この書籍を作った人
1980年、和歌山県生まれ。会社勤めをしながら音楽活動・作詞活動を経て、『なんにでもレナール!』(教育画劇)で絵本デビュー。こわがりで挑戦するのが苦手だった子どもの頃、両親の言葉で「できるかできないかではなく、やるかやらないかなんだな」と思えるように。絵本作家になった今、挑戦が楽しくなり制作奮闘中。
この書籍を作った人
絵本作家。1978年 福岡生まれ。静岡県三島市在住。 熊本大学教育学部卒業。主な作品として、『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『あきぞらさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』(講談社 / 全国学校図書館協議会選定図書)、『なきごえバス』(白泉社 / 第9回MOE絵本屋さん大賞2016「パパママ賞」第1位 )『なきごえたくはいびん』、『いろいろおてがみ』(小学館 / 全国学校図書館協議会選定図書)『いろいろおしたく』、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことがだいすき』(KADOKAWA)など。『はこちゃん』(文・かんのゆうこ / 講談社)、『せんそうしない』(文・谷川俊太郎 / 講談社)、『おかあさんのいのり』(文・武鹿悦子 / 岩崎書店)、『まだかなまだかな』(文・竹下文子 / ポプラ社)の絵を担当。また、雑誌や教科書などの挿絵も手がけている。現在、静岡県三島市にある絵本専門店「えほんやさん」代表も務めている。