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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2012.06.28

きむらゆういちさん、田島征三さん
『おもいのたけ』インタビュー

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子どもだって毎日元気なわけじゃない。無理に元気にならなくても良いんじゃないかな。

─── 田島さんは自作の絵本が多いと思うんですが、他の方と組まれる基準はあるんですか?

そうだね〜。自分で話を全部作っている方が面白いし、人の話はなんというか、個人の癖があるじゃない。ゆうちゃんも癖があるじゃない。ゆうちゃんは売れる本を作れる人なの。ボクは読んだ人の心に深く沈んでいくような本が好きなんだよね。たとえば『オオカミのごちそう』にしても、あれはコブタの側から見るとハッピーエンドだけど、オオカミの側からするとすごい悲劇だよね。でも笑える悲劇。そういうのが好きなんだよ…。

─── それを聞いて『かまきりのカマーくんといなごのオヤツちゃん』を思い出しました。あの絵本も最後はかなりびっくりする展開ですよね。

そうだよね。あの絵本が出た後で、子どもからすごい怒りの手紙が来たんだよ。「オヤツちゃんはひどい!」って。だから2作目の『どうだ!まいったか』は一生懸命オヤツちゃんがカマーくんを救う話にしたんだ。でも僕は、ハッピーエンドだけでいいのか?っていつも考える。ハッピーエンドでも、心に残っていないこともあるよね。ハッピーエンドでなくても、ちょっと悲しみとかおかしさとか、他では体験できない不思議さとかね、そういうことを絵本に盛り込んでいきたいんだ。

─── 確かに、子どものころを思い出してみると、不思議だったり不気味だったり、変な絵本の方が記憶に残っていることもありますよね。

あと、子どもって四六時中元気でいるわけじゃなくて、しょぼんってしているときも当然あって。特にあれほどの大震災があって、親しい人を亡くしたり、別れたりした辛い思いはいつまでも残るよね。それを無理やり忘れさせたり、別の方向から盛り上げようとするんじゃなくて、僕は残ったままでいいと思うんだよ。

─── 今後、描いていきたい絵や、作ってみたい作品にはどんなものがありますか?

うーん。もう日々あるね(笑)。木の実の作品なんかをもっといっぱい作りたいっていうのがある。それと今は、新潟県十日町の「越後妻有アートトリエンナーレ」の作品に取り組んでいるんだけど、今後考えていかなければならないのが、2013年に予定されている「瀬戸内アートトリエンナーレ」で作る水族館のこと。この間、作品の参考にと江ノ島水族館に行ってみたんだけど、今の水族館ってすごく面白いんだよね。本物の水族館があれだけ面白いわけだから、僕がアートで作る水族館はそれ以上にしなければ太刀打ちできるわけがない。そのアイデアが、どんどん沸いてくるんだ(笑)。

80歳を過ぎて大作を残すアーティストは沢山いる。僕もまだまだだよね(笑)。

─── そういう大きなプロジェクトを動かしながら、絵本も作っていかれるんですね。

そうだね。『おもいのたけ』と同じ日に、平和の絵本『ぼくのこえがきこえますか』(童心社)も出るけれど、これもすごいよ。本当は、1年以上前に色校もチェックしていて、出る準備は整っていたんだけど、ついに出ます!
それと、今やりたいと思っているのは、さっき話したような「子どもは元気で明るくいなさい」っていう大人の要望に応えられない、子どものよるべない気持ちに寄り添った作品なんだけど、これを絵にするのは、正直すごく難しい。2011年に出した『やぎのしずかの たいへんな たいへんな いちにち』(偕成社)の続編として描いている『やぎのしずかの しんみりした いちにち』という絵本がそれなんですが、正直、初めて作った『しばてん』よりも難しいかもしれない…。

─── きむらゆういちさんから、「72歳になっても今のようなエネルギーあふれる作品を作り続ける秘訣を教えてください」というメッセージをいただいたのですが…。今、お話を伺って私も同じ気持ちになりました。

でも、富岡鉄斎※は89歳になってからすごい絵を残したんだ。僕なんか、まだまだこれからだよね(笑)。
※富岡鉄斎…明治・大正期の文人画家、儒学者。

─── なるほど…そう言われると確かに…(笑)。
最後に絵本ナビユーザーに一言メッセージをお願いします。

絵本を子ども専用って考えている人もいるかもしれないけど、大人にとっても面白い本でなければならないと思うんだよね。だって子どもは、お母さんの膝の上で読んでもらった本なら何でも良いんだから。それよりももっと、子どもが中学、高校、大人になって読んだときに、「こんな深い面白さがあったんだ」っていう本じゃなければいけないと思うんだ。絵本って結構高いから、買うのをためらっちゃう部分もあるけれど、その子の一生物になれば安いんだよね。『おもいのたけ』もそういう本であると。大人が読んでも面白いんだよってことを伝えたいね。

─── 大人でも言いたいことってなかなか言えないじゃないですか。だから、おもいのたけがあると良いなって素直に思っちゃいます。

そうだよね。僕も「征三さんは言えないことなんてないでしょう!」って言われそうだけど、あるよね(笑)。昔は全部言っていたけど、それが人を傷つけたりしてたんだよね。最近、こういうことに気づいてしまったからね。でも、そのときに言うことで、良い方に変わるってこともあるけどね(笑)。

─── ありがとうございました。

「ビストロくさむら」のお料理がとても美味しく、すっかり長い時間くつろいでしまったのですが…インタビューの後、更に田島さんのアトリエへもお邪魔しました!


▲田島さんのアトリエでは、描きかけの原画や出番を待っている木の実、そしてネコのポロンがお迎えしてくれました。

【イベント情報】

『おもいのたけ』発売を記念して、リブロ池袋わむぱむギャラリーで原画展が開催中です。
7月1日(日)にはきむらゆういちさんと田島征三さんのトーク&サイン会も開催されます。

『おもいのたけ』絵本原画展』
会期:2012年6月11日(月)〜 7月8日(日)
会場:リブロ池袋本店 わむぱむギャラリー
お問い合わせ:03-5949-2910 (代表)

『きむらゆういち×田島征三 トーク&サイン会』
日時:2012年7月1日(日)14:00〜
会場:リブロ池袋本店 別館地下1階リブロ児童書前特設会場
●14:00〜14:45 『おもいのたけ』読み聞かせ&トーク (無料・自由参加)
●14:45〜 サイン会

お問い合わせ・サイン会整理券ご予約:03-5949-2945 (児童書売り場直通)

(編集協力:木村春子)

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【連載】第2回「鬼遊び」シリーズ 廣嶋玲子さんインタビュー

木村 裕一(きむらゆういち)

  • 1948年東京生まれ。多摩美大卒。
  • 造形教育の指導、白鴎短大講師、テレビ幼児番組のブレーンなどを経て、現在、絵本、童話の創作、戯曲、コミックの原作など広く活躍している。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞受賞。作品に、『あかちゃんのあそびえほんシリーズ(1)〜(10)』(偕成社)、『カケルがかける』(絵・ひらのてつお/えほんの杜)、『どうするどうするあなのなか』(絵・高畠純/福音館書店)など多数。

田島 征三(たしませいぞう)

  • 1940年、大阪府生まれ。幼少期を高知県で過ごす。多摩美術大学図案科卒業。大学在学中に手刷り絵本『しばてん』(1971年に改作し、偕成社より出版)を制作。
  • 1969年より東京都西多摩郡日の出町で農耕生活を営みながら絵画や版画、絵本を制作。1988年、伊豆半島に移住する。絵本に『とべバッタ』『ふきまんぶく』(偕成社)、『ガオ』『おじぞうさん』(福音館書店)、『いろいろあっても あるきつづける』(光村教育図書)など多数。エッセイ集に『絵の中のぼくの村』(くもん出版)などがある。
  • 国内外での受賞多数。日本を代表する絵本作家として精力的な活動をつづけている。

作品紹介

おもいのたけ
文:きむら ゆういち
絵:田島 征三
出版社:えほんの杜
オオカミのごちそう
作:木村 裕一
絵:田島 征三
出版社:偕成社
オオカミのともだち
作:きむら ゆういち
絵:田島 征三
出版社:偕成社
オオカミのひみつ
作:きむら ゆういち
絵:田島 征三
出版社:偕成社
オオカミのおうさま
作:きむら ゆういち
絵:田島 征三
出版社:偕成社


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