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インタビュー

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2017.09.14

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参加しながら楽しめる ハロウィン絵本 登場!『トリック オア トリート!』岡村志満子さんインタビュー

10月のイベントといえば……そう、ハロウィン! 街中にカボチャや魔女などのアイテムであふれ、子どもたちも思い思いの仮装をして、「トリック オア トリート!」と元気にお菓子をもらいます。そんなハロウィンの魅力をたっぷり伝える、楽しい絵本『トリック オア トリート!』(くもん出版)。今回、作者の岡村志満子さんにお話を伺いました。絵本の中に登場するかわいい仮装も登場します!

  • トリック オア トリート!

    みどころ

    今日はハロウィン。 4人の子どもたちが、とっておきの仮装ででかけます。 いろんな家のドアをたたいて、あいことばをいってみよう。 「トリック オア トリート おかしくれなきゃ いたずらしちゃうぞ!」 だれがでてくるかな? どんなおかしをもらえるかな? ポケットがおかしがいっぱいになったころ、 町はずれの大きなおやしきのドアをたたくと、そこは・・・。 声を出したり、あてっこをしたり、小さい子どもたちも参加しながら楽しめるハロウィン絵本。 暗いところでおばけが光る、蓄光インクを使った驚きのページもありますよ!

ハロウィンの楽しさを、絵本でも体験してほしい。

───ハロウィンイベント、今ではすっかり日本でも定着していますよね。岡村さんは、以前からハロウィンイベントに興味があったのですか?

ハロウィンのイベントをやっていることは知っていたのですが、あまり身近ではありませんでした。今回の絵本は、編集者さんからテーマをあげていただき、スタートしたんです。

───「ハロウィンの絵本を作りませんか?」とオファーがあったのですか?

編集者さんとは10年くらい前から面識があったのですが、2013年に『サンドイッチ いただきます』と『フルーツケーキ いただきます』(ポプラ社)を出版したとき、改めて「お仕事をしませんか?」とご連絡いただきました。そのお手紙に、「お題を出すとしたら、たとえば、ハロウィンの絵本なんてどうですか?」と書いてあったんです。

───アイディアをもらって、すぐにおはなしが生まれたんですか?

ハロウィンの知識がほとんどなかったので、まず、ハロウィンについて考えることからはじめました。すると、日本のハロウィンって、すごく自由だなと思ったんです。海外ではしっかりと、宗教行事としてのハロウィンの由来がありますよね。でも日本のハロウィンは、仮装をしてお菓子をもらうイベントになっている。そして、その仮装がとっても自由。基本的にどんな仮装をしてもいいし、お菓子とかおばけとか、子どもがワクワクするものをいっぱい出せる。そう思ったら、絵本のアイディアが段々と固まってきました。

───『トリック オア トリート!』は、4人の子どもがとっておきの仮装をして、町に飛び出し、いろいろな家を「トリック オア トリート! おかし くれなきゃ いたずらしちゃうぞ」とめぐっていくおはなし。出てくる家やそこに住む人がとてもユニークで、「この家には、どんな人が住んでいるんだろう……」とページをめくる楽しみがありますよね。

子どもにとってハロウィンってどんなイベントだろう、と考えると、真っ先に「仮装をして、家をめぐって、お菓子をもらう」ことが思い浮かぶと思うんです。この絵本は、その楽しさをそのまま、くり返しの展開にしているので、アイディアができたとき、「こんなに定番的なハロウィンのおはなしは、もう出版されているに違いない」と思いました。でも、調べてみたら、意外となかったんです。のんびりしていると、他から出版されてしまうかもしれない!と思い、その年のハロウィンに間に合うように、急ピッチで制作を進めていきました。

───たしかに「ハロウィンの絵本」というと、海外の翻訳絵本やハロウィンの文化、イベントを紹介する本が多いように思います。

そうなんです。物語絵本もありましたが、私はストーリー性よりも、ハロウィンがはじまる前に子どもたちが、ハロウィンの楽しさを知って、気持ちを高ぶらせてイベントに向かうような。そんな、ワクワクするおはなしを作りたいと思いました。
ちょうどラフを考えている頃、息子がリトミックに通っていたんです。先生が絵本に調子をつけて読んだり、手遊びを入れたり、歌にしたり…。絵本をコミュニケーションの道具として使っているのを見ていて、こんな使い方いいなと感じていたことも、制作に影響したと思います。

───4人の子どもたちが「トリックオアトリート!」と言いながら訪れる家の外観が、とてもユニーク! しかも、家に住んでいる人もお姫様がいたり、忍者がいたり……と、とても個性的ですよね。

ここはちょっと和の要素もプラスしながら、どんなお家にしたら、絵本を読んでいる子どもが次のページをいろいろ想像してくれるか、どんなお菓子にしたら、テンションが上がるかをいろいろ考えましたね。

───どのお菓子もとてもおいしそう! 中でも、宇宙人が出してくれたドーナッツのようなお菓子が、どんな味がするか気になります(笑)。岡村さんは、描いていて特に楽しい場面はどこでしたか?

やはり、仮装した人たちや、へんてこな家がたくさん出てくる、さがし絵の場面は、描いていて楽しかったですね。メインの4人以外にも、街の人たちがハロウィンを満喫していることが伝わるように描きました。

4人はどこにいるのかな……?

───よーく見ると、赤ずきんやオオカミ、サンタクロースに怪獣など、いろいろな仮装をしている人がいて、何度見ても楽しい場面ですよね。

このページは描きたい仮装や建物を詰め込みました。いろいろ見つけて楽しんでもらえると嬉しいですね。あと、描いていて楽しかったのは、見返しなんです。

───見返しですか?

ずっとガイコツを並べた絵を描きたいと思っていて、どこか描ける場所を探していたんです。ハロウィンにガイコツのモチーフはピッタリですよね。

───おばけもカボチャも並んでいて、絵本に登場する4人組も出てくるので、とても見ごたえがありました。このまま手ぬぐいなどのグッズになっても面白いですよね。

前と後ろで同じ絵を使っているんですが、おはなしを読み終わってみると、前は仮装する前、うしろは仮装を終えて着替えているところにも見えますよね。意図はしていなかったのですが、同じ絵なのに時間経過を感じる!と編集者さんが気づいてくれました。

───そして、なんといっても面白いのが、最後の場面で出てくる蓄光インク(※)を使った、光るページ。おはなしを考えているとき最初から蓄光インクを使いたいと思っていたのですか?※蓄光インク……光を吸収し、暗いところで光る特殊なインク。

いいえ。これも編集者さんのアイディアなんです。話を聞いて、ハロウィンの絵本でおばけのページが光ったら、すごく面白い!と思って、賛成しました。ただ、蓄光インクを使った絵を描いたことがなかったので、大変でしたね。

暗いところで見ると、どう見えるかは、おたのしみ……。

───どんな所が大変でしたか?

最初は、絵の中のおばけの部分を単純に光らせる予定だったんです。でも、何度もやり取りを重ねるうちに、蓄光インクで浮かび上がる絵は、カラーの絵で描いてある場面とは違う、少し時間が進んだ場面の光景を描くことに決まりました。蓄光インクで描く場面も、おはなしの一部にしたら面白い! と思ったんです。蓄光インクとカラーの絵で、違った絵を重ねることになるので、光らないところが出てきたり、印刷がきれいに出なかったりと苦労がありました。

───そうなんですね。でも、このページを読んだ後、パッと電気を消して、光る場面を見せたら、とっても盛り上がりそうです。

出来上がったものを見てみて、改めてハロウィンとおばけと、この蓄光インクを使ったページがぴったりで、この作品を作れて良かったと思いました。うちの子どもも、明るい部屋と暗い部屋を何度も行ったり来たりして、よろこんでくれましたよ。

───最後に、お菓子を持っていなかったからいたずらをされてしまうおばけも、なんだか笑いを誘います。

海外だと、お菓子をもらえないと、生卵をぶつけたり、トイレットペーパーでハロウィンの飾りをぐるぐる巻きにしたりと、かなり笑えないいたずらもあるそうなんです。でも、主人公の4人組には、相手がいやな気持になるいたずらはしてほしくないと思い、今のいたずらに落ち着きました。裏表紙まで、いたずらのエピソードが続いているので、読み聞かせの際はぜひ見せてあげてくださいね。

───おばけが意外と嫌がっていないところも良いですよね。

何度も描き直しをしたラフを見せていただきました

デビュー作はスイスから出版

───『トリック オア トリート!』では、カラフルな色がとても素敵な作品だと思いました。普段、画材は何を使っているんですか?

作品によって、使う画材を変えています。『トリック オア トリート!』では、コピックを使いました。『サンドイッチ いただきます』(ポプラ社)では、手描きとデジタルを組み合わせて描きました。中に出てくる食パンは、パンそのものを直接スキャナーに取り込んで描いています。

───そんな描き方もあるんですか?

食パンのおいしそうな質感が、手描きのタッチだけではどうしても表現できなかったんです。おかげでスキャナーがパンの油でテカテカになりました(苦笑)。ほかの野菜なども、いろいろなところからテクスチャーを取り込んで、それを加工して作っています。

───すごく細かい作業をされているんですね。岡村さんは、グラフィックデザイナーやイラストレーターとしても活躍されていますが、いつごろから絵本作家を目指されたのですか?

美術大学を出ていることもあり、何かを作ることはずっと好きでした。今はフリーランスですが、大学卒業後は広告業界で、デザイナーとして働いていました。広告業界を選んだ理由は、デザイン、イラスト、コピーライティングなど、自分でいろいろなことにチャレンジできると思っていたからです。でも、実際は、それぞれのジャンルのプロフェッショナルが集まって、ひとつの作品を作るのが広告業界でした。それで、どうしても自分一人で、ひとつの世界を作りたいと思うようになり、大学時代に制作したことがあった絵本の世界に、行き着いたんです。

───たしかに絵本は、おはなしを作るところから、絵を描くところまで、ほぼひとりで世界を作ることが多いですね。

それがとても魅力的でした。絵本の世界への入り口をさぐっていたとき、ある雑誌で、ボローニャブックフェア(絵本児童書の世界最大の見本市)や、ボローニャと強いつながりを持っている板橋区立美術館のことを知りました。『UNDERGROUND』 という文字のない絵本でボローニャ国際絵本原画展に応募して、入選はしなかったのですが、気にせず作品を持ってボローニャに売り込みに行きました。そこで、スイスの出版社(La joie de lire)の目にとまり、2年後に出版されました。
でも海外の絵本は日本の本屋さんで見かけないし、次につながることはありませんでした。やっぱり日本で絵本の仕事をしたいという気持ちを持つようになって。何度目かのボローニャブックフェアで、講談社さんに見てもらった企画が、日本でのデビュー作『すましたペンギンさんきょうだい』(作:あいざわあゆむ 出版社:講談社)の出版につながったんです。

───イタリアへ出かけて、出版社さんに会おうとするなんて、すごいバイタリティですね。

ボローニャブックフェアはイタリアで毎年行われていて、絵本作家の登竜門として有名なんです。世界中からイラストレーターが売り込みにきています。板橋区立美術館の絵本の講座にも参加して、ボローニャのことを仲間からきいていましたし、日本人もたくさん訪れているので、私にとっては自然な流れでした。

───それから、2作目、3作目とコンスタントに出版をされていますね。

ちょうどそのころに子どもが生まれ、作家としての活動が充実してきたように思います。

───お子さんが生まれて、絵本に対する見方も変わりましたか?

それまでは、絵本を読むことは作品を作るための資料という感じでした。でも、子どもが生まれると、絵本を声に出して読むようになり、もっとずっと身近なものになっていきました。それと、子どもと一緒に絵本を読む時間はコミュニケーションの時間でもあるとともに、自分が絵本の知識を深める時間にもなっていたのがありがたかったですね。

───お子さんも、お母さんが一緒に絵本を読んでくれる時間は、幸せな時間ですよね。ご家庭では、今どんな絵本を読んでいるのですか?

子どもの気分によって、いろいろ変わるのですが、最近はクレヨンハウスさんから出ている、「落語絵本」シリーズがお気に入りのようです。

───絵本を読む時間はいつも決まっているんですか?

寝る前に読むことが多いですね。それ以外でも、日中、好きな本を取り出して読んで、そのままにして、私に片づけるよう怒られる……ということを、頻繁に繰り返しています(苦笑)。

───岡村さんの作品には、今回の蓄光インクを使ったり、ページにしかけが施されていたりと、アイディアが随所にちりばめられていると思いました。作品を考えるとき、いつもどのように考えているのですか?

もともとデザイナー出身ということもあり、絵本作家になっても、純粋に絵が上手い人と画力で勝負は出来ないという思いがありました。それなら、絵のうまさではなく、デザイン性を生かした企画を考えて、作品を作ることが、私らしい作品になるのではと思っています。例えば『トリック オア トリート!』では、探し絵遊びの要素を入れたり、絵本に出てきたお菓子を、お子さんの手に渡すアクションを加えることで、よりコミュニケーションが深まるような部分を入れています。

───子どもたちとのワークショップにも力を入れられているとお聞きしました。

ワークショップは参加した子や親御さんとのやり取りが楽しいです。子どもの作品は面白いし、うまくできないと悩んでいた子のふっきれた顔を見られたときは、とても嬉しくなります。
一方、絵本作家は孤独な作業で、編集者さんがつくまでは、自問自答の繰り返しです。
制作でこもる時間と、外で人に会える時間。交互にあるとバランスが良いみたいです。

板橋区立美術館でのワークショップの様子
表紙のデザインもいろいろ変化が見られます

2作目は、あの4人組が、クリスマスの仮装で大活躍?

───『トリック オア トリート!』では、4人の子どもたちが出てきますが、仮装をしているので、彼らがきょうだいなのか、友達なのか、男の子なのか、女の子なのか……絵本を読んだ後も、いろいろ想像が膨らみます。岡村さんはどのように考えて、キャラクターを生み出しているのでしょうか?

このときは、4人がそれぞれハロウィンにピッタリの「魔女」「おばけ」「ミイラ」「ロボット」に仮装する以外、細かいことはあまり考えませんでした。でも、今、2冊目の制作を進めていまして、そこでは1冊目よりももう少し彼らのことが分かるかもしれません。

───『トリック オア トリート!』以外で再び、この4人組に会えるんですね! 2冊目はどんなおはなしになっているのでしょうか?

メリー メリー クリスマス!』(くもん出版)というクリスマスの絵本です。この絵本にも4人組の名前は出てきませんが、『トリック オア トリート!』よりも、顔が分かるようになっています。

新作の原画を見せていただきました

───それはとっても楽しみです。今、完成している原画を見せていただいていますが、「スノーマン」や「天使」が出てきて、すごくかわいいですね。でも、ロボットは変わっていない!

そうなんです。ロボットの子は、この姿がお気に入りなんです(笑)。実は、このロボットを実際に作っているですよ。

───そうなんですか? 

はい。絵本のモデルになったのはロボットくん2号です。今日は最新作の4号も連れてきちゃいました。『トリック オア トリート!』の付録のしおりには、ロボットの作り方も載っています。

ロボットくん2号(左)と4号(右)。中に入っているのは、岡村さんのお子さんです
絵本に入っているしおりに、ロボットくんの作り方も紹介されています

───すごい! 本格的なロボットですね。……ちなみに、2作目にも蓄光インクを使ったページは、出てくるのでしょうか?

もちろん、出てきます。1作目よりもパワーアップしていますので、お楽しみに!

───楽しみです(笑)。今日は『トリック オア トリート!』から、新作のクリスマスの絵本のお話まで、きかせていただき、ありがとうございました。最後に、絵本ナビユーザーへメッセージをお願いします。

絵本を親子のコミュニケーションの道具として、一緒にいっぱい遊んでください。『トリック オア トリート!』には、絵に描いてあるお菓子を手に取って、お子さんの手に「はい!」と渡したり、4人組がどこにいるか、絵の中から探したり、明るい部屋を暗くして、絵を浮かび上がらせたり、お子さんと遊びながら読めるページがたくさんあります。幅広い年齢のお子さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。

───ありがとうございました。

親子で仲良く、ハロウィンの仮装をしていただきました!

取材・文/木村春子
撮影/所靖子

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