絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  虫とり絵本第2弾!『ふゆのむしとり?!』はたこうしろうさん、奥山英治さんインタビュー

虫に対する愛情とこだわりが満載!

───『ふゆのむしとり?!』は『むしとりにいこうよ!』と同じ場所に虫とりに来ていますが、公園の木や葉っぱの雰囲気が夏とは違うのがすごく印象的でした。特に池のシーンは、2冊を対比させるとその違いに驚きました。


『むしとりにいこうよ!』夏の池


『ふゆのむしとり?!』冬の池

はた:同じ場所の違う季節を見せているのが、この2作の特徴ですよね。それと、あまり山奥や人里離れたところではなく、道路や公園など子どもが行ける範囲の虫を紹介しているのもポイントなんです。

───公園に行って、樹名板をめくるところは、絵本を見たらすぐに実行したくなりますよね。今回もお兄ちゃんは虫のプロ。でも、1作目よりも弟に対して優しく、ちょっと大人っぽくなった気がしました。


はた:2人とも1作目よりも少し成長させています。それとお兄ちゃんは前回、弟を連れて行ってタマムシを捕まえたことを覚えていますから、今回も大物が捕れるかも…と思っているのかもしれませんね。

───2人の着ている洋服もグッと可愛くなったように感じましたが…。

はた:服は結構、可愛い服を着せたいなっていつも思って描いています。お兄ちゃんのズボンは、今日取材でぼくがはいていたズボンなんですよ。ジャケットやベスト、帽子はうちの子の洋服を着せています。

───息子さんの洋服だなんて! オシャレですね! 絵を描くときに特に気をつけたポイントを教えてください。


はた:基本的には前回同様、昆虫がメインになる様に昆虫と植物、そして人間をそれぞれ違うタッチで描いています。昆虫はかなりリアルに描いていて、人間はデフォルメを強く、植物はその中間で色鉛筆を使い、あまり描きこまないように描いています。

奥山:木の枝ぶりや木肌の感じ、植物の葉っぱの形がとてもよく捉えられていて、あれだけ情報量のない描き方なのに、すごくリアルに見えるのが、さすがプロだなって思いました。

───人物もデフォルメされている中でも吐く息の白さとか、寒さが感じられてすごくリアルですよね。そして、前回もこだわっていると言っていた「見返し」、今回はとても幻想的な写真が使われています。この写真もはたさんが撮影されたんですか?

はた:はい。本当は子どもが映っている写真を使いたかったのですが、アングル的に難しくて…。ワタムシも加工しています。

───ワタムシ、今日本物を見ることができましたが、本当に雪の様できれいでした。お二人は『ふゆのむしとり?!』をどのように楽しんでもらいたいですか?

はた:「虫とりは夏しかできいないよ!」と思っている人も多いと思うのですが、実は冬の間も卵だったりサナギだったり、成虫だったり…何らかの形で虫は生きています。見つけるポイントさえ分かれば、出会うことができるんです。ぼくは、この絵本を通じて、1年中、虫を感じることができる様になってもらいたいと思って描きました。今回は奥山さんという生き物のプロフェッショナルがお兄ちゃん役(笑)だったので、ぼく自身も知らないことをいっぱい教えてもらいながら絵本に生かすという、すごく面白い経験ができました。

奥山:ぼくも今回、初めて絵本の共作という仕事をさせてもらって、色々新しい体験ができました。「冬は寒いから家にいよう」ではなく、「冬だからこそ、外に出よう!」をスローガンに、この絵本を読んで少しでも冬の虫とりに興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

───今回、取材をして、冬になって葉っぱが落ちたから、ミノムシやイラガのマユが見つかったんだということに気づきました。そういう見方ができるのが、冬の虫とりの魅力なんですよね。


奥山:そうなんです。それを知るにはやはり、外に出て、触ったり、めくったり、転んだりしないと身につかないんですよ。でも、今の子は外での遊び方をほとんど知らないですし、身近で遊び方を教えられる大人も少なくなってきています。なので、絵本という形で伝えて、好奇心を持ってもらって、「ぼくもやってみたい!」と実行してもらえるのが一番だと思います。

はたこうしろう&奥山英治コンビで次回作も構想中!

───おはなしを聞いていると、このシリーズははたさんにとってライフワークのようになっていると感じました。

はた:そうですね。奥山さんと一緒に仕事をしたいとずっと思っていたので、長く続けていきたい作品ですね。

───では、次回作の構想もあるのでしょうか…。

はた:次回作は「磯遊び」をテーマにしようと思っているんです。


奥山:取材に行く話も出ているのですが、天候がなかなか合わずまだ行けてないんですよね。

───磯遊び! 楽しそうですね。どんなおはなしになるかワクワクします。

奥山:今までの流れから考えると、お兄ちゃんが出かけるのを弟が見つけて「お兄ちゃん、どこいくの?」って海に行くのかな?

はた:旅行先の話でも良いですよね。家族で海に行って、そこで磯遊びをする…とか。

奥山:でも、さっき話していたフンチュウ探しもいつかやりたいですよね。

はた:河原のオサ堀りも、田んぼの虫とりもいつかやりたいですね。

───お二人の構想はどんどん膨らんでいきそうですね。「むしとり」シリーズ第3弾も楽しみにしています。


インタビュー: 磯崎園子 (絵本ナビ編集長) 
文・構成: 木村春子(絵本ナビライター)
撮影:所靖子

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はた こうしろう

  • 兵庫県に生まれる。絵本作家、イラストレーター。
    絵本に『ゆらゆらばしのうえで』『ことりのゆうびんやさん』(以上福音館書店)、『ガタゴトシュットンなんのおと?』(学習研究社)、『なつのいちにち』(偕成社)、『雪のかえりみち』(岩崎書店)、『はるにあえたよ』「クーとマーのおぼえるえほん」シリーズ(ポプラ社)、「ショコラちゃん」シリーズ(講談社)、『こいぬ、いたらいいなあ』(フレーベル館)、『はじめてずかん どうぶつ(1)(2)』(コクヨS&T)、童話の絵に『しゃくしゃく けむしくん』などの作品がある。
    東京都在住。

奥山 英治(おくやまえいじ)

  • 東京都生まれ。日本野生生物研究所代表。おもにアウトドア雑誌を中心に、テレビの自然番組の監修など多方面で活躍中。山、野原、川、海、植物、動物、昆虫とすべてのフィールドに精通。「さわらないとなにもわからない!」をモットーに、自然観察会の講師としても活躍。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ)『自然であそぶ』(ポプラ社)『作って遊ぶ!工作KIDS』(共著・小学館)、イラストを担当した本に、『水辺であそぼう』『里山であそぼう』(ともに農文協)など。

作品紹介

ふゆのむしとり?!
ふゆのむしとり?!の試し読みができます!
作:はた こうしろう 奥山 英治
出版社:ほるぷ出版
むしとりにいこうよ!
むしとりにいこうよ!の試し読みができます!
作:はた こうしろう
出版社:ほるぷ出版
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