●公園にいる気になる親子の正体は……?
───今回、作品を作る中で特に苦労した部分はありますか?
絵本の絵を描くことはいつもやっていますが、文章を描くことはほとんどないと言ってもよいので、最初に編集者さんに渡したテキストは、絵本では入りきらないくらい文章量があるものでした。そこから、今の長さにまとめていくのが大変でしたね。
───すごく分かりやすく、美味しさを十分残したまま短い文章にまとめられていると思いました。
ありがとうございます。それと、編集者さんからお願いされたのは、「背景を丁寧に描き込んでほしい」ということでした。
───それはなぜですか?
キャラクターがとても個性的なので、背景がリアルの方が、より変な感じが出て面白くなるんです。編集者さんのアドバイスを受けて、舞台となる公園のモデルを探しに、息子と近所の公園をいくつか回りました。
───うどんとラーメンが対決をする「つるつるこうえん」は田中六大さんの地元の公園がモデルなんですね。絵本の中に、公園で遊んでいる親子が登場しますが、このモデルも田中さんとお子さんですか?
特にそう意識して描いていたわけではないです。決闘の舞台がずっと公園なので、背景が単調になりすぎないように変化を付けるために親子を描きました。それと、主役同士が大真面目にふざけているので、背景にもちょっとした小ネタを仕込みたいと思ったんです。
うどんとラーメンが対決している公園で遊ぶ親子。ぜひ見つけてみてください。
───目の前でうどんとラーメンが対決して、さらには巨大なラーメンモンスターやうどんやのおじさんが出てくるのに、まったく動じず、親子でほのぼのと遊んでいる姿が微笑ましくもあり、ちょっとこわくも感じました。
この親子はおはなしの最後にも登場します。1回目はうどんとラーメンの戦いを見守って、3回目以降くらいに、この親子がどのように公園で過ごしているのかを注目して見ていただくのも面白いと思います。
───ほかに絵を描くときに気をつけたことはありますか?
やはり、主役のうどんとラーメンを美味しく描くことです。
───おはなしの中で登場する、どんぶりの中のうどんとラーメンもとても美味しそうですが、何より目を奪われたのが、裏表紙の絵! このうどんとラーメンが本当に美味しそうです!
ここは原画の中でも最後に描いたので、特に気合を入れて描いたように思います。
───気合が入っていると言えば、表紙もかなり力作ですよね。
昭和の特撮映画のポスターをイメージして描きました。表紙だけ見ると、うどん少年がいろいろな苦難を乗り越えて、悪の組織のリーダーであるラーメンを倒すようなストーリーに感じるでしょう。表紙と中のギャップも狙ったんです(笑)。
───すごい! いろいろなところに小ネタが仕込まれているんですね。