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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「Z会グレードアップドリル」シリーズ『まなべる おかねとしゃかい』監修・あんびるえつこさん 編集・七五三恭世さんインタビュー

「受験に強い通信教育」と口コミ評価が高いZ会から、3歳からはじめられるドリル「Z会グレードアップドリル」シリーズが登場しました。

「Z会グレードアップドリル」は、本屋さんで買って好きなタイミングではじめることができる手軽さが大きな魅力。ドリルの問題ひとつひとつには、これまでZ会が培ってきた「考える力を身につけて、学習の土台をつくる」ノウハウと、子どもが楽しく学べる工夫がたっぷり詰まっています。でも、本屋さんでパラパラと問題を見ただけでは、他の出版社から出ているドリルとの違いがよくわからないという方もいらっしゃると思います。そこで最初に、編集の七五三(しめ)恭世さんに「Z会グレードアップドリル」の工夫と使い方を教えていただきます。

さらに今回、新たに追加された「まなべるシリーズ」の『まなべる おかねとしゃかい』を監修したあんびるえつこさんに、小さいころから「お金」について学ぶ大切さと、親の関わり方をお伺いしました。特に「お金を通じて、社会と自分との関わりがわかる」あんびるさんのお話は、大人も目からウロコが落ちる必見モノです!

「Z会グレードアップドリル」シリーズ

手を動かしながら頭を使って親子の会話が弾む、一石三鳥の問題

───昨年2019年3月に発売された「Z会グレードアップドリル」『ことば』 『かず』 『ろんり・かたち』は、5〜6歳を対象にした3冊でした。今回は、同じ『ことば』『かず』『ろんり・かたち』の3歳〜4歳対象と、4歳〜5歳対象の計6冊を発売。さらに「まなべるシリーズ」として『まなべる めいろ』 『まなべる くうかん・こうさく』『まなべる おかねとしゃかい』が出ます。対象年齢の幅を広げたことで、幼児でも楽しく取り組める「Z会グレードアップドリル」ならではの工夫は、どんなところですか?

左が『おかねとしゃかい』を監修したあんびるえつこさん、右が「Z会グレードアップドリル」の編集をした七五三(しめ)恭世さん。2人はドリルを通して子どもに学んでほしいことを、熱く語ってくれました

七五三(しめ):もともと、Z会の通信教育には、3歳の年少さんからはじめていただける幼児コースがあります。この通信教育の幼児コースも「Z会グレードアップドリル」も、将来生きていく上で必要な「考える力」のベースを、幼児段階から身につけるというコンセプトと、子どもに楽しく学んでもらうための工夫は、実は同じなんです。

今回、新たにシリーズとした、「まなべるシリーズ」の『まなべる くうかん・こうさく』で目指したのは、工作をする楽しさを感じながら、学校で習う勉強の下地を作ることでした。ドリル全体のコンセプトは、「かたちのおまつり」というお祭り遊びです。例えば「わなげで あそぼう」では、丸、三角、四角の形の違いを子どもにわかってもらうことがテーマになっていて、3段階のアプローチで、子どもに形の違いを教えるようになっています。

  • Z会グレードアップドリル まなべる くうかん・こうさく 5−6歳

    出版社からの内容紹介

    ●思考力を育て、学習の土台を作ります。
    学んだ内容を生かしながら次にステップアップできる構成になっているので、お子さまが「できた!」を実感でき、思考力とやる気が育ちます。

    ●工作で空間認識力をアップ!
    作った工作でお祭り遊び!空間認識力が自然と身につく、楽しく学べる問題がいっぱいです。

    ●楽しく学べるふろく付き
    工作シート、折り紙シート、ゲームボードや、シールを使って楽しく取り組め、お子さまを飽きさせません。

    ●充実のシリーズラインナップ
    ベースとなる、「ことば」「かず」「ろんり・かたち」のほか、さらに発展的な「めいろ」「くうかん・こうさく」「おかねとしゃかい」の充実のラインナップで、3歳から入学前まで、しっかりとした学習の土台を作ります。

───それはどんなアプローチですか?

七五三(しめ):最初は平面の絵、次に工作で四角、三角、丸の積み木を作って立体で形の違いを体験してもらいます。工作自体が目的のドリルだと2段階目でおしまいですが、『まなべる くうかん・こうさく』では作った立体を使って、いろんな角度から見たときの形の違いを見つけたり、積み重ねて違う形を作ったりして、積み木遊びをしながら空間を認識する練習を積むことができます。

小学校の授業のようにがっつり理論を学ぶのではなく、お子さんに遊びを通じて「こんな形が見えたね」という体験をさせるのが目的なんですね。 そして何年後かに小学校に上がって図形の問題が出てきたら、「前に見たことがある!」と思い出してもらえるように、ドリルの行き先に身につく力を意識した問題をところどころに盛りこんでいます。

「わなげのわが通りやすそうな形はなにか」を考える問題は、親も即答するのが難しく、子どもといっしょに「なんだろう?」と頭をひねってしまうところがポイント。順番通りに問題を進めていくと、後の問題で答えが明らかになるのも、楽しみながらドリルに取り組むことができる工夫のひとつ

───積み木は赤ちゃんのおもちゃの代表格ですね。自分の目で見たり手で触ったりすると形の違いがわかるし、作る過程で「四角や三角はまっすぐ切るだけなのに、丸は切るのが難しい」とか、「三角は2回しか折らないけど、四角は3回折るんだ」など、形の違いを意識することができますね。はさみを使う課題もありますが、手先が器用でない子は難しそうです。

七五三(しめ):そこで保護者の方の出番になります。親子でひとつのドリルに取り組むというのも、「Z会グレードアップドリル」のコンセプトなんですよ。ただ作る、ただ遊ぶのではなく、それを「考える力」につなげるために、保護者の方の声かけが抜群の効果を発揮するんです。

───親も一緒にドリルで遊ぶんですね。でも声かけといっても、どんなことを言ってあげればよいのでしょうか?

七五三(しめ):そこで注目して欲しいのが、各ページの一番上にある、「おうちのかたへ」というコーナーです。そこを読むと、問題でお子さんに気づいて欲しいポイントや、声かけの内容が書いてありますので、参考になさってください。ドリルをどんどん進めていって、こまやヨーヨーなどいろんな工作ができたら、最後に親子や兄弟で「かたちのおまつり」でごっこ遊びをします。

───ごっこ遊びもドリルに入っているんですね!

七五三(しめ):普通のごっこ遊びとひと味違うのが、「試行錯誤」というプログラミング思考を身につけさせるという観点を取り入れた遊びを提案しているところです。それが「おまつりの まちを つくろう」という問題で、工作で作った丸、三角、四角の積み木を地図の上に置いてまちを作る遊びです。

───積み木を置く場所に、丸や三角などの形が描かれていて、パズルみたいです。それに、紙の上にニョキニョキ建物が飛び出した立体地図を見ていると、ほかの遊びができそうでワクワクしますね。

七五三(しめ):そうなんです。できあがった地図を使って、ドリルに登場するキャラクターのまるるん君が、お友だちのかくさんちゃんの家に遊びに行く問題があるんですよ。問題に従って、実際に地図上でまるるん君のコマを動かしながら、どの道を通っていくのか、曲がり角から建物がどんな形に見えるのかなど、いろんな「学びの芽」を盛り込んであります。

最初の問題で作った積み木のほかに、新しい工作物を足して、ステキな立体地図ができあがり。同じ四角柱でも、マンションになったり小学校になったりと、想像力がふくらむしかけも含まれている

───最初に作ったものを活用しつつ、次々と新しい工作も出てくるので、楽しくて1回で1冊分遊びきってしまいそうです。そういう使い方をしても大丈夫ですか?

七五三(しめ):もちろん、大丈夫です。作り手としては、順序を踏んで力が身につくようにと考えて問題を組んでいますが、順番通りに進めなくてもよいですし、一日1枚という決まりもないので、お子さんがやりたい分だけ自由に楽しんでもらえたらうれしいです。やっぱり楽しみながら学んでもらうのが一番ですから。

───それを聞いて安心しました。『まなべる めいろ』にはどんな工夫がありますか?

  • Z会グレードアップドリル まなべる めいろ 5−6歳

    出版社からの内容紹介

    ●思考力を育て、学習の土台を作ります。
    学んだ内容を生かしながら次にステップアップできる構成になっているので、お子さまが「できた!」を実感でき、思考力とやる気が育ちます。

    ●算数の基礎に触れ、語彙力を広げます。
    楽しい迷路で、思考力を育みながら、言葉や数の基礎を身につけます。

    ●多様な切り口の問題を多数収録。
    ことば、かず、ろんり・かたち、自然などの要素を盛り込んだ迷路を多数収録。ノーマルな迷路から、立体迷路、浮き出し迷路など多様な問題構成なので、どんどん進めたくなります。

    ●楽しく学べるふろく付き
    書いて消せる迷路ボードや、シールを使って楽しく取り組め、お子さまを飽きさせません。

    ●充実のシリーズラインナップ
    ベースとなる、「ことば」「かず」「ろんり・かたち」のほか、さらに発展的な「めいろ」「くうかん・こうさく」「おかねとしゃかい」の充実のラインナップで、3歳から入学前まで、しっかりとした学習の土台を作ります。

七五三(しめ):楽しみながら学べるのはもちろんのこと、普段の生活では目にしない新しい世界に触れるということ、ドリルを通して親子の会話が弾むことを大事にしています。例えば、迷路のモチーフにふくろうが入っているんですが、「ふくろうって なに?」というお子さんの疑問に答えてあげたり、いっしょに図鑑を広げたりする時間を持ってもらえたらいいなと。細かいところですが、ドリルに取り組むご家庭での様子を想像しながら、編集と制作の担当者みんなで話し合って作っています。

単純に道を探すだけでなく、「拾いもの」をしたり、言葉をつなげたり、数字の大きさを比べたりする、学習要素を取り入れた迷路も収録

───作り手のみなさんがいろいろな知恵を持ち寄っているからこそ、実際に手を動かしながら頭も使い、さらに親子の会話も弾むという、まさに一石三鳥のドリルになっているんですね。

「Z会グレードアップドリル」シリーズ

日々の生活で使う「お金」を入口に、社会の仕組みまで学べるドリルを目指して

───シリーズの中でも、特に注目したいのが『まなべる おかねとしゃかい』です。最近大人向けでも、「お金」について学ぶことが注目されていますが、幼児向けのドリルで「お金」を取り上げようと思ったきっかけは、なんでしたか?

  • Z会グレードアップドリル まなべる おかねとしゃかい 5-7歳

    出版社からの内容紹介

    思考力を育て、学習の土台を作ります。
    学んだ内容を生かしながら次にステップアップできる構成になっているので、お子さまが「できた!」を実感でき、思考力とやる気が育ちます。

    自ら判断し、行動する力を、お金の学習を通して育みます。
    「お釣りってなんだろう?」「おうちのお金はどこからくるの?」「ICカードは魔法のカードなの?」といった、子どもの疑問をイラストや付録のお金カードなどを使って、丁寧にわかりやすく学習します。

    お金の計算を学びます。
    お金の計算についてステップアップしながら学習します。

七五三(しめ):保護者様の要望として、「幼児の段階でもお金を学習させたい、経済観念を身につけさせたい」という気持ちがあるなと感じたことです。「お金」と聞くと、真っ先に買い物金額の合計やお釣りの計算が思い浮かびますが、「経済観念」とはちょっと違いますよね。そこで、「お金」を通じて社会と繋がるような教材にしたいという思いから、『まなべる おかねとしゃかい』というタイトルのドリルを制作しました。

───そこで、NPO「子どものお金教育を考える会」の代表、あんびるさんに監修を依頼したのですね。あんびるさんは、ドリルの企画や構成を見てどんな風に思いましたか?

あんびる:ラフ(本番になる前のアイデアをまとめたもの)の段階で見せていただいたのですが、算数ではなく、生活から学ぶという視点から「お金」を捉えているのが、おもしろいなと思いました。

七五三(しめ):あんびるさんとは、かなり長い時間打ち合わせをさせていただいて、ドリルの流れを一緒に作り上げました。その中でさすがプロだなと感じたのは、「お金」についてさまざまな切り口と手法を使って、ドリルの中で繰り返し教えていくことでした。

あんびる:最初は、お金の形を覚えるところから。シールを貼ったり、迷路遊びをしたりと、いろんな遊びを通して学びます。次にお金をなにに使うかを、生活面から考える問題が登場します。その後で、5円玉1枚は1円玉5枚と同じという両替、つまり「=(イコール)」の概念や、お釣りを理解してもらうために数の要素が入ってきます。お釣りの概念って、子どもにとってすごく難しいんですよ。100円玉でおかしを買ってお釣りで30円もらうと、単純に「数が増えたからうれしい!」と喜んじゃう。だからドリルではすべて可視化して、わかりやすく繰り返し説明しています。

日本の硬貨に混じって外国のコインがあるなど、「新しい世界に触れる」要素も入っている。またお金のやりとりは、金額の数字といっしょに必ずお金のイラストで「可視化」しているのも、子どもの理解を深める工夫のひとつ

───パッと見た目でわかるので、子どもも理解しやすそうです。

あんびる:お金の勘定をマスターしたら、お金の稼ぎ方を学んで、最後はアイスクリーム屋さんを経営して、きちんと利益を出すところまでドリルになっているんですよ。

───かなり本格的なごっこ遊びなんですね。利益のことまで教えるのはなぜですか?

あんびる:経済活動の仕組みがわかるからです。儲けが出ないとお店を続けることができないことや、アルバイトを雇ってお給料を払うことまでやって、経済センスを育てるのが主な目的です。

さらに社会のルールを伝える教材にもなっているんですよ。例えば、お店の物はお金を払わないと手に入らないということを知らない子が、商品を黙って持って帰ってきてしまったとします。そうすると、お金をもらえなかったお店の人が困ることが、ドリルを通してわかるようになります。

56の「おかねは ぐるぐる まわって いる」は、銀行の役割をどこまで説明するか、お金の流れがわかりやすくなっているかなど、一番苦労した問題だそう。イラストをよく見ると、みかんを販売している人がレストランのお客さんになっていたり、レストランでお料理をしているのがお母さんだったりと、人物を通してお金の流れがわかるようになっている

───お店屋さんごっこで、お金の流れが理解できるようになっているんですね。

あんびる:そうなんです。学校の授業は、国語、算数、生活(社会、公民、家庭科)など、お金にまつわる内容がいろいろな科目に分かれていますが、日常生活の視点から「お金」を見ると、すべての教科が関わっているんですよ。「お金」は算数を勉強するだけのものではなくて、世の中の仕組みや動きに繋がっていることを勉強するのに、ぴったりの教材なんです。しかも、日常生活の中で繰り返し体験学習ができるのが、子どもの知識の定着にもつながります。

───親も子どもと一緒にじっくり取り組んでみたいと思いました。

地球規模で「お金」を考えたら? 人としての総合力を育む秀逸な問題

───ドリルの問題には、お金の計算や経営に関わること以外に、生活に必要なものを選ぶ珍しい問題もありますね。

あんびる:実際の生活では、おもちゃやおかしなど自分が欲しいものだけではなくて、生活に必要なものだって買わなくてはいけません。経済学的の「希少性」とか「トレードオフ」という概念になりますが、自分が欲しいと思うものがすべて手に入るわけではないという状態で、「お金をどう使えばよいのか」を考え、意思決定する問題も含まれています。

七五三(しめ):特に決まった答えがある問題ではないので、親子で話し合いながら、それぞれの家庭なりに「お金に対する考え方」を共有してもらうのが、ねらいですね。

「お金」で自分の身近なものを買うだけでなく、社会全体での使いかたまで視点を広げたユニークな問題。決まった答えがないので、親子で自由に意見を交わしながら楽しめる

あんびる:14の「なくては こまる ものと ほしい もの」という問題だと、お母さんは化粧品が必要だと思っているけれども、子どもはゲームやサッカーボールが必要だと言うかもしれません。同じ問題に親子で取り組むことで、自分と他人では必要だと思っている物が違うことや価値観の違いについて、新しい発見があると思うんです。

七五三(しめ):制作の中で、モニターの方にドリルをやってもらったのですが、そのとき、24の「ちきゅうに やさしい おかねの つかいかた」で、とても興味深い出来事がありました。

この問題は、「自分がやったこと」に対して「どんな結果になるか」を考えさせるものですが、あるお子さんが「ゴミを捨てる場所がないなら、ブラックホールに捨てればいい」と言ったんです。そうしたら保護者のほうが「ブラックホールなんて言葉を知っているの?」と驚いて。でも、「ブラックホールに捨てたら、ゴミはなくなるの?」と聞いたら、少し考えて「ブラックホールの人たちが困るから、やっぱりダメだね」という答えにたどり着いたんですよ。

あんびる:ブラックホールに人が住んでいるんですね(笑)。突拍子もないけれど、子どもらしい自由な発想がすばらしい!

七五三(しめ):子どもなりのロジックを作って考えていく、まさに「プログラミング思考」の実践になっているんです。それは、あらかじめ答えが決まっているドリルを解いて「できたね、すごいね」というものだったら、生まれてこないと思うんですね。作り手である私たちにとっても、大きな発見になりました。

あんびる:限りある資源をだれかが使ってしまったら、使えなくなる人がいるという考え方も、「希少性」の概念になります。この概念を学校で習うのは、新しい学習指導要領によると中学校の社会科の公民的分野ですが、生活を通して理解していく最初の入口にしてほしいなと思って作りました。だから『まなべる おかねとしゃかい』というタイトルが、すごく大事なんです。

───5〜7歳向けのドリルに、中学校で習う内容の「種」が入っているんですか?

あんびる: そうなんです。先ほど七五三(しめ)さんのおはなしに出てきたブラックホールの話を例にすると、「ブラックホールにゴミを捨てる」というのは問題発見能力や思考力を、「ブラックホールにいる人が困る」というのは、共感力や想像力を育てます。そして、自分の考えを保護者に伝えるのは、言語能力を育てる。ひとつの問題に対して、いろんなアプローチで考えて答えを出せる人間こそが、これからの社会を生きぬく力になります。 

私がお金教育で目指しているのは、お金をうまくやりくりすることだけではなく、将来的に自分が稼げるのか、そして自分たちの力でよりよい社会に変えていくことができるのかです。その見通しのもとで、お金との関わりかたを教えていきたい。そういう意味でこのドリルは、挑戦的で深みのある1冊になったと思います。

───もうひとつ今の時代を象徴しているのが、ICカードでキャッシュレスについて説明している問題です。目に見えないけれど「お金」であると、子どもにわかるように説明するのは、親でも大変です。

あんびる:ドリルでは、「現金」と「カードに入っているお金」が違うこととお金の流れを、きちんと見える形で説明しました。「現金」をキャッシュディスペンサーでカードにチャージする場面を絵で見せ、電車代がカードのお金から支払ったことも「現金」に置き換えて見せています。

───最初に現金についていろいろ学んだことが、後ろの問題について考える基礎知識になっているんですね。

あんびる:そうです。今のキャッシュレス社会は、「目に見えない」からこそ、子どもにとってすごくわかりづらい世界になっています。子どもからすると、「ピッ」とするだけで買い物ができるICカードは「魔法のカード」。キャッシュディスペンサーも、「なんかお金が出てくる機械」であって、肝心の「お金」がどこから来ているのか、想像もつかないんです。親御さんからも、「うちの子は、お金のありがたみがわかっていない。どうすればわかってもらえますか?」と質問がよくくるので、53「おかねは どこから くるのかな」という問題を作りました。

───なるほど。「働くとお金がもらえる」ことを教えるために、家のお手伝いで小遣いを稼ぐ方法はどうでしょうか?

あんびる:難しいと思います。例えばお風呂そうじ1回が10円だとします。がんばってお掃除して10円稼いでも、おじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに行くと、それだけでお小遣いを1000円もらったとしたら、がんばる方が損だと思ってしまいますよね。あるいは「窓を閉めて」とお願いしたら「いくらくれるの?」となってしまう。特に欲しいものがない場合は、窓も閉めないしお風呂も掃除しないという考えかたになるかもしれません。

ですから私個人の考えとしては、家庭内労働は社会経済と分けたほうが良いと思っています。「お金がどこから来るのか?」をきちんと伝えて、いろんな人の手を渡ってから自分たちのところにくるものだよと、ドリルを通じて学んでもらえたらうれしいですね。

───おふたりのお話から、「お金」と「社会」をつなげて学ぶことが、今後の生活でもすごく役に立つことがわかりました。実際子どもには、何歳ころから「お金」について教えていくのがいいんでしょうか?

あんびる:私は「あれ買って、これ買って」がはじまる、自我が芽生えた2歳くらいからをおすすめしています。そして、最初に親が子どもに「我慢すること」=「欲しいものが全部手に入るわけではない」ことを教えます。「我慢」は、自分でお金を使うときになった段階で、「なにを買って、なにを諦めるか」という選択をするための基礎力になるんですよ。

───そうだったんですね! 子どもが小さいころ、カードゲームに夢中になっていた時期がありました。1回の金額が小さいので「ま、いいか」と出かけるたびに遊ばせていたら、小銭がないときに諦めさせるのにすごく苦労して……。やはり、最初が肝心だったんですね。

あんびる:でも「お金を使う」こと自体はとても良い経験です。「我慢」が行きすぎると、「無駄遣いになるからなにも買わない」と言うお子さんが出てきますが、お金は使わないと意味がありません。みんなが貯めこんでいたら、経済が回らなくなってしまうでしょう。

でも、2歳から少しずつ「我慢」と「お金を使うこと」の両方を教えていけば、5〜6歳になると、自分で買う物を選べるようになります。ドリルでは、1000円のお小遣いを持って、遊んで帰ってくるという問題で学べるようになっています。

七五三(しめ):歩ける距離なのに楽をして駅までバスに乗ったり、遊園地で乗り物やおみやげにお金を使いすぎると、お金が足りなくなって好きなおやつを買えなくなったり、歩いて帰らないといけなくなったりするんです。往復の電車代がないと、お家に帰ることができないからどうすればいいのかなど、お金の使い道を自分で考えて決める練習になっているんですよ。

───すごくおもしろい問題ですね! 実際にやろうと思っても、雨が降っていたり親自身が疲れていたりするとバスに乗りたくなるし、電車の中でぐずると困るからおかしを与えてしまったりと、ハードルが高そうなので…。

あんびる:だからドリルでシミュレーションしてほしいんです。ドリルなら、どんな失敗を何度繰り返してもだいじょうぶだし、むしろいっぱい失敗させてほしい。考えの浅さや知識のなさでお金を失う「痛み」を親が教えるということが、子どもにとって大切なことなんです。

「お金」も「お金の流れ」も見えないまま大きくなると、スマホのゲームで何十万と課金したり、カード破産するくらいクレジットで買い物をしてしまったりと、親が大きな損失を受けることがあるかもしれません。そうならないための「経済観念」を子どもに身につけてもらうのに、ドリルという安全な範囲で大いに失敗させて、痛い目をみてもらう。それが、親子でドリルに取り組む意味ですね。

───「お金」のことを学ぶ大切さがよくわかりました。最後に、絵本ナビ読者へのメッセージをお願いします。

七五三(しめ):「おうちのかたへのメッセージ」ヒントにして、親子で楽しく、順番や枚数も自由にご家庭のスピードに合わせてやってもらえたらうれしいです。

あんびる:私自身が、つい最近子育て卒業を迎えました。振り返ると、親子でべったり会話をして、お互いに考えていることをぶつけ合う機会は、本当に幼児期までだったなと思うんです。ドリルをやったときに「なんでわからないの!?」とケンカをしたこともありますが、それはそれでステキな時間だったなと、今になって実感しています。ですから、今子育てしているかたには、そのステキな時間を子どもといっしょにすごして、いろんな会話をして、子どもの考えかたや成長に触れながら、貴重な時間を堪能していただけたらなと思っています。

───ありがとうございました。

取材:中村美奈子
撮影:所 靖子(絵本ナビ)

「Z会グレードアップドリル」シリーズ ラインナップ

「Z会グレードアップドリル」シリーズ 3ー4歳

「Z会グレードアップドリル」シリーズ 4ー5歳

「Z会グレードアップドリル」シリーズ 4ー6歳

「Z会グレードアップドリル」シリーズ 5ー6歳

「Z会グレードアップドリル」シリーズ 5ー7歳

「Z会グレードアップドリル」シリーズ

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