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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  笑ってびっくり、思わずホロリ!? しりとり絵本の傑作誕生! 『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』シゲタサヤカさんインタビュー

3歳、0歳の子を子育て中です

───前回絵本ナビに来ていただいたときは、2012年でした(前回のインタビューは→こちら)。その後お子さんが生まれて、今ふたりのお子さんを子育て中だそうですね。

そうなんです。もうすぐ4歳になる女の子と、0歳の男の子がいます。
『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』のラフを作っていたときは、下の子がお腹の中にいて、本描きの頃は、すでに臨月に入っていました。「いつ生まれてもおかしくない」という中、里帰り先の実家でも描いていました。


原画(線画)。ペン先が筆のようになっているサインペンを使って描いています。

───ええっ、臨月でですか? 大変……お腹がつっかえそう!

そういえばテーブルにつっかえていました。懐かしいです(笑)。今回の制作は雑誌の付録ということで発売日が決まっていました。なので着彩に迷わないように、ラフの段階で色をほぼ決めていて、編集者さんにもフルカラーのラフを渡していたのです。あとはいつものようにアクリル絵の具で塗るつもりだったんですが、予定日までに完成が間に合いそうになくて……。

───それはドキドキですね……。

このままだと産後も描くことになってしまうけれど、あかちゃんのお世話をしながら絵の具を広げて描く時間なんて絶対にない!……と。
そこで、絵の具で仕上げるのは諦めて、手描きのペン画をスキャンしてパソコン上でデジタル着彩する方法に変更しました。編集者さんは、かなりハラハラしていたと思います(笑)。

事情が事情なので、着彩はいつでもデザイナーさんにお願いできるようにということで、出版社さんがその準備もしてくださっていたのですが、何とか最後まで自分でやり遂げました。

───お母さん作家さんならではのエピソードですね。がんばりましたね……(涙)。
デジタル着彩になっても、ちょっとくすんでいるのに強く目を引く色使いは、いつもと変わらず、シゲタさんらしくて素敵ですね。

鮮やかな色より、ちょっとくすみが入っている色が私は好きみたいです。きれいな明るい色の絵の具をパレットに出しても、敢えてちょっと暗い色を混ぜてくすませてしまいます。絵の具もデジタルも、同じですね。

今回、デジタルにして良かったところは、パソコンを開ければすぐに塗りはじめられて、あかちゃんが泣いたりしたらすぐ閉じて中断できたところでした。産後は1か月ほど実家にいたのですが、自宅に戻ったら上の子の世話もあるので、大忙しでもう描けない。育児を助けてもらえる実家にいるうちに、がんばって仕上げようという気持ちでした。

───絵本の色をデジタルで仕上げるのは初めてですか?

絵本では初めてです。ただ、上の子が生まれてからは、絵の具で原画を描く時間がなかなか持てなかったので、デジタルで短編作品を描いたり、カルタを作ったりしていました。

今回も、スピーディーに制作を進められるデジタルの力が、とてもありがたかったです。共通する背景を1枚だけ描いて、後からそれぞれのページのキャラクターと合成したり、一発で描くのが大変な食べ物を、パーツごとに描いてバランスを見ながら組み合わせたり。それでも、お料理がいっぱい並んでいるページは、時間がかかって大変でしたね。
たとえばラーメンも、具が色々いっぱい乗っているのが好きなんですよ。見るのも、描くのも……。なので、大変だと分かっていても、ついこんなふうに細かく描いちゃいます(笑)。「大変」より「楽しい」ほうが勝っているんですね。だから描くのも色を塗るのも、両方楽しかったです。


2枚の原画(線画)。背景(上)と、キャラクター(下)を、合成して1枚の絵に。

この4年半の間、4コマ絵本のWEB連載や、子供向けの新聞の連載など、仕事はずっと続けていましたが、絵本を全く出せていなかったので、ちょっと焦っていました。だからこそ『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』の完成は、ひときわ嬉しいです。

絵本の楽しみ方が変わりました

───お子さんが生まれて、絵本の読み方や楽しみ方は変わりましたか?

そうですね。『kodomoe』の付録絵本を作るにあたって、過去の付録絵本を参考までに送っていただいたのですが、どれも娘とボロボロになるまで楽しみました。
これまでもちゃんとじっくり細かいところまで見ているつもりでしたが、子どもと一緒に読むようになって、まだまだ甘かったんだと気づかされました。

たとえば、わたなべあやさんの『レッツゴーおべんとう!』(白泉社)を一緒に読んでいて、突然「タコさんはどこへいったの?」と言い出すんです。よく見ると、本文とは関係ないところで、ウィンナーのタコがページからいなくなってるんです。どこへいったのか、私も見つけられなくて「どこにいったんだろうねえ」と言いながら慌てて探していると、別のページで先に娘が「いた!」と見つけてくれる。
子どもは本当に細かいところまでよく見ていると、分かっていたつもりでしたが、想像していた以上でした。あらためて「ああ、もっと自分も本気で絵を見て楽しまなくちゃ」と思わされました。


シゲタさんがお子さんとボロボロになるまで読んだ、付録絵本『レッツゴーおべんとう!』。現在は単行本化されています!

───シゲタさんの絵本も、子どもと読むと気づかされることが多いです。今回も1ページ目を見て、うちの子が「あ、『キャベツがたべたいのです』の八百屋さんだよ!」と喜んでいました。

気づいてもらえて嬉しいです。『キャベツがたべたいのです』の中で、チョウチョがキャベツのジュースを吸って八百屋のおじさんに変身したのですが、その中の1匹が暖簾分けみたいに、ここの商店街でお店を開いているという設定です(笑)。元チョウチョなので頭に触覚がついているでしょう。


八百屋のおじさんの頭に注目です!

───シゲタさんの他の絵本のキャラクターが再登場すると、おはなしがつながっているかもしれないと、想像が膨らんで、とてもわくわくします。

映画や小説で、別々の作品がどこかでつながっている設定が大好きなので、自分でも、別々の絵本の世界を関連させて作っています。ぜひ『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』も、他の作品にどうつながっていくのか、「あっ!」と気づいてもらえたら嬉しいです。

ちなみに今回、絵本は初めてというデザイナーさんに装丁をお願いしたのですが、とても愛情深く作品を読み込んでデザインしてくださる方で……。たとえば見返しと扉には、最初のページに出てくる空と同じ色やモチーフを使ってくださいました。これは、しりとり大会当日の朝の空をあらわしています。表紙の後、物語の前にこれが入ることで、これから大会が始まるというドキドキ感を表現してくださって、感激しました。


見返しの空と雲。


扉のページの空色が……


1ページ目の空につながっていきます!

子育てをしながら絵本を作るようになって、以前よりもずっとリアルに、実際に本を開いて読んでくれる子どもたちの姿を想像できるようになりました。1ページ1ページ、登場人物のひとりずつを、一生懸命見てくれる子どもたちの姿が目に浮かびます。おかげで、ますます絵本を描くことが面白く感じられるようになりました。
この気持ちを、これからの作品作りにも生かしていきたいと思います。

───ありがとうございました!

おまけ。
シゲタサヤカさんが最初に作った、飛び出す絵本『おいしいバケモノ』を、ちらっとお見せしちゃいます。シゲタさんが「絵本を作りたい!」と思うきっかけになった、パレットクラブスクール時代の卒業制作です!
(パレットクラブスクール時代については前回インタビューをご覧ください)

シゲタさんらしく食べ物がいっぱい。やっぱり白目(笑)。りんご→ごま→まきずし→しいたけ→ケーキ……と来て、最後はプリン。「ンがついたからおしまい。」というオチ……もしかしたら今回の新作の原点になっているのかも!?
それにしてもみんなの表情がおかしいですよね。


パレットクラブ受講中に作った『おいしいバケモノ』

りんご


ごま→(まきずし)

しいたけ


ケーキ

「ン」がついたからおわり。

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展示のお知らせ☆

和歌山県でシゲタサヤカ展が開催されます!
とっても楽しそうな展示なので、お近くの方はよかったら足をのばしてみてくださいね☆

シゲタサヤカ展
会期:2019年4月2日(火)〜30日(火)

【場所】
ちいさな駅美術館 "Ponte del Sogno"(ポンテ・デル・ソーニョ)
〒643-0033 和歌山県有田川町明王寺37-1(藤並駅2F)
Tel: 0737-52-2580

【営業時間】
火〜金:午前10時〜午後7時
土日祝:午前10時〜午後5時
定休日:月曜日
*4月18日(木)は臨時休業日・最終日は15時まで
*入場無料

ウェブサイト(有田川ライブラリー)

ちいさな駅美術館 ご利用案内はこちらもご参考に!

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文・構成: 大和田佳世(絵本ナビ ライター)
撮影: 所 靖子



※期間内【2019年3月28日から2019年4月24日まで】にご回答いただいた絵本ナビメンバーの方全員に、 絵本ナビのショッピングでご利用いただける、絵本ナビポイント50ポイントをプレゼントいたします。

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シゲタサヤカ(しげたさやか)

  • 1979年生まれ。 短大卒業後、印刷会社勤務を経て、パレットクラブスクールで絵本製作を学ぶ。 第28〜30回講談社絵本新人賞で佳作を3年連続授賞する。 2009年、第30回佳作受賞作『まないたにりょうりをあげないこと』(講談社)で絵本作家デビュー。 絵本作品に『りょうりをしてはいけないなべ』『コックのぼうしはしっている』『カッパもやっぱりキュウリでしょ?』(共に講談社)、『キャベツがたべたいのです』(教育画劇)、『オニじゃないよ おにぎりだよ』(えほんの杜)、『いくらなんでもいくらくん』(イースト・プレス)、『わりばしワーリーもういいよ』(鈴木出版)他多数。 オフィシャルHP「アカモチ工場」:http://akamochi.net/
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