ねずみくんのチョッキ
- 作:
- なかえ よしを
- 絵:
- 上野 紀子
- 出版社:
- ポプラ社
出版社エディターズブログ
2023.10.26
この9月、「ねずみくんの絵本」シリーズ40巻目となる最新作『ねみちゃんのチョッキ』が刊行されました。
タイトルを見て、一瞬、「あれ、どこかで聞いたことがあるな?」と思われた方……そうです。この作品は、シリーズ1作目『ねずみくんのチョッキ』の対になる作品として生まれました。
『ねずみくんのチョッキ』では、ねずみくんのお母さんがチョッキを編んでくれたのですが、今度は「ねみちゃん」が編んでくれたチョッキのお話なんです。
みどころ
おかあさんがあんでくれた赤いチョッキ。
「ぴったり にあうでしょう」
ねずみくんはうれしそうに言います。いいチョッキです。
すると、あひるくんがやってきて言うのです。
「ちょっと きせてよ」
そうやってあひるくんがチョッキを着ていると、今度はさるくんが言います。
「ちょっと きせてよ」
さらにあしかくん、ライオンくん……次々に動物がやってきてねずみくんの赤いチョッキを着るのです。
あれれ、チョッキはだいじょうぶなのかな?
小さくて可愛いねずみくんの、ちょっぴり自慢気な表情から始まるこの絵本。
「ねずみくんのチョッキをきる」というくり返しだけなのに、姿も大きさも違う個性的な動物たちが登場するたびに子どもたちはドキドキしながら次のページを見守ります。
みんなチョッキがきれてうれしそう。でも、なんかちょっとへん?
ねずみくんの大切な赤いチョッキ、最後はどうなっちゃうのかな?
『ねずみくんのチョッキ』は1974年に誕生して以来、ずっと子どもたちに愛されて続けているロングセラー絵本です。緑色のわくに囲まれた画面、モノクロで描かれたねずみくんや動物たち、絵を見ているだけでも伝わってくるストーリー、そして予測のつかない最後の場面。どの部分をとっても印象的なので、記憶に残っているお父さんやお母さんも多いでしょうね。
ユーモアと優しさにあふれた「ねずみくんの絵本」の世界。この後もたくさんの続刊が出ています。絵本をひらけばいつでもそこにいるねずみくん、子どもたちみんなのおともだちですね。
ついにシリーズが40巻揃い、いよいよ来年2024年には50周年を迎える「ねずみくんの絵本」。これほど長く続いていて、さらにほぼ1年に1冊生み出され続けている…という、驚くべきシリーズです。
長年、このシリーズを手掛けてこられたのは、作者で絵本作家のなかえよしをさん。
今回は新作刊行を記念して、なかえさんに今回の新刊のこと、これまでの40巻のこと、そして長年二人三脚で取り組んでこられた画家であり妻の上野紀子さんについて、お話を伺いました。
この書籍を作った人
神戸に生まれる。日本大学芸術学部美術科卒業。
『ねずみくんのチョッキ』をはじめとする、「ねずみくんの絵本」シリーズの作家。なかえ氏がラフを書きながら展開を決め、絵は妻の上野紀子氏が描くという二人三脚で絵本づくりを進める。『いたずらララちゃん(絵:上野紀子)』で第10回絵本にっぽん賞受賞。
作品に『こころのえほん(絵・上野紀子)』『扉の国のチコ(絵・上野紀子)』(以上ポプラ社)、『ことりとねこのものがたり(絵・上野紀子)』(金の星社)ほかがある。
2005年、上野紀子氏とコンビでのこれまでの業績に対し、第28回巖谷小波文芸賞を受賞。2020年、日本児童文芸家協会選定の児童文化功労賞受賞。
妻の上野氏が2019年に逝去した後も、妻ののこした絵を元に「ねずみの絵本」シリーズの新作を生み出し続けている。
聞き手:編集担当 上野萌
――『ねみちゃんのチョッキ』見本ができあがりました。この度も本当に、ありがとうございます!
(なかえ)きれいにできて、嬉しいです。『ねずみくんのチョッキ』と並ぶと、対になっていいですね。
今回の表紙の色は、赤。40巻記念ということもあり、「ねずみくんの絵本」シリーズ共通で使われている、チョッキの赤と同じ色(特色インキ:DIC157)です。 カバーは黒と赤の2色だけという、極めてシンプルな絵本になりました。