●映画「スティング」は、ぼくのマンガを変えた作品です。
───今回、初の絵本を出版されて、今後も絵本を作りたいという思いは芽生えましたでしょうか?
そうですね。絵本は今までのぼくの読者よりだいぶ下の年齢にアプローチしていますから、出版されてみないと、どんな風に受け入れていただけるか分かりません。でも、もし多くの方に読んでいただけて、「ジッセンジャー」ファンが増えるのであれば、そして、そのときまだ、マンガの連載が始まっていないのであれば(笑)、また絵本を作りたいと思います。
───やはり、マンガの連載をされていると、ほかのことをするのは難しいのですね。
週刊ペースで描いていたときは、ネームに1日半、下書きに1日半、あとはひたすらペン入れ、睡眠時間もほとんど取れず、4時間半くらいの睡眠を分けて取るくらい過密スケジュールでした。唯一の息抜きは、原稿を渡しに行った日の打ち合わせの帰り。30分ほど本屋やコンビニに立ち寄るくらい。それ以外は、ほとんど原稿に向かっていました。
───想像以上に体力のいるお仕事なんですね。
今は、描くスピードが昔より遅くなって、週刊連載はとても難しいです。でも、掲載していないからといって、休んでいるわけではありません。描き続けていることはデビューからずっと変わっていませんね。
───今だから描ける表現や深みなどが増しているのではないでしょうか。
そうですね。話は昔よりも面白く描けるようになったと思います。昔の自分の作品を見ると、やっぱり浅いなと思いますね。
───お休みの日や、ちょっとした休憩時間に息抜きとしていることはありますか?
犬の散歩とか……(笑)。あとは、昔からお笑いが好きなので、時間があるとネタ番組を見ています。『べしゃり暮らし』(集英社)を描くようになって、芸人さんをいろいろ取材させていただけたことで、より興味がわいてきましたね。
───今イチオシのお笑い芸人さんはいますか?
タイムマシーン3号、面白いですね。最近、テレビで見る機会が増えて嬉しいです。
───ずっと好きな芸人さんはどなたですか?
不動の一位は、やっぱりダウンタウンですかね。松本人志さんは、今のお笑いを変えた人。すごいなって思いますね。
───お笑い以外にはまっているものはありますか?
映画はずっと「スティング」が、ぼくのなかで不動の一位。はじめて観たのは中学生のときだったのですが、映画ってこんなに面白いことができるんだ。観ている人もこうやって騙されるんだということを学びました。
───「スティング」を観たことで、森田さんご自身は何か影響を受けましたか?
ぼくは子どもの頃から絵を描くのが好きで、マンガ家になりたいと思っていたのですが、「スティング」を観る前は、丸い感じの手塚治虫先生のタッチを真似したような絵柄でした。でも、「スティング」に出会った後は、人物の等身が普通の等身に変わり、マンガの舞台が外国の設定になったりしていました。結果的に、その画風でマンガを描き続けて、高校卒業後にマンガ家としてデビューしたんです。
───では、「スティング」がマンガ家としての画風を決める、ターニングポイントとなった作品なんですね。
そうですね。きっかけでもありましたね。
───マンガのことや好きな芸人さんなど、いろいろお話を伺い、ありがとうございました。最後に絵本ナビユーザーに向けて、『とびだせビャクドー! ジッセンジャー』のメッセージをお願いいたします。
ぼくは、ヤンキー漫画ばかり描いてきましたので、お父さんお母さんの中には、その頃のぼくの作品を読んでくださった方も多いと思います。そんなぼくが、こういう心温まるヒーローものも描くんだよ……というのを、まず見ていただければと思います。読んでいくと所々に、森田らしさも出ていると思います。懐かしく感じていただきつつ、新しい発見も見つけていただけたら嬉しいです。そして、主人公のゆうちの勇気や、人を思いやる心が大切なんだということを、お子さんと一緒に感じていただいて、いろいろ話し合ってほしいと思います。
───ありがとうございました。
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●ファン必見?! アトリエを見せていただきました。

取材・文/木村春子
撮影/所靖子
●発刊記念 森田まさのり『とびだせビャクドー!ジッセンジャー』原画展
場所:西本願寺 安穏殿1階(本願寺ブックセンター横)
京都市下京区堀川通花屋町下る
日程:2017年4月25日(火)〜5月31日(水)まで
