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出版社エディターズブログ

2025.08.19

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『まほうつかいミーネ はじめての おかね どうつかう?』著者インタビュー(東京書店) (東京書店)

(左)高畠じゅん子さんと(右)すみもとななみさん

『まほうつかいミーネ はじめての おかね どうつかう?』著者の高畠じゅん子さんとすみもとななみさんに、この作品について、また、ご自身についてお聞きしました。

 

まずは、作の高畠じゅん子さんにお聞きします!

「お金」というテーマを聞いた時の第一印象はいかがでしたか

(高畠さん)子どもにとって、“お金”って夢が叶うひとつの方法だと思うので、たくさんの子どもたちに興味を持ってもらえそうだなと思いました。

しかも打合せで具体的に「お金の価値」というテーマにしようということになったので、物語のしがいがあるなぁと感じました。

主な読者対象は5歳ぐらいから小学校低学年くらいまでの子どもたちですが、この年齢の子どもたちに向けて書くうえで気をつけたことはありますか

(高畠さん)お金に付随するイメージって人それぞれ違いますよね。

<お金>=<幸福>な人もいれば<お金>=<自分を苦しめるもの>という人もいます。

子どもにとってお金との関わりは、お小遣いとか、お年玉といった、いただくものとして触れることが多いと思うので、はじめてのお金へのイメージが、この本によって悪くなったり、怖いもののようになったりしないよう、最終的にポジティブなメッセージが残せるものにしたいと思って書きました。

特に、ここは見てほしい! という場面はありますか

(高畠さん)ミーネちゃんが「そうだ! おかねをつかおう。」と街に繰り出すシーンがあるのですが、無邪気でとてもかわいらしいです。

だれかに何かをプレゼントしたいという素直な気持ちが表れていて、すみもとさんの描くお店がまたカワイイのです。必見です。

「お金×魔法使い」、今までにない組み合わせにどうやってたどり着いたのでしょうか

(高畠さん)「魔法使い」というのは、文章書きとしては、安直に選べないキャラクターなんです。

よっぽど、そこに魔法使いである意味がないと魔法で何でも解決できてしまいますから、作者の都合のよい話を作っているみたいになってしまうんですね。

しかし、今回は魔法使いものでありながら、魔法をまともに使っているのは冒頭のみ! そこがミソで、魔法使いが魔法を使えなかった場合の解決方法として、お金を使ってみたらいいのではないかと考えたのです。

魔法のようにお金は使えるのか? 魔法とお金は似ているのではないか? そんなふうに思って魔法使いが主人公になりました。

高畠さんご自身はどんなお子さんでしたか? また、お金をどう捉えていましたか

(高畠さん)私は、小、中学生時代はまじめに郵便貯金していましたね。しかし、高校生くらいになると、その貯金は全て演劇の舞台のチケットに消えました。歌舞伎や新劇、ミュージカル、小劇団までいろいろ見ていました。

形として残っているものではないのですが、私の想像力をより豊かにする先行投資にはなっているのかもしれないです。

今作の中で、ご自身の実体験などは入っていますか

(高畠さん) 香りつきの消しゴムが流行っていた時に、すごく形もかわいくていい香りの消しゴムを持っていた同級生が、「これあげるから親友になってくれない?」と言ってきたことがありました。

正直なところ、消しゴム欲しさに「なる!」と、その場では言って消しゴムを持ち帰ったのですが、母にその話をしたら「本当にそれって親友なの?」と問われて、「……」、答えられませんでした。

親に話をした時点で、自分のなかで何かが引っかかっていたのだと思います。はたと我に返って、消しゴムを返したのですが、今回お話を書くうえで、この時のことを思い出しました。

すみもとさんの描かれるミーネちゃんを見た時、どんなお気持ちでしたか

(高畠さん)ミーネちゃんがめちゃめちゃかわいくて、憎めない感じが本当に物語にピッタリとハマっているなと思いました。

外国の作家さんのような絵のタッチが魅力的で、背景の世界観が登場人物たちの日常を、より楽しいものにしていただけたと感じました。

ミーネちゃんの世界はどんどん広がっていきそうですが、今後続編があった場合、どんな展開がありそうですか

(高畠さん)私としては今回「お金」というテーマをいただいたわけですが、親が子どもと言いにくいことを話すきっかけになるような物語をミーネちゃんを通して作っていければいいかなぁと思っています。

高畠さんご自身は、書店さんとの交流、ワークショップや絵本のイベントなど精力的に活動されていますね

(高畠さん)読者の方と直接お話しできたり、また読み聞かせをその場でしたりして、反応を直に見られることってなかなかないので、とても楽しくやらせていただいています。

出版不況と言われてから長いですけれど、それこそ絵本に興味がない方にも読んでもらうきっかけになったらいいなぁと思って活動しています。

絵本原画展にて

次は、絵のすみもとななみさんにお聞きします!

お話を読んだ最初の印象はいかがでしたか

(すみもとさん)まず、ご依頼をいただいた時、おもしろいお話の作り手、高畠じゅん子さんとのタッグと伺って、とても嬉しかったです。さらに、原稿を読ませていただいて、期待した通り導入も展開もおもしろく、楽しい世界が広がりそうでワクワクしました。

お話を読んでから、ミーネちゃんの世界観をどのように構築していったのですか

(すみもとさん)ミーネちゃん像はすぐできあがりました。文章の世界観がしっかりしていたので、自宅に戻り鉛筆を持つと自然に、いたずらっ子でお調子者のミーネちゃんが目の前に現れてきてくれました。そしてだれにでも優しく、芯を持っているマイカちゃんや友達・・・・・・。

いつも文章をいただくとまずはキャラを固めて、それから情景や設定を、作家さんや編集さんの力を借りながらゆっくりと広げていきます。実は製作の中で、この時間が一番好きです。

今作で特に意識して制作されたところなどはありますか

(すみもとさん)今回はちょっとした表情の変化にこだわり描き進めました。このお話のなかには、意地悪な子などは出てきません。どの子も一生懸命いろいろなことを感じ、考えながら成長していきます。読者にも疑問なり、共感なりを、自分自身で考えながら読み進んでもらえるよう、大袈裟ではなく、でも無表情にならないように、何度も描き直しました。

思い入れのあるキャラクターはいますか

(すみもとさん)実は・・・・・・、サブキャラなんですが、ミーネちゃんのまわりをいつも飛んでいるちょうちょが私のお気に入りです。魔法の世界では常に近くにいて、人間の世界では髪飾りに扮してミーネちゃんを精霊のように見守るちょうちょを作ってみました。何をしてくれるわけでもないけれど、一緒に驚いたり悲しんだり、喜んだりしてくれています。

ひとりで人間界にやってくるミーネちゃんに、こういう存在がいたら少しは心強いかなと。何も役に立たないんですけどね(笑)

物語1作分の絵をどのように仕上げていくのですか

(すみもとさん)先にお伝えしたように、キャラクターやその世界観を固めたら、全ページのラフを描いていきます。すべてのラフが固まったら、鉛筆で1画面ずつ実際に採用するラインを描き、それをスキャンして、絵の設計図ができあがります。

そのあとカラーリングに移るのですが、私の場合、カラーリングはデジタルです。本画制作期間は、1作全体でおよそ3〜4か月くらいですが、デジタル画は、手描きと違って物理的に紙がダメになったり、色がのらなくなったりしないので、いつまでも描いていられる。だから提出期限内は、ずっと納得いくまで描いています。

カラーリング時はどんなことを考えながら、絵を完成させていくのですか

(すみもとさん)色に関しては、キャラクターの色を最初に決めてから、背景や建物などの色をつけていきます。色決めはデジタルで、何通りも納得するまで描いてみます。

今作では、ミーネちゃんの髪のピンク色は、はじめから決めていました。ヤンチャな感じが気に入っています。

ミーネちゃんを描くコツを教えていただけませんか

(すみもとさん)♪どんぐりおめめふたつの真んなかに、チョンと小さなお鼻を描いて、お口はお皿のように平べったく。前髪をザーザーと雨のように描いて、魔法帽子、あるいはちょうちょリボンを乗せる。その後ろにクルクルお団子を大きく大きく〜。顔の横に大きなお耳を描いたら、あっという間にミーネちゃん!

……できたかな? ぜひ、オリジナルでメロディーをつけて、口ずさみながら描いてください。

すみもとさんご自身はここ最近、とても精力的に絵本を作られている印象です

(すみもとさん)今は、絵本作りが楽しくて仕方ないんですよね。元々広告デザイナーだったので、作家さんや編集さんと話し合いながら、よりよいものを作っていくという作業も私の肌に合っているようです。

今後の絵本作りへの展望や野望はありますか

(すみもとさん)今作のように作家さんとのタッグも好きですが、ストーリー作りも力を入れていきたいと思っています。みなさんに楽しんでもらえる世界が作れるよう、日々奮闘中です。

最後に、お二人から絵本ナビ読者のみなさんへメッセージをお願いします

(高畠さん)「お金持ちになりたい」そんな将来の夢をお持ちのあなた!お金は使い方次第。ミーネちゃんはお金をどんなふうに使ってみたのか、自分がミーネちゃんならどんなふうに使うのか。そんなことを考えながらご家族で読んでいただけたら嬉しいです。 

(すみもとさん)この本に興味を持っていただき、ありがとうございます。少し話題にしづらいけれど大事なお金の話。元気なミーネちゃんに誘われて、読んだ後はぜひ、いろいろなキャラクターの立場になって「私だったらこうするな」を考えたり、話し合ったりしてみてくださいね。

 

高畠さん、すみもとさん、すてきなお話をありがとうございました!

東京書店へすてきな色紙をいただきました

この書籍を作った人

高畠 じゅん子(文)

高畠 じゅん子(文) (タカバタケ ジュンコ)

兵庫県生まれ。

同志社大学文学部卒業。

2013年『よいこはもうねるじかん』(絵/高畠 純、BL出版)で

デビュー作絵本に『かわいこちゃん』(BL出版)、

『いねむりおばあちゃんとぼく』(国土社)、童話作品に

『ウサギのトリン』シリーズ(絵/小林ゆき子、小峰書店)がある。

近著に『ブーヒーとはじめてのプレゼント』(絵/高畠 純、講談社)、

『いかあげ たこあげ』(絵/高畠 純、偕成社)などがある。

この書籍を作った人

すみもと ななみ(絵)

すみもと ななみ(絵) (スミモトナナミ)

神奈川県生まれ。

多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。

多くの幼児・児童向け書籍や雑誌を中心にイラストを制作。

『クモのシルバーくん』(絵本塾出版)、

『オーリンとバイオリン』(イマジネイション・プラス)、

『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー』

(文/おがわひろき、みらいパブリッシング)、

『ほんとうは、どうしたいの? 

ミックをかえた たいようのことば』

(文/由美村嬉々、講談社)などがある。

  • まほうつかいミーネ はじめての おかね どうつかう?

    出版社からの内容紹介

    お金で「買えるもの」と「買えないもの」についてかんがえよう

     まほう学校1年のミーネはいたずら好き。まほうを遊び道具のようにつかっていたら、ついに校長先生を怒らせ、人間の世界で勉強してくるように言われてしまいました。
     人間の世界では、まほうはつかえません。そのかわりに、パパとママがわたしてくれたお金がありました。お金をまほうと同じようなものだと考えたミーネは、お金をどんどんつかっていき……。

     お金をつかう前に読んでほしい、“はじめてのお金絵本”です。

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