●眠る準備ができていないお子さんとは「眠れるパズル」で遊んでください。
───『バクのほんやさん』は、「寝かしつけえほん」と「眠れるパズル」の二つで構成されていますが、「眠れるパズル」はどのような思いで考えられたのですか?
例えば、どんなに眠らせようと思っても、日中長くお昼寝をしたりして、まだ眠くないお子さんはいると思います。そういうお子さんに「早く眠りなさい」と言ってしまうのは逆効果。「まだ寝たくない!」と余計にストレスを抱えてしまい、より眠りから遠のいてしまいます。それなら、無理にCDを聴かせることをせず、「眠れるパズル」で遊んでください。
───「眠れるパズル」には、同じものを探すパズルや、文字の中に隠れているものを探すパズル、迷路を解いていくと、ひとつの文章になるパズルなど、楽しいパズルがたくさんありますね。
パズルも小さいお子さんでも楽しんでいただけるよう、かわいいイラストを入れたり、絵を見てパズルが解けるように工夫を凝らしています。大人から見たら簡単なパズルかもしれませんが、子どもと一緒に解いていただくと、お子さんが頭を一生懸命使ってパズルを楽しんでいる様子を実感していただけると思います。そして、パズルでもお腹を抱えて笑っていただき、十分楽しんだら、フッと落ち着いて、改めて部屋の電気を落として、CDをセットしてみてください。
───脳も体も心地よくなって、おはなしの世界に自然と入って行けそうですね。
そうなんです。うちの娘はパズルを楽しんだ後、たいてい、序章のバクのほんやさんが出てきてゲームをする場面でコトンと眠りに落ちてしまいます。周りの方にも感想を聞いたのですが、序章で眠ってしまうお子さんが多いそうで、なかなか本編のおはなしまでいけないそうです(笑)。
───序章で、すでにぐっする眠れる効果が発揮されているんですね。
もともと序章は、おはなしのキャラクターや状況をイメージしやすくなるための練習のように位置づけていました。頭の中で、おはなしの内容をしっかりイメージできる準備をすると、より眠りの世界に移行しやすいと思ったので、「バクのほんやさん」に登場してもらって、一緒にケーキを思い浮かべるゲームをしてもらいました。
───ケーキの個数や大きさ、重さや味など、かなり細かい所までイメージをするのがとても意外でした。どうしてケーキにしたのですか?
ケーキを嫌いな子はいないだろうと思ったことと、味や形などをイメージしたときに自然と楽しい気持ちになると思ったからです。
───たしかに、ケーキはみんな大好きですものね。
このゲームは毎日続けることで、想像する力が身につきます。「今日はケーキをいっぱい並べてみよう!」など、ご家庭でアレンジすることもできますので、親子でいろいろアイディアを出し合って、盛り上がってもらえたら嬉しいです。
●夜は絵本よりも、自作の物語を娘に聞かせていました。
───お子さんに実践した寝かしつけのテクニックが、この『バクのほんやさん』には生かされていると伺いました。お子さんと絵本を読むこともありますか?
絵本の読み聞かせはするのですが、絵本を読むときはどうしても部屋の明かりをつけなければならないので、寝る前にはあまり読むことはないですね。私が即興で考えたおはなしを、娘たちには聞かせています。
───お子さんはどんなおはなしがお気に入りですか?
私が楽しいはなしが好きだからか、娘たちも笑えるおはなしが大好きですね。絵本も物語がしっかりしているものよりも、長新太さんのような展開の読めないナンセンス絵本が好きなようです。
───たきせさんご自身は、子どもの頃どんな絵本を読んだか覚えていますか?
我が家は実家が和菓子屋だったので、子どもが寝るときにはまだ、両親が仕事をしていました。なので、弟と二人で読み聞かせのレコードを聴いていた覚えがあります。たしか、昔話などが多かったと思います。
───子どもの頃から耳でお話を聞いて、イメージする力が備わっていたからこそ、『バクのほんやさん』という「ぐっすりおはなしえほん」が誕生したのですね。最後に、絵本ナビユーザーへメッセージをお願いします。
毎日の寝かしつけにストレスを感じていらっしゃる方もいると思いますが、親のストレスは、子どもにも伝わってしまいます。親も子も楽しい気分になって眠れるように、『バクのほんやさん』を眠るためのツールとして使ってもらえたら嬉しいです。それと、この本にはCDがついています。読むのが苦手な親御さんは、CDを流して、子どもと一緒に耳を傾けながら、眠りの世界に入ってください。それだけでも十分楽しいですし、効果も発揮します。ストレスを減らして、親子で眠ることを楽しんでもらえたらと思います。
───ありがとうございました。