絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  寝ちゃうなんてもったいない!? 新感覚のおやすみ絵本『ねたあとゆうえんち』大串ゆうじさんインタビュー

自由に考えて描く絵本づくりが楽しい!

───絵本を2冊描いてみて、絵本づくりのどんなところが楽しいと感じましたか?

絵本は、どんな世界にしようとか、どんな物を描こうとか、全部自分で考えて描くことができるので、自由があってすごく楽しいです。

───『ねたあとゆうえんち』は、「kodomoe」2018年8月号(白泉社)の付録冊子だったんですよね。その時、読者からはどんな反響がありましたか?

読者の方よりも早く、編集部でお仕事をしている方から「すごい」という声をいただいていたようで、うれしかったですね。ハガキで、「細かいイラストに子どもが夢中です」という意見をもらったときは、自分も同じように細かい絵を見るのが好きだったので、仲間ができたようでうれしくなっちゃいました。

あと、本当に絵の隅々まで見てくれていて、「最後に銅像も犬のロンもお菓子をもらっているのに、最初の男の子はずっと寝ていてもらっていない!」と気づいてもらえました。

───本当ですね。よく見直していると、家からずっと寝っぱなしでした!

「寝たらもったいない! なぜなら…」という男の子の妄想のおはなしなので、「寝たくない、悔しい」という気持ちを込めています。最後のお菓子は、起きている子しかもらえなくて。

───本当に「寝たらもったいない!」という気分を存分に味わうことができますね。寝かしつけのときに読むと、子どもが本当にそう思っちゃいそうですね。

ページのすみずみまでじっくり見て楽しんで

───絵を描くときには、どんな画材を使っているんですか?

線はミリペンで描いています。色塗りは、小学生と同じ水彩絵の具と、アクリル絵の具、そして色鉛筆です。

───色鉛筆も! どんな所に使っているんですか?

水彩で色を塗った後に、影をつけるときに使っています。布の柔らかい感じを出すときにも、色鉛筆を使います。


布団やベッドの影に、色鉛筆が大活躍!

アクリル絵の具は、子どもの部屋の絨毯など、面積が広くて同じ色でぴたっと塗りたい場所に使っています。僕が、筆のむらが出るのがあまり好きじゃなくて。あとは、全部マスキングテープを貼って、きっちり塗るのが好きなんですが、やりすぎると絵が重たく感じてしまうので、タッチが残る水彩絵の具も使っています。

───色のはみ出しがない理由は、マスキングテープだったんですね。

やっぱり、細かい部分をきっちり切るのが好きなんです(笑)。

───制作中、ずっと楽しかったとお話してもらいましたが、逆に苦労したところはありましたか?

うーん……ないですね。おはなしも、案を出したら「それがいいです!」とすんなり決まったので、その言葉を信じて迷いませんでした。だから本当に、楽しかったです。

───作り終わったときはどうでしたか?

だいたい4ヶ月くらい遊園地の世界にいたので、しばらくボーッとしちゃいました。がんばったので、奥さんも優しくしてくれて。実は、絵本にも奥さんと子どもが登場しているんですよ。

───そうなんですね! どこですか?

『しょうてんがいくん』(偕成社)は、絵本の裏表紙に。このときちょうど妊娠中だったので、お腹が大きいんです。『ねたあとゆうえんち』は、忍者屋敷の売店前で子どもを抱っこしています。子どもが牛乳を好きなので、牛乳パックが目印になっているんです。


さりげなく描かれた、大串さんのご家族の姿。次の作品ではどんな場面で登場するのか、探すのが楽しくなりそう♪

───ご家族の歴史も感じる、ステキな絵本ですね。お子さんは、できあがった絵本を見てどうでしたか?

小さな新幹線や、車輪がついたベッドを喜んで見ていました。あと、最近お尻も好きなので、「いいにおいおなら」も笑っていましたね。

───かわいい! そんな風に小さな子でも楽しめる絵本ですが、最後に絵本ナビの読者にメッセージをお願いします。

細かいところまでずっと見て楽しめると思うので、細かいものが好きなお子さんにぜひ読んでもらいたいです。まだ2作目ですが、絵本づくりはすごくおもしろいなと思ったので、これからも楽しい絵本を作りたいと思っています。

実は『ねたあとゆうえんち』のシリーズ化が決まっていて、『kodomoe』の今秋発売の号をめざして新作も描いています。またもや「寝させない絵本」ということで、僕自身もわくわくしながら作っています。楽しみに待っていてもらえると、うれしいです。

───ありがとうございました。

取材・文:中村美奈子(絵本ナビ編集部)
写真:所 靖子(絵本ナビ編集部)



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大串 ゆうじ(オオクシ ユウジ)

  • 1976年生まれ。茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。卒業後は個展などで作品を発表をしながら雑誌、テレビ、広告、などのイラストレーションで活動。本書がはじめての絵本。おもな受賞に、グラフィックアートひとつぼ展入選(1999年、2002年、2005年)、ターナーアクリルアワード入選(2001年〜2005年)、第29回ザ・チョイス年度賞入賞(2012年)などがある。

作品紹介

ねたあとゆうえんち
著者:大串 ゆうじ
出版社:白泉社
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