●ふうちゃんは、子どもの頃の堀川さんがモデル?
───スケッチが終わってから、いよいよ絵本の制作に入ると思うのですが、どのように進めていったのですか?
スケッチが全部終わってから構成を考えたわけではないんです。スケッチをしながら、レイアウトやデザインなど全部ちょっとずつ進めていっていました。まず下絵でだいたいの構図を考えて、スケッチをした後に実際に使うものを選んでいきます。
───そのときのラフを見せていただいているのですが、かなり細かい部分まで考えて構成されているんですね。
はい。ラフで描いたものの中には、取材にも行ったけれどページに載せられなかった果物もあるんですよ。
───それはどんな果物なんですか?
例えば、カカオやアーモンドなどのナッツ系を入れたかったのですが想像していたよりもページ数が多くなってしまい、泣く泣くあきらめました。あと、果物の品種も実際に本で紹介しているものより多くスケッチしているんですが、色や形の違いがはっきりしているものを選んでいって、最終的に掲載できなかったものも多くあります。
───原画はどのように制作しているんですか?
スケッチしたものをパソコンに取り込んで、パソコンで最終的な修正作業を行っています。なので、厳密には原画がなくて、スケッチしたものがすべてという感じです。
スケッチした絵をパソコンに取り込んで、絵本制作をしています。
───スケッチでもかなり緻密なのに、さらにパソコンで仕上げているなんて意外でした。本では、おはなしの中に、好奇心いっぱいの食いしん坊な女の子「ふうちゃん」とその家族が登場して、それぞれの果物の紹介やプチ情報を教えてくれるストーリーになっています。このふうちゃんファミリーがとってもかわいくて、絵本を見るのがとても楽しく感じました。
ありがとうございます。ふうちゃんファミリーを登場させたのは、一般的な果物図鑑や科学絵本にはしたくなかったと思ったからです。ふうちゃんを通して、小さいお子さんでもこの絵本を楽しんで、果物に興味を持ってもらえたらと思い、描きました。
───ふうちゃんにはモデルがいるのですか?
編集者さんからは、「ふうちゃんは小さいときの堀川さんですよね」といわれています。確かにふうちゃんのように食いしん坊ですが、お母さんのようにお菓子作りが大好きですし、お父さんのように、いろいろ知っていることを披露したい思いもある……(笑)。きっと、ふうちゃんファミリー全員が私の分身なんだと思います。
ふうちゃんファミリーのモデルはほりかわさん?
───ところどころ登場する四コママンガが、ふうちゃんファミリーの日常が垣間見られてとても好きなのですが、この四コママンガの内容は実話ですか?
いえいえ。これは果物を紹介するために、毎回ひねり出して描いているんです。絵本の構成についてはあまり編集者さんから修正は入らなかったのですが、四コママンガは「オチが面白くない!」と何度かダメ出しをいただいて、面白くなるように描き直しています。
───おなかが痛いときに効果のあるビワの葉のお灸が紹介されていたり、ふうちゃんのお父さんが薀蓄を披露していたり、クスッと笑える内容がとても楽しかったです。
ありがとうございます。オチにこだわってよかったです(笑)。
四コママンガには、果物に関するプチ情報も!
───『くだものと木の実いっぱい絵本』の取材で、いろいろな果物を食べたと思いますが、堀川さんのお気に入りの果物はありましたか?
ひとつに決められないくらい、美味しい果物と出会うことができました。私はかなりクラシカルな果物が好きで、ブドウでも、最近流行りの種がなくて、皮も食べられるものよりも、種があって、皮もしっかりしているものの方が好きでした。あとは、スパイシーだったり、ちょっと個性的な味のする果物が好きです。