絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『だれもしらない バクさんのよる』まつざわありささんインタビュー

絵本の勉強をしていた4年間、ずっとバクさんを描いていました。

───先ほど、絵本の勉強をしていたという話が出ましたが、まつざわさんはこの『だれもしらない バクさんのよる』が絵本作家デビュー作ですよね。どのようにして絵本作家を目指そうと思ったんですか?

絵本作家になりたいと思った最初のきっかけは、月刊『MOE』で「絵本作家への道」という特集と出会ったときです。表紙の荒井良二さんの絵にまず心をつかまれて、中に載っていた作家さんのアトリエやインタビューがどれも強烈に印象に残りました。その企画の中に、あとさき塾生の村上幸織さんによる「あとさき塾のこと」という欄があって、編集者のお二人に見てもらえるワークショップや、第一線でご活躍されている絵本作家さんなどを招いての講演会や懇親会の様子が載っていて、ここでいつか学べたらいいなと強く思ったことを覚えています。のちに、その絵本のワークショップ「あとさき塾」に通いました。

───「あとさき塾」はどいかやさんや、酒井駒子さん、島田ゆかさんなど数多くの人気絵本作家が通われていたワークショップですよね。

はい。あとさき塾にはオーディションがあって、いきなりは無理だと思ったので、最初、その特集に載っていた絵本スクール「a:Bclub」に2年間通いました。それと少し重なる形で、あとさき塾の講師である土井章史さんが開いているトムズボックスワークショップに半年間通って…と段階を踏みながら絵本の経験を積んでいきました。

───あとさき塾にはどのくらい通っていたんですか?

2年間通いました。あとさき塾では毎回、講師の土井章史さんと小野明さんに絵本を見せて、色々講評してもらいます。生徒の中には毎回、新しい作品を持ってくる人やずっと同じ作品を練り続ける人がいて、とても刺激を受けました。

───まつざわさんは、どんなおはなしを作っていたんですか?

それが、2年間ずっとバクさんを作り続けていたんです(笑)。
これがそのとき作ったラフです。


───すごい!かなりのパターンを作られたんですね。どれも出版された絵本のイメージとほぼ同じように描き込みも細かくて、完成されているように思うんですが…。

毎回、少しずつラフで変化をつけていきました。ウサギさんの嫌いな野菜がニンジンやキュウリだったこともありますし、バクさんは夢を食べるのではなく、こわい夢を洗濯するお掃除屋さんという設定だったこともありました。でも、ラフを重ねていったのは、最後の部分がなかなか決まらなかったからなんです。

───最後の部分はネコさんがさみしい夢を見ていて、こわい夢しか食べられないバクさんがどうしようか解決策を悩む場面ですよね。「こわい夢」と「さみしい夢」に違いがあるという設定や、最後のシャボン玉の美しさがとても魅力的でした。

ありがとうございます。このラストは本当に最後の最後で搾り出すようにして考えたものなんです。さみしい夢は、お話に変化を出したいと思った時に、こわい夢しか食べられないバクさんだけど、解決して欲しい夢は他にもあるなぁと思い、考えついたのがさみしい夢でした。そのさみしい気持ちをどうやって伝えたらいいかを考えているうちに、「みんなのところに飛ばして伝えればいいんだ」って思ってシャボン玉を思いついたんです。

───まつざわさんもバクさんの様に一生懸命考えたんですね。

そうですね(笑)。このラストが出たときに、ようやく何度も描き直していたラストのアイディアに対して、講師のお二人から認めてもらえたように感じて、すごく嬉しかったことを覚えています。

───絵本として出版されることはどのように決まったんですか?

土井さんが絵本塾出版さんにバクさんのラフと、数枚描いた原画を持っていってくれました。それを絵本塾出版の方が気に入ってくださり、出版が決まりました。…でも、決まってから出版するまで、2年間も待たせてしまったんです。

───それは原画に時間がかかったということですか?

はい。

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まつざわ ありさ(まつざわありさ)

  • 埼玉県生まれ。
    絵本ワークショッップ「あとさき塾」出身。
    幼いころから絵を描くのが好きで、高校時代からボールペン画を描き始める。
    現在は埼玉県在住、歯科助手をしながら絵本を制作中。

作品紹介

だれもしらない バクさんのよる
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作・絵:まつざわ ありさ
出版社:絵本塾出版
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