声がでるハイブリッド絵本 こねこが
- 出版社:
- めくるむ
絵本紹介
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2024.11.30
「絵本は子どもだけではなく、どの年齢の人も楽しめる」。そういう認識が広まりつつありますが、それでも絵本がなかなか超えることのできなかった壁がありました。
それは「目が不自由な人に紙の絵本を楽しむことは難しい」ということです。
絵本ナビでは過去に「点字つきさわる絵本」について紹介したことがあります。「点字つきさわる絵本」は、印刷された文字と文章の上にシルク印刷で触図と点字を盛り上げ印刷する方法で「目の見えない人と見える人がいっしょに絵本を楽しめるようになること」を目指して生まれました。
この度、リリースされた「読書のためのバリアフリー支援アプリ・めくりんく」(以下「めくりんく」)は、本の背景に印刷された見えないコードをアプリが読み取ることで、目の不自由な人と見える人が音声を通して一緒に一冊の本を味わうことができるそうです。
「めくりんく」のしくみや楽しみ方を、2024年11月22日に発売された『声がでるハイブリッド絵本 こねこが』を見ながら一緒に探っていきましょう。
めくりんくの使い方はとても簡単。
まず、Google Play,App Storeから「めくりんく」のアプリをお手持ちのスマートフォンにダウンロードします。
「めくりんく」対応の絵本を用意したら、アプリを立ち上げて本を開きます。
本のページをよく見てみると、うっすらと黄色い印刷がされているのが分かります。これが「めくりんく」の秘密。この見えないコードをアプリが読み取って、自動で音声や動画が再生されます。
次のページに進みたいときは、左の上にある「
従来のQRコードのように小さな四角にピントを合わせることは大人でもなかなか難しいですよね。「めくりんく」のコードはページ全体に印刷されているので、簡単にピントをあわせることができます。アプリの画面をページに向けるだけの簡単操作で音声や動画がスタートします。
ページ全体に印刷されているといっても、それはほとんど見えないくらいの印刷なので、本の世界観を邪魔することはありません。「めくりんく」を使わずに読書をするときも違和感なく楽しむことが可能です。
本が映画や音楽などのほかの媒体と違うところは、自分のテンポやペースで読み進めたり、わからない部分があったらいつでも前に戻れること。「めくりんく」も読者の好きなペースで同じページを何度も繰り返し読んだり、ページを遡ったり、飛ばしたり。本ならではの楽しみ方を満喫することができます。
「めくりんく」のアプリをダウンロードしたら、早速絵本にかざしてどんな音声が楽しめるかやってみましょう。2024年11月現在「めくりんく」を導入している書籍はこちらです。
「めくりんく」を使って流れてくる音声は、絵本の文字だけではありません。例えば1ページ目にスマホをかざすとこんな音声が流れてきます。
この絵本の主人公・黒と白のはちわれ模様で、鈴のついた赤い首輪をつけたこねこが前に向かって歩き出そうとしています。ページの右方向に向かって歩いています。
はじめて1匹だけでさんぽにでかけるところです。
季節は、春。クローバーなどの野の花が咲いています。
絵から読み取る情報が、とても丁寧に言語化されて私たちの耳に届きます。絵本の文字を読みがちな大人の方は、音声を聞いて「この絵からこねこの動作や季節まで読み取ることができるんだ」とびっくりするかもしれませんね。
『声がでるハイブリッド絵本 こねこが』の物語が、この後どう進んでいくかは、ぜひ絵本を手に、「めくりんく」をダウンロードしてお楽しみください。
はじめて絵本を読むひとにも、わかりやすい構成と文章の本を選びました。まつおかたつひでさんの絵は、とても人気がありますので、ぜひ知っていただきたいと思いました。
今まで、絵本を読むことに困難を感じていた、視覚や読字に障害のあるひとにも、絵本を楽しんでもらえるひとつの形をご提案できたと思います。
できるだけ、やさしい言葉で説明の文章を作りました。また、音声は、人工音ではなく、プロのナレーターの方に読んでいただき、ひとの声にこだわりました。
紙の絵本を「めくる」動作を体験してほしいです。。自分で「めくる」ことを決めることは、主体的に楽しむことの小さな一歩。でも、意外と大きな一歩なのではないかと思います。
また、誰かと一緒にその物語の世界に入る楽しさを感じていただきたいです。
2025年1月『みんなのえほん1 かめめかかめ』(おおのまきこ/文、にしむらゆうき/絵)、3月『みんなのえほん2 どどんがどん』(おおのまきこ/文、あずみ虫/絵)を予定しています。みんなのえほんシリーズは、発達障害の特性のあるひとにも配慮した構成・内容のことばあそびの絵本シリーズです。
また、今後は、外国語の音声も再生できるようにしたいと思っています。日本語が母語ではないひとも、書店や図書館で本を選び、楽しんでいただけるようになってほしいと思っています。
絵本を楽しむことに対するハードルは、これからもどんどん低くなり、年齢・性別・国籍・ハンディのあるなしを超えて、誰もが紙の本を楽しむことができる世界に一歩ずつ近づいていくのではないでしょうか。
みなさんもぜひ、「めくりんく」をダウンロードして、新しい絵本の楽しみ方を体験してみてください。