かなり前のことになりますが…。
『And the Train Goes...』 (邦題「さてさて きしゃは はしります・・・」)という絵本を描いたとき、絵の中のいたるところにカタツムリを描きました。それは、次の『And the Cars Go…』や『Beware of the Frog』(邦題「かえる ごようじん」)でも、本の中で色んな物を探して、見つけて遊ぶというアイデアを入れていて、その頃から、いつか「ミグルー」の様な絵本を作りたいと思っていました。
同時に、世界中の人が出てくるような絵本を作ってみたいなと思ったんです。いろいろな肌の色や、いろいろな名前、さまざまなちがう仕事をしている人たち。いろんな国々の男性や女性が、ありとあらゆる仕事をしているというのがとてもカッコイイんじゃないかと。そういう人たちが、小さなお店が沢山並んでいる現代の町みたいなところで一緒に暮らしている。そういう世界の絵本を作ってみたいと感じていました。
絵本の中で車は、それに乗っているキャラクターの延長として、キャラを表現しています。たとえば、郵便配達の女の人が近くにいることは、彼女の車があることから発見できたりします。正直、煙突掃除屋さんなんて、ほとんど姿は見えなくて、彼の古い自転車があることで、存在が確かめられるような状態なんです。
絵本に出てくる車は、じつはみんな古い車です。…というのは、僕は古い車の方が好きなんです。 実は、絵本の中に映画「The Italian Job」(邦題「ミニミニ大作戦」1969年)に登場する車を全部描いてるんです。警察署の裏に置いてある、事故でぺちゃんこになった車がそうですよ。
映画好き、車好きの方にはたまらない遊び心満載です!
英語では「putting words in someone else’s mouth(人が言ってもないことを勝手に代弁する)」という表現があって、僕がミグルーの本の中でやっていることも同じです。
つまり、ミグルーがしっぽをパタパタしてるのを、「こういう意味です」って勝手に代弁しているだけなんです。
ミグルーはたしかに礼儀正しいんですけど、本当のところ、ミグルーが何を考えてるのか、誰も断言はできないってことなんですね。
次の本は、ミグルーやみんなが週末に何をしてるかというおはなしで、車のレースを見に行ったりする所もあります。3巻目は、ミグルーのホリデーにしたいなと思っています。
日本のみなさんがこの本を気に入ってくださることを願っています。
日本には車やグラフィック、それにエレクトロニクスのデザインの分野でもすばらしい歴史がありますね。
スイス、イギリス、アメリカ、それに日本の国旗のデザインは世界でピカ一です。
そして、日本でポピュラーになれるということは、すごく名誉なお墨付きをもらうことになるんです。
●前田まゆみさんのリネンのお店

インタビュー: 富田直美 (絵本ナビ編集部)
文・構成: 木村春子(絵本ナビライター)
撮影:所靖子