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絵本紹介
2023.09.24
「わたし」を、「あなた」を、この国のひとりひとりを大事にすること。世界の国ぐにといっしょに平和の道を歩むこと。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『わたしは きめた 日本の憲法 最初の話』。日本国憲法の前文をやさしい詩の言葉に訳し、生まれたというこの絵本。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「わたしは きめた」
自由がもたらす恵みをしっかりにぎって、手ばなさないようにすることを。
二どと戦争を、ひきおこさないようにすることを。
平和をあいすることを。
やわらかい言葉の中に凛とした決意の気持ちを感じ、思わず引きこまれていき、するするっと最後まで読んでしまう文章。これは、詩人の白井明大さんが日本国憲法の前文を詩に訳したもの。だれもが自由で、健やかで、文化的に生きられる国にしよう、戦争をしない平和な国を築くんだ、という理想や決意、誓いや希望に満ちあふれている日本国憲法の前文を、長く残せる形に、そして子どもたちの手にもわたる形にしたいという思いがつながり、この絵本が誕生しました。
画家であり絵本作家の阿部海太さんが描く、美しいひかりの中の世界にたたずむ子どもたちの眼差しや、のびのびと過ごす生きものたちの姿、輝かしくもどこかつかみどころのない風景。それらを眺めているうちに、どこかひとごとのように感じていたかもしれない自分に、理想を目指すことの大切さを、決意した道を歩んでいくことの尊さを、改めて突きつけられたような気持ちにもなるのです。
「わたし」はあなたであり、「あなた」はわたしであり。だれもが自分自身に誇りを持ち、だれもが大切にされる権利がある。ひとりひとりの人間を大事にする精神の上に成り立っている、日本国憲法。
巻末には白井明大さんによる解説が、QRコードからは絵本の朗読を聞くことができます。子どもたちに長く読み継がれることになっていくであろう、この絵本。大人の心にも、しっかりと響いていくのではないでしょうか。
「わたしは ずっと 平和がいい」
日本国憲法、その固い言葉の雰囲気だけでも、ちょっとおそれを抱いてしまいそうな言葉です。けれど、その入り口にあるのは、とても分かりやすくシンプルな決意の気持ち。それは、大人だけのものでもなく、国のためのものでもなく、「わたし」の、「あなた」の、もの。自分のこととして捉え、理解し、考えていけばいいのだと、絵本は伝えてくれています。子どもの心に届けるのは難しいと思い込んでいたのは、大人の方かもしれません。「わたしは ずっと 平和がいい」、絵本の中の言葉が重く心に刺さります。
この書籍を作った人
詩人。1970年生まれ。詩集に『心を縫う』(詩学社)、『生きようと生きるほうへ』(思潮社、第25回丸山豊記念現代詩賞)など。そのほか『日本の七十二侯を楽しむ』(増補新装版、絵・有賀一広、KADOKAWA)など著書多数。近著は、日本国憲法前文をはじめ、国内外の大切な〈法〉を詩訳した『日本の憲法 最初の話』(KADOKAWA)
この書籍を作った人
画家・絵本作家。1986年生まれ。絵本に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、『めざめる』(あかね書房)、『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店、第26回日本絵本賞)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。