- テーブルマナーの絵本

- 作・絵:野 紀子
- 出版社:あすなろ書房
知っておきたい和・洋・中のテーブル作法を、イラストをふんだんに盛り込んでわかりやすく紹介する、小学生のためのテーブルマナー本。
●お皿のひとつひとつまで
『テーブルマナーの絵本』ではひとつひとつのお皿の模様を描き込みました。ここまで描かなかったら、もっと早く本は出来上がっていたかもしれない。でもお料理が盛り付けてあるお皿ひとつひとつを身近に感じて欲しくて。 中華料理、フランス料理、和食、それぞれ違いますよね。そうそう、よくこんなお皿に盛りつけられて出てくるよねと思っていただくことが大事だなと思ったんです。だからずいぶんお料理の本も参考にしたんですよ。

うさぎの絵付けのお茶碗(手前)は、こんなお茶碗があったら欲しいな〜と思って描いたそう。
こんなところにも動物たちが!釉薬(ゆうやく)や貫入(かんにゅう)の風合いがきれい。

お皿やパンの影まで。

この取りあげ方が基本ですよ、と書いてあるだけで、いつか大きくなったとき本人が興味をもったり、「やっぱり知っておいたほうがいいな」と思ったら自分で古い本を本棚から引っ張りだしてきて調べる、そういうことに使ってくれたらうれしいなと思うだけなんです。
───『テーブルマナーの絵本』は買います!うちは小学生の男の子なので、自分からマナーなんて気にしない。でも本を買って転がしておけば(笑)料理や絵にひかれて勝手に見て、食事のとき「お母さん、それ、正しくないよ」と指摘してくれるかもしれない(笑)。
「外食のマナー」のページも参考になります。ファミリーレストランやファーストフード店や回転寿司・・・ありそうなシチュエーションばかりですよね。外食にいったとき「こんなところで○○しちゃダメでしょ!」と一方的に叱るんじゃなくて、その前に親子で楽しんで見るといいだろうなあと思います。
そして登場人物たちが不器用そうなくまさんだったりするのが、愛らしくて(笑)。お箸やナイフを持つ手に親近感がわいてしまうんです(笑)。
そう言っていただけるとうれしい。
保育園・幼稚園から小学校3年生くらいまでの保護者の方々にアンケートをとったんです。子どもにどんなマナーを守ってもらいたいですかと。そうすると「立って食べない」とか「散らかさない」という、ごくごく基本的なことなんですね(笑)。現実は大変なんだなと。
そして意外にお母様方が、自分がちゃんとしたテーブルマナーを知りたいです、子どもに教えるためにも自分が読みます、という声が多かった。
───「正しいからこうしなさい」ではないですよね。「一緒に食事をしているひとが嫌な気持ちになるからね」「作ってくれた方に感謝の気持ちでね」そんな視点が伝わってきて気持ちがあたたかくなります。
『テーブルマナーの絵本』は私自身が描きながら、え、ここまで描くのかな、と思うくらいしっかりした内容で、大人向けのレベルに耐えうる本になっています。あくまで「基本」は基本で、あとはお父さんお母さんが一緒にごらんになって、「うちの子は、まずこことここができればいいと思うよ」というポイントを選んでもらえればいいなと思います。
●ご家庭でどうぞ使ってください
───どの絵本も濃密な内容で、しかもわかりやすく描くためにはご苦労がありそうですね。
───『「和」の行事えほん』は英語版も出版されていますね。
日本人なら、四季の行事のことを、詳しくはなくてもなんとなく知っているでしょう。そういうことがまったくわからない外国の方でもわかるように翻訳してあるそうですよ。アメリカで日本語教師をしている方がたくさん買っていかれるんだと聞いたことがあります。

「和」の行事えほん〔英語版〕(1)、(2)
───どの絵本もプレゼントにもよさそうですものね!
最後に、絵本ナビ読者へメッセージをいただけますか?
───お話をうかがっていると全部欲しくなっちゃいます!『「和」の行事えほん』を読むと、今までなんて季節の行事をおろそかにしてたんだろう、と、頭を抱えてしまいそうですが(笑)
───そううかがうとホッとします(笑)。どの本もこれからますます読者が増えそうな予感ですね。今後の企画、お聞きしてもいいですか。
(あすなろ書房社長さん):じゃあ再来年かな。いい絵本ができるのがいちばん大事だから。
───社長から声がかかって、いま再来年に締切がのびました(笑)。
これまでどの本も「早く、早く」とは言われなかった。じっくり気がすむまで描かせていただいた。これからも一生懸命作っていきますからよろしくお願いします。スタートは遅かったけれど、追い込まれて力を出すタイプですから(笑)。
───楽しみにしています。きょうはお話を聞かせてくださってありがとうございました!

<取材を終えて>
2006年に発売された「春と夏の巻」は12刷、翌年発売の「秋と冬の巻」は14刷(取材時点、2012年9月現在)だそうです。このたびの取材には、あすなろ書房の社長さんも同行してくださり、『「和」の行事えほん』企画がスタートする初期からのエピソードをうかがうことができました。じっくり丁寧に本作りをされている様子が伝わってきて感激! 高野さんが描かれる、イラスト満載の贅沢な絵本の背景にはたくさんの方の力が隠されているんですね。
(編集協力:大和田 佳世)










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